なかなか飲みには出かけられない日々が続き、家飲みがすっかり日常になったという飲んべえは少なくないはず。どうしたって避けられないのがマンネリ感。何かお酒が楽しくなるものないかなあ……。とぼんやり探していて見つけましたよ、自宅で簡単に樽熟成が楽しめるツールを! 「樽熟成って……小さめの樽ってこと?」って思いました? 今回見つけたのはもっと気軽な、その名も「樽スティック」。入れておくだけで樽熟成の風味が出るっていうんです。樽熟成のお酒好きからするとまるで魔法のようなアイテムですが、ホントにいい味と香りが出るのかな。さっそく入手して、焼酎における変化を徹底調査してみます!
オリジナル樽熟成ができる「樽スティック」ってなんだ?
樽スティックは、洋酒を寝かせる樽の材料として使われるミズナラやホワイトオークなどの木材をスティック状に加工したもの。樽同様にチャーリング(焼きつけ)しているため、瓶の中に2週間ほど漬けるだけでしっかりと木の香りがお酒に移り、樽熟成の効果が得られるんだとか!
国内外でさまざまな商品が発売されていますが、そのなかでも、国内唯一の洋酒樽メーカー、有明産業による「Taru Flavor」は、樽製造の技術が詰まった折り紙つき。ミズナラ、アメリカンホワイトオーク、やまざくら、くりの4種類の木材があり、それぞれ異なる紋様にチャーリングされています。
今回はこの「Taru Flavor」全種類と、4種類の焼酎・泡盛を使って樽スティック熟成を試します!
用意した焼酎・泡盛はこれ!
用意した焼酎は、柳田酒造の麦焼酎〈青鹿毛(あおかげ)〉、高橋酒造の米焼酎〈白岳 しろ〉、朝日酒造の黒糖焼酎〈朝日〉、宮里酒造所の琉球泡盛〈カリー春雨〉の4種類。比較的手に入れやすく、原料の味わいがわかりやすいものをセレクトしました。
720mlの全量を熟成させるには日数がかかること、また透明瓶で色の変化を見たいので、今回は250mlの瓶を用意。20日間かけて、それぞれの銘柄の色や香り、味わいの変化をチェックしていきますよ〜!
樽スティックで樽熟成焼酎づくり:初日
よーし! 樽スティックと焼酎・泡盛、熟成用の瓶も揃えて、さっそく熟成を開始!! と息込んだはいいものの、樽で熟成なんて実際にやったことはない……(当然)。いったいどの焼酎にどの樽スティックを合わせればいいのだろう? 悩んでも答えは見つからない。これまでの(飲んだ)経験と(飲んだ)記憶を頼りに、いざ!マッチング!
〈カリー春雨〉× やまざくら
琉球泡盛の王様と言っても過言ではない、宮里酒造の〈カリー春雨〉。泡盛特有のタイ米の香りと、まろやかな麹のコクのバランスはさすがのひとことです。“春”雨だから、“春”の風物詩・桜だな。というわけで合わせる樽スティックは「やまざくら」に決定。ふんわりと甘い香りの奥に、スモーキーな燻製感があるのが特徴です。調べたところ、山桜の樽で寝かせた琉球泡盛は今のところ見当たりませんでした(ご存知でしたらぜひ編集部まで!)。オリジナルの熟成が楽しめるのは、樽スティックの醍醐味です!
〈朝日〉× ミズナラ
朝日酒造が手がける黒糖焼酎〈朝日〉は、黒糖ならではの甘みと完熟トマトを思わせるフレッシュな香りが魅力。この爽やかな風味をより膨らませるにはと考えて合わせたのが「ミズナラ」の樽スティック。ミズナラ樽といえば、ジャパニーズポップスウイスキー好きには垂涎の樽材。各社、競うようにミズナラ樽を求めているではないですか。「アメリカンホワイトオーク」よりもしっかりとした甘い香りのあるミズナラ樽を好きな焼酎に漬け込めるなんて♡ 黒糖の甘み× ミズナラの甘みならば相乗効果で、より一層深い味わいに変化するはず。樽熟ビギナーながら「これは間違いなし!」と自信の持てる組み合わせです。
〈青鹿毛〉× アメリカンホワイトオーク
宮崎県の柳田酒造がつくる本格麦焼酎〈青鹿毛〉。常圧蒸留によって生まれる香ばしい麦感は、濃い麦茶を思わせるほど超・濃厚で、焼酎では珍しく白く濁りがあるのも特徴です。この白い濁りは、原料由来の油を繊細に残したもの。麦の香ばしさがしっかりと残る一本です。どっしりとした麦の味わいを生かすため、樽スティックは「アメリカンホワイトオーク」をセレクト! バーボンウイスキーでよく使われる、ほんのり甘くフルーティな香りの「アメリカンホワイトオーク」と、どっしりとした〈青鹿毛〉の麦感はうまくマッチするのでしょうか!?
〈白岳 しろ〉× くり
球磨焼酎〈金しろ〉や〈白岳〉でもよく知られる、熊本県の高橋酒造がつくる米焼酎〈白岳 しろ〉。ほんのりとした米の甘みとクセのない味わいで、フルーツやコーヒー豆など、リキュールのベースとしても使いやすいのが特徴です。合わせるのは、少し青っぽさもある、アンティーク家具のような年季の入った香りが特徴の「くり」の樽スティック。4種類の樽スティックのなかでも少しクセが強めです。どんなフルーツやナッツでも受け入れる〈白岳 しろ〉のポテンシャルを再確認すべく、独特な香りを持つ「くり」を合わせます。
樽スティック熟成開始!
瓶4本にそれぞれ樽スティックを入れ、スティック全体が浸かるまで焼酎・泡盛を注いだら熟成開始。ちなみにどれも樽熟成していない銘柄なので、樽スティックを入れる前の色は無色透明(〈青鹿毛〉は少し白濁)です。
漬けた瞬間に樽スティックから黄金色のエキスのようなものがじわり! 熟成の様子が目に見えてわかるのが新鮮です。
樽スティックを漬けて30分もすれば、ほんのりと黄金色に。色が出るスピードは〈朝日〉×ミズナラが一番早く、次が〈青鹿毛〉×アメリカンホワイトオーク。樽スティックの香りはどれもまだ出ておらず、焼酎本来の香りしか感じられません。
うーん、この調子で色が出れば、ひょっとすると20日後には超濃厚になっているかも! 蔵元の熟成庫を思い出し、直射日光の当たらない場所に保管すればあっという間に準備完了。これね、楽しいです。どの焼酎にどの材を合わせようかなと妄想したり、あの大好きなウイスキーはどんな樽で寝かせてるんだろう? と調べて真似してみたり、お酒好きならばいろんな楽しみ方がありますよね。樽スティックは何回か使えるとのことなので、たとえば初回はシェリーに漬けて→次に焼酎に漬ける、みたいなお遊びも手持ちのお酒でできそうだし! 家で楽しむお酒ならではの楽しみ方がいろいろ思い浮かびます。
さて次回はついに熟成編! 5日間ごとに色と味わい、香りの変化をチェックしていきます。果たして無事に樽スティックで樽熟成焼酎はできるのでしょうか⁉
今回使用した樽スティックと焼酎・泡盛はこちら!
Taru Flavor |
---|
【樽スティック】 原材料 くり、山桜、ミズナラ、アメリカンホワイトオーク 製造者 有明産業 オンラインショップはこちら→ |
カリー春雨 |
---|
【琉球泡盛】 度数 30度 原材料 米、米麹(タイ産米) 蒸留 常圧 蔵元 宮里酒造所 所在地 沖縄県那覇市 |