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芋焼酎は品種で選ぼう!品種で勝負するおすすめクラフト芋焼酎

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芋焼酎は品種で選ぼう!品種で勝負するおすすめクラフト芋焼酎

Text : Kentaro Wada(SHOCHU NEXT)

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芋焼酎の原料といえばサツマイモ。そのサツマイモ、思い浮かべるのは何色のものですか? 白芋、紅芋、紫芋、オレンジ芋……ひとえに芋焼酎と言えど、原料のサツマイモは、色も形も味もさまざま。品種が違えば、もちろん焼酎の味も違います。

そこで今回は、サツマイモの品種ごとの特徴を生かした芋焼酎をご紹介! 品種ごとの違いがわかるシリーズ商品から、珍しいサツマイモを使った焼酎まで、品種にこだわった銘柄を集めてみました!

サツマイモの品種について知りたい人はこちらもチェック!

芋焼酎、全部一緒だと思ってる?焼酎に使われるサツマイモ、こんなにあるんです。 | クラフトスピリッツを再発見するWEBマガジン

ウイスキーやラム、ブランデーなど世界の蒸留酒を見渡したとき、焼酎が「麹」を使ってつくられることは、とても特殊かつ特徴的な点。麹は焼酎にとって非常に重要な役目を担う。焼酎の酒質を左右する大切な第一歩だ。

芋の違いを飲み比べるなら、シリーズ銘柄をチェック

同じ品種のサツマイモでも、蔵元のつくりによって味わいは千差万別。品種ごとの味わいを知りたくても、品種による違いなのか、つくりの違いなのかを見分けるのはなかなか難しい。というわけで「サツマイモ比べ」の出発点にしたいのが、数種類の品種で展開している「シリーズ銘柄」。それぞれの芋の品種の特徴を生かした芋焼酎をシリーズとして打ち出す蔵元が、今じわじわと増えてきています。

宝山 蒸撰〉シリーズ|西酒造

異なる品種のサツマイモを使用した銘柄が揃う、鹿児島県の西酒造の〈宝山 蒸撰〉シリーズ。紫芋の「アヤムラサキ」、白芋の「シロユタカ」、紅芋の「ベニアズマ」、オレンジ芋の「タマアカネ」を使用した4種類の〈宝山 蒸撰〉は、それぞれ全く味わいが異なり、「本当にすべてサツマイモなの?」と驚くことうけあいです。

「アヤムラサキ」を使用した〈宝山 蒸撰綾紫 酒精乃雫〉は、ほのかな酸味と華やかな香りが爽やか。〈宝山 蒸撰白豊 酒精乃雫〉は、デンプンが豊富な「シロユタカ」によるたっぷりとしたうまみが印象的。さらに「ベニアズマ」を原料とした〈宝山 蒸撰紅東 酒精乃雫〉は、栗のようなこっくりとした甘さと深い余韻が楽しい1本。〈宝山 蒸撰玉茜 酒精乃雫〉は、オレンジ芋「タマアカネ」のフルーティさを生かした紅茶のような香りにノックアウトされるはず。芋の持つポテンシャルを最大限まで引き出した、蔵元の酒づくりへのこだわりが感じられるシリーズです。

宝山 蒸撰 シリーズ
芋焼酎〈宝山 蒸撰綾紫 酒精乃雫
度数 25度
原材料 
さつまいも(アヤムラサキ)、米麹
蒸留 
常圧
容量 720ml

芋焼酎〈宝山 蒸撰白豊 酒精乃雫
度数 25度
原材料 
さつまいも(シロユタカ)、米麹
蒸留 
常圧
容量 720ml

米焼酎〈宝山 蒸撰紅東 酒精乃雫
度数 25度
原材料 
さつまいも(ベニアズマ)、米麹
蒸留 
常圧
容量 720ml

米焼酎〈宝山 蒸撰玉茜 酒精乃雫
度数 25度
原材料 
さつまいも(タマアカネ)、米麹
蒸留 
常圧
容量 720ml

蔵元 西酒造 WEB→
所在地 鹿児島県日置市

SENGOKUGURA〉シリーズ|若潮酒造

鹿児島県志布志市の蔵元、若潮酒造が手がける〈SENGOKUGURA〉は、「シルクスイート」「ハマコマチ」「ベニコトブキ」「トキマサリ」の4種類のサツマイモを使用したシリーズ。手づくり蔵「千刻蔵」で甕仕込み、木桶蒸留機で蒸留した、クラフト感あふれるつくりが魅力です。

クラシックな製造方法ながら、味わいはどれも軽やかで、いわゆる“芋くささ”とは無縁。飲みやすい仕上がりです。紅茶や花の香りが楽しめる〈SENGOKUGURA NO HAMAKOMACHI〉や、ウッディな香ばしさが印象的なSENGOKUGURA NO SILK SUITE〉は、芋焼酎を飲み慣れていない人にもおすすめ。SENGOKUGURA NO BENIKOTOBUKIや、SENGOKUGURA NO TOKIMASARI〉は、ソーダ割りにすると芋のまろやかな甘味が花開きます。

SENGOKUGURA シリーズ
芋焼酎〈SENGOKUGURA NO SILK SUITE
度数 25度
原材料 
さつまいも(シルクスイート)、米麹
蒸留 
常圧
容量 720ml

芋焼酎〈SENGOKUGURA NO HAMAKOMACHI〉
度数 25度
原材料 
さつまいも(ハマコマチ)、米麹
蒸留 
常圧
容量 720ml

米焼酎〈SENGOKUGURA NO BENIKOTOBUKI
度数 25度
原材料 
さつまいも(ベニコトブキ)、米麹
蒸留 
常圧
容量 720ml

米焼酎〈SENGOKUGURA NO TOKIMASARI〉
度数 25度
原材料 
さつまいも(トキマサリ)、米麹
蒸留 
常圧
容量 720ml

蔵元 若潮酒造 WEB→
所在地 鹿児島県志布志市

みやこざくら〉シリーズ|大浦酒造

手づくりの麹と、全量甕仕込みにこだわる宮崎県都城市の老舗蔵元、大浦酒造。レギュラー酒の〈みやこざくら〉は、「コガネセンガン」をベースに、数種類の芋をブレンドした芋焼酎ですが、他にも趣向を凝らした姉妹品がシリーズとして並びます。

濃厚な甘みと舌触りでスイーツの材料としても人気の「金時芋」を使った〈みやこざくら 金時芋〉は、蒸留を経ることで後に残らない爽やかな風味が印象的。白芋「ジョイホワイト」が原料の〈みやこざくら 蒸留即詰 真無濾過は、蒸留直後に濾過せず瓶詰めした、芋の旨味とガス臭がたっぷりの玄人向けな1本。ここ数年で人気急上昇中のオレンジ芋「ハマコマチ」を使用し荒濾過仕上げを行った、果実味あふれる〈みやこざくら 浜小町〉など、さまざまな製法によって生まれるサツマイモの新たな表情を楽しめるシリーズです。

みやこざくら シリーズ
芋焼酎〈みやこざくら
度数 25度
原材料 
さつまいも(コガネセンガンをベースに、数種類の品種をブレンド)、米麹
蒸留 
常圧
容量 720ml

芋焼酎〈みやこざくら 金時芋〉
度数 25度
原材料 
さつまいも(金時芋)、米麹
蒸留 
常圧
容量 720ml

芋焼酎〈みやこざくら 蒸留即詰 真無濾過
度数 25度
原材料 
さつまいも(ジョイホワイト)、米麹
蒸留 
常圧
容量 720ml

芋焼酎〈みやこざくら 浜小町〉
度数 25度
原材料 
さつまいも(ハマコマチ)、米麹
蒸留 
常圧
容量 720ml

蔵元 大浦酒造 WEB→
所在地 宮崎県都城市

この銘柄でしか味わえない!珍しい芋を使った芋焼酎

現在国内で栽培されているサツマイモは、なんと約60種類! 焼酎づくりに使われる品種だけでおも、40種類以上に及ぶそう。なかには収穫数が限られ、今や幻となってしまった品種も。特定の銘柄でしか味わうことのできない、希少なサツマイモを使った芋焼酎を紹介します。

さつまげんち〉|オガタマ酒造

オガタマ酒造が手がける〈さつまげんち〉の原料は、「げんち芋(源氏芋)」。1895年に栽培が始まり、戦前戦後まで鹿児島県で多く栽培されてきた在来種のサツマイモです。味の良さから食用としても親しまれてきましたが、病気や害虫に弱く、生産効率が低いため、次第に他の品種に取って代わられました。

〈さつまげんち〉は、今では幻の芋となっているこの「げんち芋」を蔵元自ら自社栽培し、甕仕込みでつくった、手間ひまかけた1本。香りはほんのりと優しく、すっきりとキレの良い後味が印象的。お湯割りにすれば、芋焼酎らしいほくほくとした香りが広がる、昔ながらの芋焼酎です。

さつまげんち
芋焼酎
度数 25度
原材料 
さつまいも(げんち芋)、米麹
蒸留 
常圧
容量 720ml

蔵元 オガタマ酒造 WEB→
所在地 鹿児島県薩摩川内市

蔓無源氏〉|国分酒造

「げんち芋」の変異種として1907年に発見された「蔓無源氏(つるなしげんぢ)」。8つの在来種のサツマイモのなかで最もデンプン量が高く、食用としても優れていたため、戦前まで生産量が多かった品種です。しかし、「げんち芋」と同様、より収穫量の多い品種に押されて、戦後は絶滅寸前となった品種でした。

そんな「蔓無源氏」をわずか10本の苗から復活させて、芋焼酎として仕込んだのが、国分酒造の〈蔓無源氏〉。2005年の初仕込みでは「コガネセンガン」とのブレンドでしたが、今では全量「蔓無源氏」を使用。一口含むだけで、口いっぱいに押し寄せる甘みとうまみは、この銘柄にしかない極上の味わいです。

蔓無源氏
芋焼酎
度数 26度
原材料 
さつまいも(蔓無源氏)、米麹
蒸留 
常圧
容量 720ml

蔵元 国分酒造 WEB→
所在地 鹿児島県霧島市

明治之芋 五島灘〉|五島灘酒造

100年以上前、長崎県の五島列島に伝わった在来種のサツマイモ「金ボケ」。時代の流れと共に栽培量が減り、幻の芋となったこの芋を復活させて焼酎にしたのが五島灘酒造の〈明治之芋 五島灘〉です。

市場に出回ることなく、五島のとある民家で脈々と育て続けられていた「金ボケ」の親芋8つを、3年間かけて焼酎づくりが可能な1600kgにまで栽培というエピソードだけでもワクワクしますよね? 全量「金ボケ」で仕込んだ〈明治之芋 五島灘〉は、華やかな香りとサツマイモならではの濃密なコクが際立った、五島でしかつくることのできない希少な1本です。

明治之芋 五島灘
芋焼酎
度数 25度
原材料 
さつまいも(金ボケ)、米麹
蒸留 
常圧
容量 720ml

蔵元 五島灘酒造 WEB→
所在地 長崎県南松浦郡新上五島町

品種をブレンドした個性あふれる銘柄も続々登場!

品種ごとの特徴が分かってくると、次に気になるのが、異なる品種のサツマイモのブレンド。香りや風味の異なる原酒をかけ合わせて新たな味わいの焼酎を生み出すのは、蔵元の腕の見せどころ。ブレンドの妙によって生まれた個性的な銘柄を紹介します。

竃猫〉|落合酒造場

芋焼酎を中心に、かぼちゃやピーマンなど野菜を使った焼酎づくりも行う、宮崎県の落合酒造場。扱うサツマイモの品種も紫芋からオレンジ芋までさまざまで、宮崎県の契約農家で収穫したものだけを使用し、芋焼酎のブレンドにも力を入れる蔵元です。

定番銘柄のひとつ〈竃猫(へっついねこ)〉は、「コガネセンガン」を黒麹で仕込んだ原酒と、紫芋「ムラサキマサリ」を白麹で仕込んだ原酒をブレンド。「コガネセンガン」のはっきりとした香りの奥に、紫芋特有の甘酸っぱさが感じられる複雑な味わいが魅力です。

竃猫
芋焼酎
度数 25度
原材料 
さつまいも(コガネセンガン・ムラサキマサリ)、米麹
蒸留 
常圧
容量 720ml

蔵元 落合酒造場 WEB→
所在地 宮崎県宮崎市

ジョイオトメ〉|大海酒造

1994年に焼酎用のサツマイモとして開発された「ジョイホワイト」。同じ白芋系の「コガネセンガン」に比べ、デンプンを多く含んでいるのに対し、加熱しても甘くならず、淡麗な味わいの焼酎に仕上がるのが特徴です。

その「ジョイホワイト」と、どっしりした味わいの紅芋「ベニオトメ」の原酒をブレンドしたのが、大海酒造の〈ジョイオトメ〉。風味の全く異なるふたつのサツマイモの“いいとこどり”で、濃厚な香りとさらりとしたキレが両立する飲み心地の良い酒質に仕上がっています。

ジョイオトメ
芋焼酎
度数 25度
原材料 
さつまいも(ジョイホワイト・ベニオトメ)、米麹
蒸留 
常圧
容量 720ml

蔵元 大海酒造 WEB→
所在地 鹿児島県鹿屋市

紫やきいも黒瀬〉|鹿児島酒造

〈やきいも黒瀬〉を筆頭に、焼き芋焼酎のパイオニアとして知られる鹿児島県阿久根市の鹿児島酒造。数ある焼き芋焼酎のうちのひとつ、〈紫やきいも黒瀬〉は、丁寧に焼き上げた2種類の紫芋を使って仕込んだ、珍しいブレンド焼き紫芋焼酎です。

香りが華やかな「アヤムラサキ」の新酒と、上品な甘みを持つ「エイムラサキ」で仕込んだ古酒をブレンド。蜂蜜をたらしたヨーグルトのようなふんわりとした甘酸っぱさと、ワインのような芳醇な香り、クセのない後味のバランスが魅力です。甘みと酸味が際立つ紫芋の良さをとことん引き出した、紫芋焼酎好きにはたまらない1本です。

紫やきいも黒瀬
芋焼酎
度数 25度
原材料 
さつまいも(アヤムラサキ・エイムラサキ)、米麹
蒸留 
常圧
容量 720ml

蔵元 鹿児島酒造 WEB→
所在地 鹿児島県阿久根市

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