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シンガポール発のクラフトスピリッツ「Rachelle The Rabbit」メーカーズセミナーレポート

コラム

シンガポール発のクラフトスピリッツ「Rachelle The Rabbit」メーカーズセミナーレポート

Text & Photo : Kaho Matsumoto

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8月20日、日本酒サービス研究会SSI認定会員限定で「Rachelle The Rabbit」メーカーズセミナーが開催されました。「Rachelle The Rabbit(ラシェル ザ ラビット)」はシンガポールで革新的なスピリッツを生み出し続ける蒸留所。2015年に創業し、東南アジアの高品質な原材料(タイのジャスミン米・ハチミツ・ココナッツ・グラメラカ)を発酵させた豊かな風味が魅力です。東南アジアのスピリッツ文化を世界に発信するパイオニアとしても注目されています。

50人の定員は満員に!

参加者はSSI認定会員限定でしたが、定員50名は即満員に!参加者の中條一夫さんは「私は普段、日本の日本酒や焼酎を世界の方に向けて紹介することが多いのですが、“見慣れない外国のもの”を外国の方にどうやって紹介して売り込むのかを逆の立場になって学びたいと思い参加しました」と話します。国によってより親しみを感じてくれるアプローチ方法は異なるとのことで、私たちにとってはあまりなじみのないシンガポールのお酒についてどのように教えてもらえるのか興味があったといいます。

セミナー中はどの参加者の方も真剣に話に聞き入っている様子が印象的でした。

Rachelle The Rabbitが創り出す新しい世界とは?

第1部では、代表のサイモン・チャオ氏が登壇、通訳を通じて「Rachelle The Rabbitが創り出す新しい世界」について話しました。

シンガポールは稲作や大麦畑が盛んではないものの、「私たちには尽きることのない好奇心と想像力があります。それこそが私たちの毎日の原動力となっています」と話すサイモンさん。

創業当初はミード(蜂蜜酒)を製造していたRachelle The Rabbit社ですが、2019年からは本格的な蒸留所へと進化、常に地域性にこだわりながら「口にした瞬間に親しみや懐かしさを感じていただける」お酒造りに取り組んできたといいます。それまでの経験を活かし、ミードを蒸留した唯一無二のハニースピリッツを生み出しました。その後、東南アジア文化に深く根付いた原料に取り組み始め、タイのジャスミン米・ハチミツ・ココナッツ・グラメラカなどを使用したスピリッツづくりを行うように。サイモンさんは「まるで東南アジアの一辺を瓶に詰めたような味わい」だと語ります。

現在ではウイスキー、ジン、ラム、ウォッカ、リキュール、さらには実験的なスピリッツまで、すべてを同じ施設内で製造、専用の研究開発施設により、ニッチな市場向けのユニークな製品を開発したり、世界中のパートナーと協力して新たなプロジェクトに取り組んでいます。

SSI研究室長長田卓氏によるペアリング提案で登場したのは「醬油せんべい」!?

第2部ではSSI研究室長長田卓氏によるRachelle The Rabbitのお酒のテイスティング&ペアリングのお話がありました。

たとえば「Hom Mali Rice Whiskey」については、主原料がタイ産のジャスミンライス、「ホムマリ」とはタイ産のジャスミンライスを指すといった解説がありました。

「ジャスミンライス」と聞くとジャスミンの香りがするのかな?と思いがちですが、そうではなく、あくまで「籾の色がジャスミンに似ている」ことが由来なのだそう。「ジャスミンの香りを探してもありませんよ」と教わりながら香りや味わいを確認してみると、濃厚なカラメル・ダークフルーツ・オーク・バニラ・キャラメルといった濃厚な香りが感じられます。アルコール度数40度もありながら、穏やかで刺激が低いのも「Hom Mali Rice Whiskey」の特徴のひとつです。

テーブル上には各お酒に合わせたペアリング提案の食材が用意されていたのですが、「Hom Mali Rice Whiskey」に合わせた食材の提案はなんと「醬油せんべい」!これは決して「つまみに醬油せんべいを合わせよう」という意味ではなく、ジャスミンライスを使ったお酒ということで、合わせる食の可能性を探る意図がありました。他にもココナッツのお菓子やグリーンカレーなど驚きの食材とのペアリングを試す場面も。スピリッツの可能性が広がるセミナーとなりました。

「日本でも積極的に展開したい」サイモンさんインタビュー

サイモンさんにお話をお聞きすることができました。

Rachelle The Rabbit社が特にこだわっている点としては「主原料にも追加フレーバーにも東南アジア原産の食材を使用している」ということ。たとえば“トーチジンジャー”という食材はシンガポール産のものですが、非常に高価なこともあり、香りも風味も独特なのだそう。

日本では太古の昔から醸造・蒸留において歴史がありますが、シンガポールではその歴史は決して長くなく、先駆者であるサイモンさんはゼロから開拓してくる必要がありました。国としての規制などもなかったため、政府への働きかけも必要だったといいます。シンガポールではお酒の税法上では「ビールか、それ以外か」という分類だとも話していました。

東南アジアの食材の魅力がつまったお酒ということで、サイモンさんは日本でもより魅力に感じてもらえるのではないかと考えており、このイベント以外にも大阪万博などにも出展しています。

「日本には豊かなお酒の文化があり、日本の皆さんは私たちの哲学をより理解してくれると感じました」と話します。実際、日本でのイベントを行う前にシンガポール在住の日本人に飲んでもらったところ、好意的な反応があったといいます。今後は飲食店やバーなどにも積極的に展開を予定しているといいます。

風味や口当たりがどのお酒も日本のものとはかなり印象が異なりました。ココナッツなど東南アジアらしいフレーバーも、さらにお酒の新しい楽しみ方を広げてくれると感じました。そしてパッケージもおしゃれでかわいらしいですよね!飲食店やバーなど、出会う機会があればぜひ一度口にしてみていただきたいです!

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