レモンサワー、流行ってますね(今さら)! 専門店ができたり、大手メーカーからも味違いのレモンサワーが出ていたり。ベースのお酒にはウォッカや甲類焼酎(連続式蒸留焼酎)などの蒸留酒が使われていることが多いようですが、あれ、熟成焼酎でやったらおいしいと思うんですよね……。元のお酒の味わいがより複雑で、うま味も深いわけですから。
というわけで究極のサワーを目指して今回僕らが目をつけたのが「フローズンフルーツサワー」。
その名の通りに凍らせたフルーツでつくるサワーは、見た目もかわいいし、夏にもぴったりだしと、試さない手はないなと思うんです。レモンがおいしいならいろんなフルーツでもおいしいに違いないし! 焼酎にハマっていくきっかけにもなりそうな1杯が次々に生まれましたよ!
ベースは米焼酎のヒーロー〈武者返し〉に決定
まず一歩目は、味の決め手のひとつであるベースの焼酎の選定。香りが強すぎるとフルーツの風味が生きないし、かといってすっきりしすぎだと個性のないサワーになってしまう……。そんなところから、今回のベースに決めたのは、熊本県人吉市・球磨焼酎の寿福酒造場による米焼酎〈武者返し〉です。
どしっとした米の甘みと、ふっくらした吟醸香。出荷前に2年ほどじっくりと寝かせたからこその丸みもあって、どんなフルーツでも柔らかに受けとめてくれそうです。球磨焼酎らしく、燗ロックやお湯割りもおいしい銘柄ですが、炭酸で香りを弾けさせたソーダ割りもおいしいので、これはいけそうな気がしています!
氷の代わりに凍ったフルーツで。フローズンフルーツサワーはけっこう簡単
フローズンフルーツ=凍らせた果物でつくるサワーは、氷を使いません。果物が氷の代わりをしてくれるから、溶けた氷で味が薄まることもなく、何よりもたっぷり入れた果物の甘みや香りでとっても飲みやすい!
つくり方はシンプルです。
①お好みのフルーツを適当な大きさに切って冷凍庫へIN!
フルーツは大きく輪切りにするのもいいしサイの目に切ってみるのもかわいいかも。もちろんスーパーやコンビニで売っている冷凍フルーツでもOKです! 切る手間が省けるし、凍らせる時間も短縮できちゃいます◎。
②凍ったフルーツをグラスに入れ、焼酎→炭酸水の順で加える。
基本は焼酎1:炭酸2。比率はお好みで変えても大丈夫です。炭酸水はグラスの縁からそ〜っと注ぐのがコツ。
今回、用意したフルーツは全部で8種類。すべてスーパーやコンビニで手軽に買うことができるものばかり。さっそく凍らせてその味を確かめてみましょう!
ド定番・柑橘類から始めます
(1)王道レモンサワーはとびきり酸っぱくてクセになる!
まずはサワーの王道ともいえるレモンサワーから。レモンは香りをしっかりと出すために、皮ごとカットするのがオススメです。輪切りもいいけど、櫛形切りにするとグラスの中でポコポコと踊るみたいでかわいい!
凍らせたレモンをたっぷり入れる→〈武者返し〉と炭酸を注いで飲んでみると……すっぺ~~!! 通常のレモンサワーよりもたくさんレモンを入れるからめちゃくちゃ味が濃い!でもなんだかクセになりそうな酸っぱさですね。これ、好きな人はかなり好きになっちゃう味です。酸っぱすぎるのが苦手な人は、ハチミツを入れるか、またレモンの半量を氷にすると飲みやすいと思います!
(2)甘やか&さわやかなオレンジサワー
お次はオレンジ! こちらは皮ごとだと苦味が強くなりすぎる印象でした。すべて皮をむき、実だけを凍らせるのがベストです。(写真は皮付きの段階で撮影したものです。ご了承ください!)
オレンジジュースほど濃くはないけど、柑橘らしい爽やかな香りとほんのりとした甘さがいい感じ! 〈武者返し〉の味と香りもしっかりと感じることができます。何よりも、後半になってくると溶けてきたオレンジが甘さを増してきておいしいし、食感もシャリシャリしてて大人のシャーベットみたい……。これはレモンにはないうれしさでした。
(3)柑橘/米焼酎両方のよさが楽しめるグレープフルーツサワー
お次も、スーパーで必ずといっていいほど手に入る柑橘のひとつ。ピンクグレープフルーツは、やっぱり皮をむいて実だけにします。カットフルーツを凍らせても大丈夫!
甘さはオレンジよりも控えめ、酸味もレモンほど強くない。そこへさらにグレープフルーツ特有の苦味が少し混ざりますね! 少し大人の味って感じがして、柑橘類の中でも個人的には最高の出来!こちらもグレープフルーツを食べながら楽しみましょう。
柑橘と米の熟成焼酎はやっぱり好相性!
柑橘系の果物はお酒の味をかき消すことなくフルーツの美味しさも楽しめるのがとても好印象◎。焼酎の香りとフルーツとの両方をバランスよく楽しみたい方には、柑橘系の果実がオススメです!
夏の定番フルーツでさらに挑戦
本格的に夏が始まってしまって、暑さにぐったり……。そんな時こそフルーツの出番です。旬の果物は栄養価も抜群。夏らしいフルーツでベストマッチが見つかりました!
(4)甘いスイカが焼酎にぴったり!スイカサワー
夏の定番の果物といえばスイカ! 小さめのダイス状にカットして凍らせると、見た目にもかなりかわいいカクテルっぽくなりました。
さてスイカですが、ほかの果物より溶けるのが少し早いかも? これは糖度が高い証拠。少し溶け出したところでスイカを崩しながら飲むと、スイカの甘さが口に広がってきてうま~~い!〈武者返し〉のにじみ出るような甘みもしっかりと感じられます。後半になるに連れてどんどんスイカの甘さが増してくるのもいい! 飲み終わった最後に残ったスイカはちょっとお酒を吸っていて、ほんのり焼酎の味が。味の変化が楽しいサワーでした。
ちなみに、溶けるのが早い果物は、グラスを小さめにしておくと、ひんやりがより長くキープできるのでおすすめです!
(5)口いっぱいに風味が広がるパイナップルサワー
お次はパイナップル! 南国産のものが多い、トロピカルフルーツの代表格ですね。今回はスーパーのカットフルーツを使います。
パイナップルのいいところは、果肉が崩れにくく、食感がしっかりとあること。ジューシーな果肉を頬張りながらお酒を流し込むと、口の中でとんでもなく濃いパインサワーが出来上がってめちゃくちゃうまい……!! 缶詰の輪切りのものをカットして凍らせるのもかわいいかもしれませんが、「口の中deパインサワー」は生の果実ならではかな? この味はぜひ試してほしいです!
(6)マンゴーサワーはゴージャスなリゾートの味!
こちらもトロピカルフルーツの定番・マンゴー! ちゃんと買うとちょっと高いけど、最近はコンビニなどであらかじめカットして凍らせたものが手に入りますよね。
こちらも糖度が高いせいかすぐに溶けてきました。フォークで潰しながら飲むのがいい! トロトロとしたマンゴーの食感と濃厚な甘みが〈武者返し〉に溶け込んでいき、お互いの甘みが増してくる! 飲みやすさでいうとマンゴーサワーはベストかも。フルーツ自体の香りも豊かなので、香りの強い樽熟成の焼酎とも相性が良さそうです。
まだまだあります。凍らせサワーにオススメのフルーツはこちら!
なんせフローズンフルーツサワー、つくるのが楽しいんですよ。見た目もカラフルで元気が出てくる! そんなわけで勢いに乗ってまだまだ試しました。特にこれは! と思ったオススメフルーツがこの2種類です。
(7)お酒の強くない人にも超オススメ!キウイフルーツサワー
手に入る範囲のフルーツであれこれ試してみた中で、ダントツのおいしさだったのがキウイフルーツ!
凍ったキウイをたっぷり目にグラスに入れて、〈武者返し〉と炭酸を注ぐと……。キウイが濃い! すっごくキウイが濃いです! しっかりとした酸味と甘みが、骨格のしっかりした〈武者返し〉の味とよく合います! お楽しみは溶けはじめた頃合い。焼酎の染みた果肉がまたうまいんです。
一口大の大きさにカットするのはもちろん、丸くすくったり、型抜きでかわいい形に切り抜くのもよさそうです。
(8)ホームパーティーにもぴったりのお気軽ミックスベリーサワー
最後にオススメするのが、スーパーやコンビニの冷凍食品コーナーでよく見かけるようになったミックスベリー。カットの手間もないし、ホームパーティーにもよさそうです。
今回はストロベリー、ブルーベリー、ラズベリーが入っているものをチョイス。買ってきたものをすぐ開封してグラスに入れます。転がり出てきた赤と青の小さな果実がもうすでにかわいい! さらに焼酎と炭酸を注ぐと、ベリーの色が溶け出してお酒がピンク色に変わった! 見た目のかわいさでは他を寄せつけません。果実を口に含みながらお酒を飲むとそれぞれのベリーによって少しずつ違った味が楽しめるのがいいですね。
お好みのフルーツと焼酎の組み合わせを楽しんで!
フローズンフルーツサワー、かなりいいじゃん!というのが僕の結論。選ぶフルーツによって、果肉をつぶしながら飲んだり、シャーベットのようになったりと食感が変わるのも楽しい。
桃やブドウ、さくらんぼやみかん……。季節ごとに手に入る旬の果物を凍らせて試してみるのがいいかなあと思います。樽熟成タイプ、すっきり系/どっしり系などなど、ベースの焼酎によっても味がグッと変わってきそうですよね。いろいろな果物と焼酎を組み合わせて、自分のお気に入りのフローズンフルーツ サワーを作ってみてはいかがでしょうか?
今回の絶品フローズンフルーツサワーはこの焼酎でつくりました
とっても打率高くおいしいレシピが生み出せた今回のフローズンフルーツサワー。この米焼酎〈武者返し〉あってこそ!
〈武者返し〉をつくる寿福酒造場は、熊本県人吉市の小さな蔵。米焼酎に減圧蒸留のブームが押し寄せたときにも、常圧蒸留一筋でお酒をつくり続けてきた蔵です。ぴっかぴかに磨き上げられた蒸留器で醸す米焼酎は雑味がなく、米本来のうま味と甘みを感じる味わい。タンクで2年程度寝かせてから出荷されています。
武者返し |
---|
貯蔵 2年以上(ホーロータンク) 度数 25度 原材料 米・米麹・水 蒸留 常圧 |
〈武者返し〉をつくる寿福酒造場の蔵訪問の記事もあわせてお読みください!
米焼酎の甕熟成の極み〈武者返し〉が眠る場所|南雲主于三さんとめぐる熟成焼酎蔵元の旅「寿福酒造場」編 | 熟成を知る、焼酎を楽しむWEBマガジン 「SHOCHU NEXT」
ミクソロジスト・南雲主于三さんと巡る南九州・蔵元の旅。3軒めの訪問先は「寿福酒造場」です。焼酎業界全体が減圧蒸留のすっきりタイプに流れたときにも、脇目もふらず、原料の味がどっしりと出る常圧蒸留にこだわってきたこちらの蔵。クリアな液体だけど口に含むと米らしいふくよかな甘みがあり、それでいてキレもよい〈武者返し〉が知られますが、実は〈武者返し〉を含む全銘柄が2年半ほどの熟成期間を経ています。あの甘みとうま味を生み出す焼酎づくりの過程とは……? 蔵を訪ねてその現場を見せていただきました。