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焼酎を凍らせるとシャーベットになる⁉︎|〈焼酎シャーベット〉で夏にピッタリのデザートをつくってみた!

レシピ・飲み方・食

焼酎を凍らせるとシャーベットになる⁉︎|〈焼酎シャーベット〉で夏にピッタリのデザートをつくってみた!

Text : Taku Itoh(SHOCHU NEXT)
Photo : SHOCHU NEXT

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今年も、暑い!!  言うのも馬鹿らしいほどに、暑い!! アイスやかき氷などのつめたい食べ物を欲してしまいます。お酒もその例に漏れず、キンッキンに冷やして飲むと身体に染みるほどうまい! 冷たい食べ物と冷えたお酒は、夏の最高の喜びのひとつ。これを突き詰めて、2つをかけあわせた冷たいデザートをつくってみたら、幸せ倍増なのではないか?! ……というわけで、そんな願望を叶えるべく、焼酎を凍らせてつくる〈焼酎シャーベット〉と、シャーベットを使った夏にピッタリのデザート焼酎をご紹介します!

焼酎シャーベットとは?

「焼酎シャーベット」はその名のとおり、シャーベット状に凍らせた焼酎のこと。実は焼酎って冷凍庫で冷やすとひんやりとした冷たさとシャリシャリな食感が楽しめるシャーベットに変化するんです。いつもの焼酎とは比べ物にならないほど冷たいお酒になるから、夏にぴったり。シャーベット状の焼酎というと、主に居酒屋で甲類焼酎を用いたものが提供されていて、夏場にはけっこう人気がある様子。これは本格焼酎でやってもおいしいに違いない! 今回は自宅で焼酎シャーベットづくりに挑戦しました。

どうして焼酎は凍らないの?

それにしても、焼酎がカチカチに凍らずにシャーベット状になるのって、すこし不思議ですよね。これは、水とアルコールの凝固点(水から氷に変わる温度のこと)の違いによるものなんです。
水の凝固点が0℃なのに対して、アルコールはなんと-114.5℃! つまりアルコールは並の冷凍庫程度の温度では、なんの変化も起きないんです。お酒はそんなアルコールと水が混ざった液体。だから簡単に凍らないのはなんとなく想像がつくのではないでしょうか。

お酒と凝固点のおはなしは、以前の記事で詳しく掘り下げていますので、そちらをご覧いただくとより理解が深まりますよ!

水で割った焼酎の度数ってどれくらいなの?|焼酎のアルコール の謎を追う!<後編> | クラフトスピリッツを再発見するWEBマガジン

焼酎の度数は25度や20度のものが大半。前編では、その度数の秘密をいろいろに調べてみました。でも実際に飲むときには水やお湯、炭酸にお茶……と、いろんな割り方をすることが多いですよね。と、いうことは。飲むときの度数は変わっているわけだ。実際に僕らが飲むときの焼酎の度数ってどれくらいなんだろう?「焼酎って度数高いんでしょ」って言われたりするけど、それって本当なのかな? ……疑問がふくらんできたので、いろいろな飲み方による、焼酎の度数の変化を徹底的に測定して調べてみようと思います!

お酒の度数が高くなればなるほど、凝固点は低くなっていきます。どんなお酒でも冷やせばシャーベット状になるわけではなく、厳密にいえば-18℃前後の家庭用冷凍庫でシャーベット状になるのはアルコール度数10度〜25度くらいまで。あまりアルコール度数が低ければカチカチに凍ってしまいますし、逆に度数が高ければ凍らないんです。
そう考えると度数20〜25度が一般的な焼酎は、シャーベットにするのにうってつけ。さらにちょうどいい塩梅のシャーベット焼酎をつくるならば、アルコール度数は20度が理想的。

とここまでくると焼酎好きならば気づくでしょうか。夏になるとシャーベット焼酎にぴったりの季節限定焼酎が販売されることを! そう、最近よく聞く夏焼酎」です。

シャーベット焼酎をつくるなら夏焼酎だ!

各蔵元がこぞって出しはじめている夏焼酎」は、暑い夏に美味しくゴクゴク飲めるようにつくられた季節限定の焼酎。アルコール度数を20度前後まで調整したり、味わいをキリッと爽やかな風味にするなど、それぞれに夏ならではの工夫がなされています。ラベルデザインやボトルも暑さを吹き飛ばしてくれるような爽やかなものが多く、たしかに涼感いっぱいです。
夏焼酎の20度前後の度数設定は、程よく凍りやすいから、家庭の冷凍庫でシャーベット焼酎をつくるのに最高。今回はそんな夏焼酎を使ってシャーベット焼酎をつくっていこうと思います! 今回はふたつの銘柄で挑戦しみました。

新しいサツマイモでつくった、古澤醸造〈八重桜 夏焼酎〉

ブルーを基調としたボトルとラベルデザインが涼しげで、夏ぴったりの素敵なビジュアルの〈八重桜 夏焼酎〉。丈夫でたくましい品種として注目を集める「こないしん」を初めて使った古澤醸造の芋焼酎で、今年初蔵出しの銘柄になります。アルコール度数は20度でスタンダードな夏焼酎の度数ですが、しっかりとした芋の甘さと華やかな香りを感じることができます。夏らしく炭酸割りでもいいけど、ロックでじっくりと香りと味わいを楽しみながら飲むのにも合いそうな1本です!

八重桜 夏焼酎
芋焼酎
度数 20度
原材料 芋(こないしん)、米麹(タイ産米)
蒸留 常圧
容量 720/1800ml

蔵元 古澤醸造 WEB→
所在地 宮崎県日南市

さわやかで香ばしい麦焼酎・藤居醸造〈ふんわり涼やか 特蒸泰明〉

藤居醸造のフラッグシップ的銘柄である〈特蒸泰明〉。その原酒タンクのちょうど真ん中の層にあたる「中取り」のみを集めてつくっているのが夏季限定の〈ふんわり涼やか 特蒸泰明〉です。透明なボトルの中で金魚が泳いでいるように見えるように、裏側にプリントがされたラベルもきれい……。名前の通りの涼しげな演出がとっても素敵です。
味わいの方はというと、香ばしい麦の香りと、チョコレートのような甘さをしっかりと感じることができます。度数は19度で少し低めの設定となっており、アルコールの刺激感のない優しい口あたりがとっても飲みやすい印象でした!香りと味がしっかりしているので、こちらもロックで飲むのがオススメです。

ふんわり涼やか 特蒸泰明
麦焼酎
度数 19度
原材料 二条大麦、麦麹
蒸留 常圧
容量 720/1800ml

蔵元 藤居醸造 WEB→
所在地 大分県豊後大野市

シャーベット焼酎のつくり方

さて、シャーベット焼酎づくりにとりかかります! 手順は簡単、焼酎を冷凍庫で1日以上保存するだけ。このとき、シャーベットの取り出しが簡単になるので、ペットボトルやタッパーなどのやわらかい容器に移し入れておくのがおすすめです

僕はこんな感じでペットボトルに入れてつくりました。元の内容物の匂いが焼酎に混ざらないようにしっかり洗ってから使いましょう!

実はつくる過程で我慢できずに半日で取り出してしまったのですが、固まり具合が半端で、すぐにドロドロになってしまいました……。1日以上しっかり冷やしてあげるのは鉄則。しっかりとしたシャーベット状になるまで気長に待ちましょう!

このシャリシャリのシャーベット焼酎、氷を入れずに炭酸割りにすると、キンキンに冷えた状態かつ、味が薄まることなく最後まで楽しめるのが最高なんですよ……。

炭酸割りにするときは、最初は焼酎2に対して炭酸1の割合で濃いめでガツンと飲み始め、飲み進めるにつれて炭酸を少しずつ足していくのがおすすめの飲み方。最初の一口目で暑さが一瞬で吹き飛ぶような爽快な気分になれますよ!

炭酸割りでも十分においしく飲めるのですが、せっかくだからシャーベットの形状をいかして“食べる焼酎”としても楽しみたい……。というわけで、デザート感覚で食べられる方法を色々と試してみました!

夏のレモンサワーの決定版?! 〈レモン焼酎シャーベット〉

まずはレモンと焼酎のシャーベットを2:1の割合で混ぜるだけでできるレモン焼酎シャーベットです。こちらはレモンサワー的な感じで楽しめないかなと思って試してみました。

さっそく一口……。シャーベットにすることで、焼酎の味と香りにパンチが出ました。デザート的に食べつつ、しっかりと焼酎を楽しんでる感じもしておいしい。レモンとの相性もばっちりです。レモンとお酒の親和性の高さはやはり鉄板!この食べ方だと、八重桜の方が味わいとしては爽やかで相性がいいようです
市販のレモンシャーベットは甘めなので、レモンのすっぱさを楽しみたい人はレモン汁を絞りかけるのもおすすめです。そのまま食べ進めても十分おいしいですが、途中で炭酸を入れることでレモンサワーとしても楽しめます。
ちなみにシャーベットにしてデザートとして食べていますが、度数20度のお酒なので、普通にとても酔います。シャーベット焼酎の量には十分気をつけてつくってくださいね!

焼酎アロエヨーグルト

お次に焼酎シャーベットと合わせるのは、アロエヨーグルト。アロエの食感を楽しめること、ヨーグルトの酸味とまろやかな甘さが焼酎とマッチするのではないかというチョイスですが……。
思惑通り、ヨーグルトのまろやかな甘さと焼酎の香りがいい感じに融合してくれました!特に〈ふんわり涼やか 特蒸泰明〉の優しい甘さとの組み合わせが最高です。お好みでハチミツやレモンを加えて味の調節をしてみるのも良さそうです。ヨーグルトの味が濃いので、1:1で合わせるくらいが一番おいしい。甘さにと飲みやすさであっという間になくなるのですが、先ほどと同様めちゃくちゃ酔います……。ジュースや紅茶などのチェイサーを準備して楽しむのが良さそうです。

フローズンフルーツ焼酎シャーベット

最後に試したのは、去年紹介した「フローズンフルーツサワー」をいかしたフローズンフルーツシャーベット。これはもう、絶対においしいに決まっています。さっそく試してみましょう!

フローズンフルーツサワーの記事はこちらからご覧いただけます!

夏の家飲みの決定版!? 米焼酎<武者返し>でフローズンフルーツサワーに挑戦 | クラフトスピリッツを再発見するWEBマガジン

レモンサワー、流行ってますね(今さら)! 専門店ができたり、大手メーカーからも味違いのレモンサワーが出ていたり。ベースのお酒にはウォッカや甲類焼酎(連続式蒸留焼酎)などの蒸留酒が使われていることが多いようですが、あれ、熟成焼酎でやったらおいしいと思うんですよね……。元のお酒の味わいがより複雑で、うま味も深いわけですから。

凍らせたフルーツと焼酎シャーベットを盛り合わせるだけ! 今回はシャーベットさえつくればすぐに食べられるものばかり。家で試すならこれくらい楽なものがいいですよね。最初はフルーツが固いので、常温で数分置き、少し柔らかくなってから盛りつけるとちょうどいい食感で食べられますよ。 味はいうまでもなく最高! フルーツの甘酸っぱさと焼酎の香りが絶妙にマッチします。いちごとマンゴー、それからパイナップルと少し酸味が強い果物は、爽やかな〈八重桜 夏焼酎〉との相性がよかったですが、選ぶ果物が違えば別の焼酎との組み合わせでもおいしそう! 炭酸を入れればフローズンフルーツサワーとしても楽しめます。焼酎も凍らせたことで、果物が崩れにくくなるのでゆっくり味わえますよ!

シャーベットにした焼酎で、夏の新しいお酒の楽しみ方を発見しよう!

いかがでしたか? 焼酎シャーベットでつくるデザート、夏の休日の昼下がりにぴったりの味わいでした。デザート的に食べるだけでなく、炭酸などで割っても十分に楽しめます。こちらも氷で飲む普段の焼酎ハイボールとはひと味違った味わいになります。まだまだ続きそうな今年の夏。ぜひ、焼酎シャーベットを試してみてくださいね!

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