度数高めのわりにさっぱりとした飲み口で、女性にも人気の高いコニャックベースのショートカクテル「サイドカー」や、ベースをスコッチウイスキーに変えた「サイレント・サード」。ミクソロジストの南雲主于三さんによる熟成焼酎を使ったカクテル第3弾は、このアレンジバージョン。シェリー樽熟成の球磨焼酎〈奥球磨〉を使って、とびきりおしゃれな一杯が仕上がりました!
「Rich & Long」のつくり方
【レシピ】リッチ&ロング – Rich & Long – |
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-〈奥球磨〉30ml -コアントロー 10ml -レモンの絞り汁 10ml -巣蜜のシロップ 10ml シェイカーに順番に入れてシェイク。ショートグラスに注ぐ。 |
COMMENT|レシピについて
「常圧蒸留でつくる米焼酎をシェリー樽で7年熟成した〈奥球磨〉。実は、シェリー樽熟成の蒸留酒は、あまりカクテルには向かないんですよね。たとえばウイスキーでいうとマッカランなどは、我々バーテンダーはあまりハイボールは薦めないはず。シェリーカスクは混ぜるとえぐみが出やすいんです。だからシェリー樽熟成というとどっしりとロックや水割り……となりがちなのですが、〈奥球磨〉ではそちらにいかず、さっぱりとしたものをつくりたいと考えました。というのも、〈奥球磨〉はその余韻に、米焼酎ならではの香ばしさがある。さらに、まるでアメリカンオーク樽やフレンチオーク樽で熟成したようなフルーティーさも感じるんです。シェリー樽熟成なのだけど、独特のフルーティーさと香ばしさがあるのは米焼酎ならではだと思いますね。その長所を生かしたカクテルです。
サイドカーのレシピだと、コニャック/コアントロー(オレンジのリキュール)/レモンジュースが30ml/15ml/15ml。〈奥球磨〉バージョンはコアントローとレモンジュースを各10mlにして、巣蜜を10ml足しました。
カクテル名は、味わいの余韻がとても長く、贅沢な気分を味わわせてくれるところから。リッチ&ロング、豊&永です(笑)!」(南雲さん)
TIPS!|家のみで楽しみたい人のためのコツ
「シェイカーを使うので、家飲みではちょっと難しいかな? 行きつけのバーなどでぜひお願いしてみてください。今回は無濾過・非加熱の巣蜜を溶かして使っていますが、普通のハチミツで大丈夫。バーにハチミツがない場合は、コアントローを多めにするといいと思います」
TASTE NOTE |味わい
「米焼酎ならではの甘さ、フルーティーさにコアントローのオレンジ、レモン、ハチミツがすんなりと合います。飲みやすくて、サイドカーと同じく女性にも好まれそうですね。最初にくるのはシトラスの味わい。その後、焼酎の味わいがかなり長く続きます。チョコレートならオランジェ、それから酸味のあるレアチーズケーキも合いそうです」
主役の熟成焼酎と蔵元のこと
球磨焼酎の蔵元として1894年に創業した豊永酒造。創業当初から自社の田んぼを持ち、有機無農薬栽培にもいち早くから取り組む。現在は16軒の米の契約農家、自社の田園ともに、オーガニック認証を受け、年間60トンあまりの米を球磨の美しい水で仕込む。テロワールに対する思い入れは強く、レギュラー酒〈豊永蔵〉をはじめ、すべてのアイテムにトレーサブルな国産の原料のみを使うなど、地球環境への意識も高い蔵。熟成焼酎の銘柄は〈奥球磨〉のほか、やはりシェリー樽で10年熟成した〈月夜にこい〉、15年熟成の原酒〈海中文殊〉など。
〈奥球磨〉
減圧蒸留の米の本格焼酎を、7年間シェリー樽で熟成。樽熟成ならではの淡褐色の色合いが酒税法上「本格焼酎」としての吸光度を上回るため、食物繊維を2%加えて分類上は「リキュール」として発売している。「色を抜かない=熟成の味わいを損なわないことを選択されているのは僕はとてもいいと思います。7年の熟成でここまでの色が出るのは、寒暖差の激しい球磨地方の土地柄でしょうね。米焼酎ならではのアプリコットのようなフルーティーさがあり、後味は香ばしくナッツっぽい。樽熟成によってこの味わいは少しずつ変化します」
奥球磨 |
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【米焼酎】 貯蔵 7年(シェリー樽) 度数 40度 原材料 本格米焼酎、食物繊維 蒸留 減圧 蔵元 豊永酒造 WEB → 所在地 熊本県球磨郡 |