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めくるめく蒸留酒の世界を堪能!「Whisky Festival 2024 in OSAKA」へ日本酒好きが初参加
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2024年6月29日(土)30日(日)、大阪南港ATCホールにて「Whisky Festival 2024 in OSAKA」が開催されました。今回は初めて2日間(全4部制)に渡り実施され、ウイスキーだけではなくジン、焼酎などを取り扱うブースが100近く出店。合計5,000人の来場者が足を運び、大盛況のうちに終了しました。

筆者はいつも日本酒を中心とした「醸造酒」のイベントに足を運ぶことが多く、本イベントへの参加は今回が初。本記事では一日本酒好きが初めて蒸留酒イベントに参加して感じたことや、気がついたことを中心にレポートしていきます。

Whisky Festivalとはどんなイベント?

Whisky Festivalとはどんなイベント?

「Whisky Festival」とは、ウイスキーに関連する事業を行う株式会社ウイスキー文化研究所が主催するイベントです。ウイスキー蒸留所、メーカー、卸、酒販店、飲食店などのブースが並び、それぞれで無料、有料の試飲が可能。商品の販売を行っているブースも多く、即売会としての役割も担っています。

ウイスキー文化研究所は2019年、アジア最大級の出品数を誇る品評会「東京ウイスキー&スピリッツコンペティション(TWSC)」を主催。2020年には焼酎部門も新設されたことから、本イベントにおいてもウイスキーだけではなく焼酎や泡盛といった蒸留酒も数多く並んでいました。まさに蒸留酒ファン必見のイベントといえるでしょう。

とにかく便利だった「特性トレイ」

1部あたり3時間半の設定になっているのでゆっくり回れるのは嬉しいポイント。本イベントの来場料は4,400円であり、チケット制ではなく基本は試飲無料。有料試飲は各ブースで別途精算する形になっています。

とにかく便利だった「特性トレイ」

会場に入るとパンフレットを入れる「バッグ」、試飲カップを入れる「特性トレイ」、そして「水」が配られます。会場内ではペットボトルの水が無料で配られていることに驚き。度数の高い蒸留酒だからこそ、チェイサーの重要性を強く感じます。

とにかく便利だった「特性トレイ」

「特性トレイ」がとにかく便利でした。こうしたイベントでは複数銘柄の同時飲み比べが難しいシーンが多いですが、このトレイが全てを解決してくれます。会場内にはテーブルが比較的少ない印象でしたが、全く問題なかったのはこのおかげです。

権威性の高い資格が存在する

会場にはウイスキー文化研究所が認定する資格「ウイスキー検定」のテキスト、問題集の販売も。世界のウイスキーを対象に歴史や原料、製法、さらには飲み方まで幅広い知識を網羅できる試験になっています。

権威性の高い資格が存在する

また、会場中心のメインステージでは「マスター・オブ・ウイスキー」の合格者表彰式も行われていました。論文審査、筆記試験、口頭試問、官能試験を経て認定される、「ウイスキーコニサー」の最高峰。今年の合格者を含めて、まだ日本に17人しかいない最難関資格です。合格者の方は「数年かけてようやく取得できた」と喜びを口にしていました。

権威性の高い資格が存在する

日本酒イベントなどでこうした資格取得に対する授賞式などを行うことはあまり見かけないので、非常に興味深く感じました。資格試験の立ち位置が確立されており、しっかりと権威性を持っている点はワインの世界と似ているかもしれません。

盛り上がるジャパニーズウイスキー市場

現在、国産ウイスキー銘柄の多くが価格高騰しているとよく耳にします。国内の酒類消費が減少する中、なんとウイスキーの消費量は増加傾向にあるそう。

盛り上がるジャパニーズウイスキー市場
出典:https://www.provej.jp/column/na/japanese-whisky/#co-index-0

高い品質、希少価値の高さなどいろいろな要素が考えられますが、厳しい状況が続く酒類業界においてここまで勢いがあることは驚きです。

本イベントでもここ数年で新たにウイスキー市場に参入した蒸溜所が数多く参加。ジャパニーズウイスキーの盛り上がりを肌で実感できました。

盛り上がるジャパニーズウイスキー市場

2023年に設立された「養父蒸溜所」は、グレーンウイスキーの未熟成原酒の飲み比べを提供していました。出光興産の特許技術を用いた、画期的な濾過方法によって新しい味わいを実現。初出荷は2026年9月が見込まれているそうです。TWSC2024では「ベスト・デザイン賞」を受賞。準備段階から注目できる点は非常に興味深いですね。

盛り上がるジャパニーズウイスキー市場

医療機器や産業機器の製造販売を行う吉田電材工業は、2022年に「吉田電材蒸溜所」の稼働を開始。国内初のバーボンタイプを通して、ジャパニーズウイスキーの可能性をさらに広げようとしています。TWSC2024では、年間で活躍した蒸溜所に贈られる「ベスト・ジャパニーズ・クラフト・ディスティラリー」の一つに選出されています。

試作品ということでボトルは薬品などの試験瓶を使用。ウイスキー全体に言えることですが、各銘柄の瓶デザインが個性的でおしゃれなことも面白いです。

盛り上がるジャパニーズウイスキー市場

2016年に設立された「静岡蒸溜所」。杉材を使用した発酵槽、薪を使った蒸留など個性的な造りが特徴です。担当者は「2016年当時はまだ国内のウイスキー蒸留所は今ほど多くなかったですが、その後に急増したと感じます」と語る。

現在、日本には114箇所の蒸溜所が存在しますが、2014年〜20年までの期間で30以上の蒸溜所が新設されています。3割近くの蒸溜所がこの10年程度で表れていることからも、成長の力強さが見て取れるでしょう。日本酒の酒蔵は年々減少傾向にありますので、あまりの違いに驚いてしまいます。

盛り上がるジャパニーズウイスキー市場

カッパのCMで有名な京都伏見の酒造メーカー黄桜も2021年から「丹波蒸溜所」の稼働を開始。スコットランドで製造されたポットスチルを導入し、華やかで芯のある味わいを持ったウイスキー造りを行っています。

盛り上がるジャパニーズウイスキー市場

鹿児島で100年以上焼酎を製造する小牧醸造は2023年よりウイスキー事業を開始。焼酎で培ってきた蒸留技術をウイスキーへ応用することで、焼酎の認知度向上も目指しています。鹿児島といえば焼酎のイメージが強いですが、今後はウイスキーの存在感も増していくことが考えられるでしょう。

一部例外を除き、現在は清酒製造免許の新規発行は認められていないため、日本酒イベントでこうした「新規メーカー」が並ぶことは基本ありません。近年ではその他醸造酒として日本酒造りをベースにした「クラフトサケ」も登場していますが、やはり新しい銘柄、企業が参入すると見ていて新鮮で楽しいですね。

個性的な国内蒸留酒たち

数々のウイスキーブースに並びながらも、その存在感を遺憾なく発揮していた焼酎・泡盛、そしてクラフトジン。蒸留酒のジャンルは多岐に渡ることに気が付きます。

個性的な国内蒸留酒たち

海外品評会で数々の受賞歴を誇るshimmerプロジェクトは、2022年より「実験的な泡盛を造る」を目的に様々な挑戦を続けています。清酒やワイン酵母の使用、樽貯蔵、香り高いジャスミンライスを使用した銘柄などその種類は多種多様。ハーブに漬け込んだハブ酒などはすっきりと爽やかで非常に飲みやすい味わいでした。

個性的な国内蒸留酒たち

黄桜は吟醸酒粕焼酎を本イベントの限定品として提供。フルーティーで華やかな香りとスッキリした味わいが楽しめました。どうしても日本酒のイメージが強い黄桜ですが、実はビール、焼酎、そして前述したウイスキーと幅広い酒類を製造しています。

個性的な国内蒸留酒たち

近年目にすることが多くなったクラフトジン。福岡県で日本酒、焼酎を製造する鷹正宗のグループ会社、叡醂酒造では清酒をベースにしたジンが展開されていました。わさびをブレンドしたジンはスパイシーでピリッとした味わいが特徴的。色々な料理と合わせてみたくなります。

個性的な国内蒸留酒たち

晴耕雨讀で有名な佐多宗二商店も2018年より「AKAYANEクラフトスピリッツシリーズ」を展開。芋焼酎をベースに様々なボタニカルを漬け込んだ商品です。ウイスキーもジンも同様ですが、焼酎で長年培った蒸留技術があるからこそ、こうした他商品への展開が進められるのだと感じます。こうした展開が今後の焼酎発展の起爆剤になることが期待されるはずです。

蒸留でしか生まれない表現がある

個人的に日本酒イベントの多くは「お祭り」といった印象が強いですが、本イベントは「試飲会」という表現が適切だと感じました。チケット制ではなく、有料試飲は別途支払いになっている点も良かったです(チケットが余ることもあるので)。

近年の日本酒イベントでは若年層も多くなってきましたが、本イベントはそれと比較して若干年齢層が高いように感じられました(筆者が参加した第3部だけかもしれませんが)。また、有名銘柄を取り扱うブースに人が集中することもなく、まんべんなく来場者が広がっていたように思います。

蒸留でしか生まれない表現がある

ウイスキーの割合が多いイベントではありますが、焼酎・泡盛、クラフトジンも存在感を放っていました。蒸留するからこそ表現できる香り、味わいがあると再確認できたよう感じます。

また、新規の蒸溜所などでは本当に丁寧にコンセプトや商品を説明しており、これから大きく発展させていくという気合が見て取れました。数年後には市場に出回る商品も増加するため、これからの動向に注目が集まります。

ジャパニーズウイスキーの発展は、焼酎の認知度向上にも繋がるはずです。ウイスキー文化研究所の今後の取り組み、蒸留酒市場の発展に今後も期待しましょう。

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