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5月のおすすめ熟成焼酎|島酒で島を思う。ゆるゆる楽しい家飲みのススメ!

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5月のおすすめ熟成焼酎|島酒で島を思う。ゆるゆる楽しい家飲みのススメ!

Text&Photo : SHOCHU NEXT

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九州地方でつくられているイメージが強い本格焼酎ですが、日本酒の蔵元が製造しているものを含めると、より広域…というか全国津々浦々でつくられているのをご存知ですか? たとえば、「青酎」をつくるのは東京の伊豆諸島にある青ヶ島。焼酎好きには有名ですが、一般的には意外な名産地のひとつかもしれませんね。今月おすすめするのは、島でつくられている知られざる熟成焼酎3本。どれもがそれぞれの島で唯一の焼酎蔵元によるものです。本来ならば、五月晴れの気持ちのいい日が続くこの時期は、遠方へ出かけて心身ともにリフレッシュをする時期なのに、今年もまだまだそんなわけにいかなそう。だからせめて、晴れやかな島時間を想像させてくれる焼酎、おうちで心地よく酔っ払いましょ! まあでも結局は飲んだらやっぱり「あーあ、いつかこのお酒をつくる島に行きたいな!」って思っちゃうんですけどね!


島時間を想像して楽しむ、おすすめの熟成焼酎

今月のおすすめ熟成焼酎01 
嶋自慢 樫樽貯蔵〉 宮原(新島酒蒸溜所)

「東京の島しょ部である伊豆諸島には、焼酎蔵元がいくつか点在。島には蔵元一つということも珍しくなく、約100年前から酒づくりを行う宮原(新島酒蒸留)も新島の唯一の蒸留所です。看板銘柄の〈嶋自慢 麦〉は、地元の人たちの愛飲酒。その原酒を樫樽で貯蔵したのが今回の一本〈嶋自慢 樫樽貯蔵〉です。麦の香ばしさと、過剰すぎない樽香がほどよい塩梅で、飲みやすい焼酎だなあというのが第一印象。ほのかな甘みもあり、ほっとする優しさです。水割りだと麦のまろやかさが、ソーダ割りだと樽の香ばしさが際立ってきて飽きないのもいい。このお酒は、休日特権である昼飲みにうってつけ! おつまみをちょっとつまんで、ちびちびお酒を飲む……の幸福ループが永遠に続けられそうです。新島といえば、サーフィンの聖地でもあるし、海で遊んだあとに焼いた魚をつまみにこの焼酎を飲むと最高だろうなあ、夕日がきれいなんだろうなあ……(涙)。いつか現地で飲んでみたい!」(編集部D)

嶋自慢 樫樽貯蔵
【麦焼酎】
貯蔵 約3年
度数 25度
原材料 麦・麦麹
蒸留 常圧
蔵元 宮原(新島酒蒸溜所)  WEB→
所在地 東京都新島村

今月のおすすめ熟成焼酎02
〈黄金波 超音波熟成酒〉 北雪酒造

「なんと! 新潟県の佐渡ヶ島から届いた熟成焼酎です。キリリと美しい自然とさまざまな時代の文化が入り交じる佐渡ヶ島、大好きなんですよね……。魚も米も度肝を抜くほどおいしいし、お米と水の恵みもあって、日本酒のなかでもいい酒づくりができると評判の土地だし。いつだかの佐渡への旅の帰り道、新潟市内の居酒屋で佐渡帰りだと告げたら『ごめんなさい、それ以上においしいものはここにはありません』と言われたことを思い出しました。さて、今月私がお薦めするのは〈黄金波 超音波熟成酒〉。日本酒蔵による熟成焼酎です。酒づくりのさかんな佐渡ですが、いくつかの清酒蔵のなかでも焼酎づくりを行っているのはこの北雪酒造だけ。しかもこの焼酎、超音波の揺らぎで熟成をかけた珍しい一本でもあるんです。かつて船で運ばれた酒は、波の揺らぎによっておいしくなると言われました。揺らぎは島酒ならではのキーワードかもしれませんね。こちらの焼酎は、酒粕を蒸留したいわゆる“粕取焼酎”で、香りも味わいもなかなかたっぷりとした吟醸感。ロックにしても水割りにしても、深いところまで吟醸の世界が追いかけてきます。鹿児島の焼酎から生まれた(ウソです単に鹿児島生まれなんです)身としては、たまに粕取焼酎を飲みたくなるときがあるんですよね。非日常というか、ちょっとドキドキする感じ。いつもの家飲みにも、変化球が必要です。そういえば、佐渡で見る5月の日本海は最高に青くてキラキラしてきれいだったなあ……。飲むたびにあの美しくて大好きな島を思い出す1本です」(編集部SA)

北雪 黄金波(こがねなみ) 超音波熟成酒
【米焼酎】
貯蔵 約1年
度数 25度
原材料 酒粕(吟醸粕、高精白粕)
蒸留 減圧
蔵元 北雪酒造  WEB→
所在地 新潟県佐渡市

今月のおすすめの熟成焼酎 03
〈その名は甑州〉 吉永酒造

「黒糖焼酎の故郷である奄美大島のほかにも、種子島、屋久島など観光地としても有名な島が多い鹿児島県ですが、人の住む離島がなんと26もあるそうで、知る人ぞ知る島がまだまだほかにもあるんですよ! そのひとつが薩摩半島から西へおよそ40kmあまりの東シナ海に浮かぶ甑島(こしきじま)。上甑島、中甑島、下甑島の3つの島からなるこの島、列島の全長が約38km、幅は約10kmと大きな島ではないのですが、海の青さや白亜紀の地層を残した地形の雄大さ……と、見どころに事欠きません。焼酎蔵は上甑島と下甑島にそれぞれ一軒だけ。そのうちの一つ、下甑島にある吉永酒造がつくる芋焼酎〈その名は甑州(そしゅう)〉は、全国の焼酎好きがうなる実力派焼酎です。一年に限られた数しかつくれないというだけあって、仕込みはこだわりのきわみ。まず仕込み水には、蔵の近くから湧き出る、“蛍水”と呼ばれるほど清らかな水を使う。もろみの仕込みは昔ながらの甕仕込みで、その後じっくりと常圧蒸留しています。極めつけは、熟成の前後に行う“絹ごし濾過”。やわらかな絹の袋を通すことで芋の香りはしっかりと残っているのに、後味はすっきりと飲みやすい! 芋焼酎は熟成が難しいと言われていますが、〈その名は甑州〉は熟成を経ても直球ストレートな芋焼酎のうまさがバッチリやってきます。水割りやお湯割りももちろんおいしいけど、うーん、これはね、割るのが惜しいです……。信じられないくらい青くて透明な甑島の海、南国ならではの日差しの強さなんかを思い出させる、とても力づよくてクリアな一本です!」(編集部KW)

その名は甑州(そしゅう)
【芋焼酎】
貯蔵 約1年(仕次ぎをブレンド)
度数 25度
原材料 さつまいも・米麹
蒸留 常圧
蔵元 吉永酒造  
所在地 鹿児島県薩摩川内市下甑町

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