
9月11日、東京国際フォーラムで東京都国税局主催の「GI東京島酒KICK OFF」イベントが開催されました。飲食業者・酒販業者・メディア関係者限定のイベントでしたが、会場には約150人が集まり大盛況!3月のGI指定以降開催された「東京島酒」関連のイベント・会見では最大規模だったと思います。その様子をレポート致します。
最大規模のイベント

「東京島酒」は、酒類(焼酎)の地理的表示としては18年ぶり・九州・沖縄以外では初ということで、3月の指定以降大きな話題となっています。今回の「GI東京島酒KICK OFF」イベントも多くのメディアが取材に来ていました。

冒頭に主催者として挨拶した、東京国税局の星屋和彦局長は「国税局は国税の徴収だけでなく、酒類業の所管官庁として酒類業の健全な発展という重要な任務を担っています。GI指定されることで、産地にとっては地域ブランドとして他の酒との差別化・ブランドの保護ができますし、消費者にとっても一定の品質が確保されることによる信頼性の向上という効果がございます。本日ご参加の皆様には、GI東京島酒の魅力を発見するとともに、認識を深めていただき、GI東京島酒を知らない方にも発信していただきたいです」と話しました。
GI東京島酒管理委員会会長を務める奥山清満氏は「この度指定されましたGI東京島酒を柱に、品質の向上や時代にあった商品開発・伝統的な焼酎づくりなど全ての質を向上させ、島内外での消費量を継続的に増やしていきたいと考えております。GI指定をゴールとするのではなく、ここからがスタートです。今後、様々な苦難や問題があるとは思いますが、 1つ1つ着実に誠実に乗り越え、東京島酒の名に恥じぬよう日々精進してまいります」と話しました。

さらに、東京都副知事栗岡祥一氏からは、都知事からのコメントが代読されました。
「世界に誇れるものがまた1つ誕生しました。GIの指定は、地域ブランドの保護だけでなく、インバウンドを見据えた特産品としての知名度や信頼性の向上など、様々な効果が期待できます。東京都は、この宝物の一層の磨き上げを後押ししてまいります」と、小池百合子氏もGI指定を誇りに思っていることが表明されました。
国税局GI指定担当者も太鼓判を押す「東京島酒」

続いて、GI東京島酒の特性について、7月まで東京国税局でGI指定の担当をしていた国税庁課税部鑑定企画官補佐の米澤慎雄氏から解説がありました。

今回のGI指定のポイントについて、そもそもGI指定を受けるには
①酒類の産地に主として帰せられる酒類の特性が明確であり、
②かつ、その酒類の特性を維持するための管理が行われていると認められるとき
ことが必要です。②は産地の組合などによって担保されている場合が多いため、難易度が高いのは①なのだそう。
①は
・酒類の特性がある(品質や社会的評価)
・特性が確率している(一定期間の実績)
・特性が産地に帰せられる(産地との因果関係)
・原料・製法が明確である
という4つの条件に分かれますが、歴史や社会的評価、お酒の味わいなどの品質にまず特性があって、さらにそれが確立していて、かつその特性が産地と関係があって、原料、製法が明確である……とかなり多くのことが求められます。さらにこれら全部が揃っていることを文献などで証明をしなければならないのだそう。

その点、東京島酒の歴史は、薩摩出身の流人が焼酎の製法を島々に伝えたというロマン溢れるストーリーがあり、自然環境は「東京都の火山島」というユニークな土壌・土の特性があります。さらに米ではなく 麦を麹の原料とした製法が確立しているということで、「圧倒的な特性」が認められました。
加えて、「東京島酒」の香味の特性は酒類総合研究所から2019年に発表された論文で科学的に裏付けられており、その成分分析の結果はソムリエの評価や焼酎のガイドブックの記述ととも一致していたことから、GI指定に大きく進んだといいます。
最後に米澤さんは「ストレートなキレを楽しむも良し、個性を生かしてカクテルにして割って楽しむも良し、いろんな楽しみ方があると思います。私もファンの1人として末永く東京島酒を楽しんでいきたいと思います」とコメントされていました。
鮫島吉廣氏の基調講演
続いては、「島酒の文化と歴史を紐解く」と題した、鹿児島大学客員教授の鮫島吉廣氏の基調講演が行われました。

鮫島教授のお話の中では東京島酒の歴史や九州の焼酎造りと東京島酒の焼酎造りの共通点について解説されたのが印象的でした。


九州地方も東京島酒も共通するのは火山があり、米が取れないということ。「どちらも地域のハンデを乗り越えるために人間の知恵が深く関わって生まれました。年貢に納めるべき米粒を1つも使わないお酒作りを成功させたということは日本にはほとんど例がないと言っても良いです」と鮫島教授はコメント。

特に東京島酒では麹にも米ではなく麦麹を使用している点にオリジナリティがあるとお話されていました。
日本酒界のカリスマ・千葉麻里絵さんも「東京島酒」にハマった!
終盤では「GI東京島酒の可能性」と題したパネルディスカッションが行われました。

モデレーターは日本の食と酒の伝え手として本の編集やイベントのディレクションなどを手がける神吉佳奈子さん。
パネリストはバーテンダーで焼酎アンバサダーでもあるJoshin Atoneさん、西麻布EUREKA!オーナーの千葉麻里絵さん、株式会社宮原の宮原淳さん、八丈興発の小宮山善友さん、八丈島酒造合名会社の奥山武宰士さんです。

奥山武宰士さんは元Jリーガーという経歴を持ち、現在はUターンし、4代目として修行中。 「僕は蔵に戻ってまだ4年目で、今回のGI認定は先輩方の成果だと思っています。ただ、せっかくのチャンスですので、積極的に活用して自分と同世代の若い方にもアピールしていきたいですね」と想いを語りました。

千葉さんといえば「日本酒界のカリスマ」と呼ばれる存在。当然、日本酒のイメージが強いですが、「すごく面白いお酒があるんだって、あおちゅうを紹介してくれた方がいて。飲み比べをしたら自分のノートが新しい表現でどんどん埋め尽くされるような感覚が楽しくてどんどんハマっていきました」と東京島酒に注目するようになったきっかけを語りました。

Joshinさんは日本酒造組合中央会が制作した、海外の方へ東京島酒を発信する映像のお仕事に関った縁で2年ほど前に八丈島と新島を訪れたのだそう。「同じ東京なのに南国っぽい雰囲気で、風の香り湿度まで全然違う場所、違う世界にこう連れて行ってもらったような感覚だったことを覚えています。狐につままれたじゃないですけど、ちょっと不思議なところに来たなっていうような感じがありました」と話しました。

宮原淳さんは島での芋栽培の復活に取り組まれています。「それまでは島の貴重な食糧として食べるためにつくられていた『あめりか芋』と呼ばれる白くて小ぶりで甘いさつまいもを原料にした焼酎をつくりたいと考えました。現在は高校生が学校で育てた『あめりか芋』を焼酎『七福嶋自慢』にして、成人式に贈呈しています」と話しました。
途中、神吉さんが「島流し」という銘柄は刑罰の名前であることから、「このまま使ってるんだ!と驚かれる方もいませんか?」と聞くと、奥山武宰士さんは「縁起がいい名前ではないと思われるかもしれないんですけど、焼酎を伝えた丹宗庄右衛門は八丈島で幸せに暮らしたと言われておりますし、歴史を紐解くと『島流し』という名前は胸に刺さる東京島酒らしさだと思います」とコメント。

さらに小宮山善友さんも「情け嶋」という銘柄名について「『情け嶋』も、決して『情けない嶋』という意味ではなくて、八丈島の民謡の歌詞「沖で見たときゃ鬼島と見たが、来てみりゃ八丈は情け嶋」に由来するのですが、全国には八丈島出身&ゆかりのある方が多く、その方々が『情け嶋』を見た時に八丈島を思い返してもらいたいなと想いを込めて使い続けたいですね」と話しました。

終了後、神吉さんはSHOCHUNEXTの取材に対し、熱い想いを寄せてくれました。
「今日、東京島酒の酒蔵さんが一同に集ったことで、『やるぞ!』という気合を感じていただけたかと思います!今回のGI取得をきっかけに、羽田空港の国際線と国内線の売り場に東京島酒コーナーができたんです。今後はこのように売り場が少しずつ増えてくると思うので、どこかで見かけたらぜひ東京島酒を飲んでいただきたいですね。これまでは島に行かなければ飲むことが出来なかった焼酎も、今後は島から東京に、そして東京から世界に伝播することを期待しています!」
神吉さんと共に、私たちも東京島酒の魅力を伝えるお手伝いをしていきたいと思います!
試飲交流会ではあっという間に消える焼酎……!
その後、GI東京島酒試飲交流会が行われ、各焼酎の試飲に加え、Joshin Atoneさん監修の「GI東京島酒ハイボール」、千葉麻里絵さん監修の「GI東京島酒ペアリングフード」が提供されました。


ハイボールもフードもあっという間になくなるほど争奪戦!関係者も歓喜するほど美味しかったようです……!

筆者は最後の1杯だった「麦冠情け嶋×スタウトビール」をなんとか飲むことが出来ました。「麦冠情け嶋」の香ばしさとスタウトビールの深い味わいが見事にマッチしており、新しい魅力に気付くことができた気がします。自宅でもマネしてみたい!このようなアレンジも楽しみたいですね。
今後はますます東京島酒に注目が集まっていくことが予想されます!自分の「推し」焼酎や酒蔵さんを見つけてみたり、上級者は島を訪れる計画を立ててみても良いかもしれませんね!

