2025年6月28日(土)・29日(日)の2日間、大阪・南港ATCホール(アジア太平洋トレードセンター)にて「ウイスキーフェスティバル2025 in 大阪」が開催された。
国内外の蒸溜所が集い、出展ブース数は104に達し、2日間でおよそ5,000名が来場。会場はウイスキー愛好家たちの熱気に包まれた。
本記事では、28日(土)第二部の様子を中心に、ブースの声や現地の熱気をお届けする。
国内外から104のブースが出展
「ウイスキーフェスティバル」は、世界中のウイスキーが一堂に会する日本最大級の試飲イベント。蒸溜所はもちろん、ジンやラムなど多彩な蒸留酒も紹介される。
初開催は2007年。年々スケールアップを重ね、東京・大阪・京都・名古屋など全国各地で実施されてきた。
世界5大ウイスキーの定番銘柄から、注目のクラフト蒸溜所までが一堂に集結。味わいを比較しながら市場動向を探れる場としても貴重だ。
また、蒸留責任者やマスターブレンダーといったプロフェッショナルによるセミナーも充実。会場でしか味わえない限定品との出会いも魅力のひとつである。
ウイスキー愛好家はもちろん、これからウイスキーに興味を持ち始めた方まで、誰もが楽しめる内容となっていた。

国内外のウイスキーが一堂に会する

ジャパニーズウイスキーを代表するサントリーの「山崎」「白州」「響」が集まったブース。一時期の品薄ピークは超え、現在は徐々に落ち着きを見せていると担当者は話す。しかし、山崎蒸溜所の見学については現在も抽選倍率が高く、参加が困難な状況であるという。

普段は山崎蒸溜所でウイスキー製造に携わる岩本さんは、「本当にウイスキーに詳しい方が多い。若い方も目立ちますね」と驚きを見せた。

株式会社八海山が手掛けるウイスキー「魚沼8年」は、麦芽酵素によってお米を糖化させたライスウイスキーである。もともとは米焼酎をアメリカンオークで貯蔵していたが、着色が過ぎると焼酎と名乗れなくなることからウイスキーを手掛けるようになったという。
口に含むと樽由来の甘みが広がりウイスキーらしさを感じるが、フィニッシュには米の甘やかさが感じられる。アルコール度数は52度と高めではあるが、丸みを帯びており非常に飲みやすい。米を使ったウイスキーということで、国産ウイスキーに新たな風を吹き込むはずだ。

会場内では中国のウイスキーブースも大きく展開されていた。今回が初出店となった「煙台ギスポル酒造」の担当者は、「想定よりもいい反響が多くて良かった」と述べる。
中国国内では若年層を中心にビール、リキュール、ウイスキーの人気が高く、紹興酒や白酒といった伝統的な酒類から移り変わりつつあるという。

同社のウイスキー造りは13年続いているが、まだ日本での展開はないという。中国以外ではロシア、タイへの販路があるが、ほとんどが中国国内で消費されると担当者は話す。

日本でも馴染みのあるアメリカテネシー州の「ジャックダニエル」。同社の特徴である「炭濾過工程(チャコール メローイング)」が感じられるブースに仕上がっていた。
炭濾過工程を2度行った「ジェントルマンジャック」はそのスッキリとした味わいから、ストレートだけではなくカクテルのベースにされることも多いという。

ウイスキーの特徴である樽熟成を自宅で感じられるグッズも販売されていた。酒ハックプロジェクト株式会社が提供する商品では、「ヒノキ」「カエデ」「ミズナラ」といった木材に半日漬け込むだけで、いつものウイスキーを自分好みにカスタマイズできる。
ウイスキー以外の蒸留酒も活気溢れる
ウイスキーフェスティバルでは、ウイスキーにとどまらず、様々な蒸留酒も紹介された。国内では新たな蒸溜所の開設が相次ぐなか、ウイスキーの熟成を待つ期間の事業として「ジン」造りに挑戦する動きも目立っている。

前述した「魚沼8年」を手掛ける八海山は、ウイスキー事業としてニセコ蒸溜所を運営している。同社で製造を担当する角本さん「メインはウイスキーですが、熟成期間を待つ間はジンの販売もしております」と話し、質の高い3種類のジンを展開している。

中でも「ohoro GIN Limited Edition ラベンダー」はニセコ町の花であるラベンダーを使用した数量限定品。ラベンダー自体の収穫量が少ないことから、数も少ない貴重なジンである。
すっきりした酒質を目出したことから、ベーススピリッツはサトウキビ由来のものを使用。「ohoro GIN Standard」は世界三大酒類コンペティションの一つである「International Spirits Challenge 2024」において、ジン・カテゴリーの最高賞「トロフィー」を受賞している。

長野県下高井郡でウイスキーの製造を行う「野沢温泉蒸留所」。ウイスキーの熟成期間に「ジン」の製造販売を行っている。
同社でセールス・プロモーションを担当する青栁さんは「ジンもウイスキーと同じく本気で取り組んでいます。我々の蒸留所は長野県の一番北側、温泉とスキー場が有名な場所にありますので、ぜひ遊びにきてください」と話す。

「NOZAWA GIN」のシグネチャーモデルは杉やレモンのような爽やかな香味が楽しめる。また、今回の展示会では珍しい「アブサン」も提供されていた。

ジャパニーズジンのパイオニアとも呼ばれる「季の美」を手掛けた元木ヨイチさんは現在、京都で「Motoki蒸研」としてジンブランドの「yumarrest(やまれすと)」を手掛けている。
元木さん「夏限定として『Yumarrest ラムネ GIN』を展開しています。非常に売れ行きが良く、増産しているのですが完売が続いている状態ですね」
ラムネの爽やかさが非常に心地よく、ストレートでもスッと飲める。ソーダで割ると暑い夏にピッタリのドリンクになるジンだ。

常に多くの来場者が列をなしていた北海道の「馬追蒸溜所」。「東京ウイスキー&スピリッツコンペティション2025」では「メタモルフォシス ジ・オリジンII シングルモルト・ニューポット」、「MYAOI Gin Hatsukoi」が洋酒部門で金賞を受賞している。

ウイスキー、ブランデーに次ぐ「世界三大蒸留酒」に数えられる「白酒」も出展。「貴州茅台酒(マオタイシュ)」は中国の地理的表示製品であり、伝統的な製法で製造される歴史ある白酒だ。
中国国内では小さいグラスに白酒を注ぎ、食中酒としてストレートで楽しまれるという。
成長を続けるウイスキー市場

土屋さん「今年は出展ブース数が104と、昨年よりも増加しました。私たちのブースは会場内に収まりきらず、やむを得ず出入り口付近の屋外に設けることになったほどです。日本国内で新規の蒸溜所が増えていることもあり、『ぜひ出展したい』というお声をいただく機会が増え、市場の成長を肌で感じています」
また同氏は、中国では現在約90カ所のウイスキー蒸溜所の計画が進んでいる状況を背景に、「10年後、中国と日本のウイスキーの力関係がどう変化しているか分かりません」と語った。その言葉からも、業界のダイナミズムがうかがえる。
世界中の蒸留酒とその造り手が集まった2日間。ますます広がりを見せる蒸留酒の世界に、今後も注目していきたい。

