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〈特吟 六調子〉の「Outrage」|トップバーの提案。熟成焼酎でカクテルをつくる! #02

レシピ・飲み方・食

〈特吟 六調子〉の「Outrage」|トップバーの提案。熟成焼酎でカクテルをつくる! #02

Text & Photo : SHOCHU NEXT

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ウイスキーのどっしりと芳醇な味わいに、アマレットリキュールのアーモンドによく似た甘い香りが漂うカクテル「ゴッドファーザー」。映画史に名を刻むマフィア映画の大作『ゴッドファーザー』の公開直後に生まれ、世界中に広まったカクテルだ。ミクソロジスト・南雲主于三さんによる熟成焼酎カクテルの第2弾は、どしんとパワフルなこのカクテルのアレンジ。格別にパンチのある米の熟成焼酎〈特吟 六調子〉はどんな味わいを見せるのでしょうか。


「Outrage」のつくり方

【レシピ】アウトレイジ – Outrage –
-〈特吟 六調子〉 40ml 
-アマレットリキュール 10ml 

材料を合わせてよくステアして氷を入れたグラスに注ぐ。混ぜる際、ミキシンググラスを使うと、より本格的なホームバーに!

COMMENT|レシピについて

「先代から焼酎の熟成に着目して研究を重ねてきた六調子酒造。3代目で現在の社長である池邉道人(いけべみちと)さんも、熟成については相当に勉強されていて、現在、蔵ではホーロータンクと樽で熟成をされています。基本的に常圧の銘柄はすべて3年以上の長期貯蔵、それも3年以下のものを混ぜずに100%長期貯蔵酒のみでつくることにこだわりを持たれていたりと、熟成に関しては、焼酎の蔵元のなかではかなりはっきりとした哲学を持っているように感じます。いくつもの熟成焼酎の銘柄があるなかで僕が今回特に気に入ったのは〈特吟 六調子〉です。ホーロータンクでの11年熟成、でもちょっとだけ隠し味でさらなる古酒が入っているとかいないとか……(笑)。〈特吟 六調子〉は、バターのような香りが猛烈に特徴的! この風味はどこからくるのかというと、おそらくは原料の米、そして特に常圧蒸留の際によく出る、米の油分でしょうね。再留を行う世界のほかのスピリッツは大抵、原料の油分は酸化すると悪さをする、という考えで完全に取り除くんですが、焼酎づくりの場合、悪いことばかりではなく、独特の風味になると考えるんですよ。〈特吟 六調子〉はまさにそう。絶妙にコントロールされた米の油分が、熟成することでバターのような濃厚で豊かな風味を醸し出していると感じます。ほとんど“バターのお酒”といってもいいようなこの豊かな味を最大限に生かすなら、ある程度の量を使い、シンプルな構成のカクテルがいい。そう考えて、ゴッドファーザーのアレンジに辿り着きました。

カクテルの由来でもある映画『ゴッドファーザー』はイタリアンマフィアを扱った映画。その日本バージョンということで、『アウトレイジ』が今回のカクテル名! しっかりとした味わい、がつんとした余韻を楽しめる一杯になりました」(南雲さん)

TIPS!|家のみで楽しみたい人のためのコツ

「シンプルなレシピなので家でも試しやすいと思います。氷を入れたグラスに注ぐ前に、よくステアしてなじませること。まず焼酎の香りが先に立って、その後にアマレットの香りが追いかけてくるのが正解です。家で試すなら、一杯ずつではなく、まとめてつくってボトルで保存したりするのもいいですよ。好きなときに好きな量だけ注いで楽しめます」

TASTE NOTE |味わい

「まったりとまろやかな〈特吟 六調子〉の味わいが、とろっと甘いアマレットリキュールにものすごくよく合います。レシピとしてはとても簡単だけど完成度はとても高いと思います。ほんのちょっとの苦味とのペアリングがよさそうなので、たとえばコーヒーのボンボンショコラ、生キャラメルを入れたチョコレートなどはよさそうですね。ペアリングは、似た味を合わせるより対極のものを合わせるのがコツです」

主役の熟成焼酎と蔵元のこと

明治時代創業の蔵元が多いなか、六調子酒造は大正時代が終わりに近づいた1923年創業とすこし若め。焼酎は土地と結びついた文化であるという意識を強く持ち、〈六調子〉シリーズは20世紀日本を代表する型染めの工芸家にして人間国宝の芹沢銈介が手がけるなどラベルデザインにも力を入れてきた。熟成焼酎の銘柄は数多く、〈特吟 六調子〉のほか、29年熟成/12年熟成/10年熟成の米焼酎をブレンドした〈古代一壺〉、米と麦の熟成焼酎のブレンド〈大古酒 とろしかや〉〈超古酒 とろしかや〉など、それぞれに個性ある銘柄が揃う。

熟成焼酎のバリエーションが豊富な六調子酒造の各銘柄。オーク樽熟成の〈古代一壺〉、麦と米のブレンド〈とろしかや〉シリーズなど、一度飲むと離れられない個性ある味わいの銘柄が揃う。

〈特吟 六調子〉

常圧蒸留でつくる球磨焼酎の中でもひときわ香り高く、コクのある六調子は、第一次焼酎ブームの先がけのひとつ。なかでも〈特吟 六調子〉は蔵を代表する看板銘柄。米の甘さと香りとコクが絶妙なバランスで、とろっとした風味になるお湯割りもお薦め。「六調子酒造の銘柄は、どれも根底に米の甘みがしっかりとある。熟成に関しても、やりたい方向性がきちんと見える蔵だなと思います。バター、バターと言っていますが(笑)、この味は飲んでみないと分からない……。ぜひ試していただきたいです」

〈特吟 六調子〉
【米焼酎】
貯蔵 11年(ホーロータンク)
度数 35度
原材料 米・米麹(白麹・黄麹ブレンド)
蒸留 常圧

蔵元 六調子酒造  WEB →
所在地 熊本県球磨郡 

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