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地理的表示に「東京島酒」が仲間入り!国税局で行われた「伝達式」の様子をレポート

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地理的表示に「東京島酒」が仲間入り!国税局で行われた「伝達式」の様子をレポート

Text & Photo : Kaho Matsumoto

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3月13日、焼酎業界にビックニュースが飛び込んできました。平成17年以来の18年ぶりに焼酎のGI指定に新たに「東京島酒」が加わったのです。3月29日には東京国税局にて地理的表示「東京島酒」伝達式が開催されましたのでその様子もお伝えします。

地理的表示(GI)とは

地理的表示(GI)とは、伝統的な生産方法や産地の特性が品質などに結びついている酒や農産物などを国が地域ブランドとして登録し保護する制度。なかでもお酒の地理的表示(GI)は、そのお酒について「正しい産地」であること、「一定の基準」を満たして生産されたことを示すものです。

日本酒や焼酎を選ぶ際、どのお酒が美味しくて安全なのかを判断するのは至難の業です。特にネットなどで購入する場合や試飲ができないお店で選ぶ場合、ラベルだけを頼りにそのお酒のクオリティを判断することは難しいのではないでしょうか。そんな時にひとつの判断基準となるのが「地理的表示(GI)」です。

たとえば焼酎のラベルに「壱岐」と記載されていれば、長崎県壱岐市で生産された麦焼酎なのだと多くの方が思うでしょう。しかし、悪質な生産者が「これはたまたま『壱岐』というネーミングにしただけで、長崎県では生産していません」と勝手に壱岐を名乗っていたら……安心して焼酎を選ぶことができなくなってしまいます。

地理的表示(GI)はこうした地域ブランドへのただ乗り防止・模倣品の排除、信頼性の向上をするための制度で、清酒・ぶどう酒・蒸留酒・梅酒で日本の伝統的なお酒としての「日本酒」を含む23の地域が指定を受けています。

焼酎のGI指定は18年ぶり5件目

焼酎・泡盛ではこれまで「壱岐焼酎」「球磨焼酎」「薩摩焼酎」「琉球泡盛」の4つがGI指定を受けていました。そこに3月13日、平成17年以来18年ぶりに「東京島酒」が加わったのです。産地の範囲は大島町、利島村、新島村、神津島村、三宅村、御蔵島村、八丈町、青ヶ島村で、生産基準は
(1)原料
◆ 芋類に国内で収穫されたさつまいものみを用いたものであること。
◆ こうじに麦のみを用いたものであること。
◆ 水に伊豆諸島の島内で採水した水のみを用いたものであること。
(2)製法
◆ 伊豆諸島の島内で発酵、蒸留及び貯蔵が行われていること。
◆ 原酒及び製品の貯蔵は常温で行うこと。
◆ 麦又は芋類、こうじ及び水を原料として発酵させたもろみを、単式蒸留機をもって蒸留したもの及びそれらを混和したものであること。
◆ 消費者に引き渡すことを予定した容器に伊豆諸島の島内で詰めること。
となります。

地理的表示伝達式では「東京島酒」ロゴも初公開!

3月29日には東京国税局にて地理的表示「東京島酒」伝達式が開催されました。東京国税局長から伝達文書の交付を受けたのはGI東京島酒管理委員会の会長を務める、八丈島酒造の奥山清満さんです。

右:八丈島酒造の奥山清満さん

奥山さんは交付後のあいさつで、「島内に焼酎の蔵は9軒ありますが、互いにライバルでありながらも今後は『東京島酒』を盛り上げていくひとつのチームです。人口減少をはじめ、若者のお酒離れなど様々な要因で島内の消費量は年々減ってきています。しかしこれからはGIを柱に、品質の向上や時代にあった商品開発を行い、ひとつひとつ着実に日々精進してまいります」と話しました。

谷口酒造の谷口英久さん、坂下酒造の沖山範夫さん、八丈興発の小宮山善友さん、八丈島酒造の奥山清満さん、株式会社宮原の宮原淳さん

伝達式には谷口酒造の谷口英久さん、株式会社宮原の宮原淳さん、坂下酒造の沖山範夫さん、八丈興発の小宮山善友さんも出席しました。

株式会社宮原の宮原淳さん

谷口酒造の谷口英久さん

坂下酒造の沖山範夫さん
八丈興発の小宮山善友さん

八丈興発の小宮山善友さんは「これまでも島外に売っていきたい気持ちはありましたが、どういう名前で売るのがいいのか悩んでいました。しかしGI認定を受け、これからは『東京島酒』としてみんなで統一して売ることができるのは嬉しいです。今後の最終目標としては輸出もしたいと思っています。そのためにはまず東京の玄関口である羽田空港やスカイツリーなどに棚を置けたらいいなと思っています」と今後の展望について語りました。

「東京島酒」のロゴ

そして初めて「東京島酒」のロゴも公開!伊豆諸島島々のつながりと力強さを表したもので、今後は焼酎のラベルや化粧箱、のぼりなどに使用される予定だそうです。

秋には国税局主催のイベントも予定しているとのことで、伝達式内では「東京島酒の日」を作りたいですねという展望も飛び出しました!これからますます盛り上がっていきそうな「東京島酒」から目が離せません!

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