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春の訪れに、熟成焼酎を使った梅酒をセレクト!|今月のおすすめ #2月
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まだまだ寒い日は多いけれど、近所の梅の木はどれも、蕾がすっかり膨らんでいます。春の訪れが遠くはないと、真っ赤な蕾が告げてくれているようです。

今月の編集部のお薦めは、熟成焼酎を使った梅酒を3本セレクトしました。梅酒といえば手軽に缶入りのものが手に入ったり、家で仕込む人も少なくなかったりと身近なお酒ですが、蔵元が精魂込めてつくる銘柄はまた格別。完成度の高さに唸ってしまう銘柄がいくつも見つかるんです。梅の果実味と熟成のまろやかさが出会った梅酒の世界、改めて発見してみませんか?


01|Komaki no Umeshu
(小牧醸造/鹿児島県)

トロっとした果肉感が抜群! 焼酎梅酒の新星

「スーパーやデパ地下でも最近よく見かけるおしゃれなラベルの梅酒。どれもかわいくて、ついジャケ買いしそうになってしまいます。そんな数ある梅酒の中から今回選んだのが、小牧醸造の〈Komaki no Umeshu〉。シンプルで若々しいラベルながら、10年以上寝かせた米焼酎を使ったこだわりあふれる1本です。

特に印象的なのは、濃厚な果肉感。栓を開ける前にゆっくりと瓶を振ってから注ぐと、ペースト状になった果肉が混ざり合ってトロっとした舌触り! 決して味わいはくどくなく、バランスの取れた甘みと酸味がまったり広がります。炭酸割りは間違いないし、ちょっとドライに楽しみたいときには、辛口の白ワインやビールと割るのがよさそう。度数が低めなので、瓶ごと冷やしてロックやストレートもかなりお薦め。大人だけが楽しめる濃厚な梅ジュースといった感じです。『梅酒なんて若者の飲み物でしょ?』なんて思っている世のおじさんに『梅酒、あなどるなかれ!』と差し出したい熟成焼酎梅酒のホープです」(編集部W)

Komaki no Umeshu
【リキュール】
貯蔵年数 10年以上貯蔵した米焼酎を使用
度数  13度
原材料 本格焼酎(米・芋)・南高梅・糖類

蔵元 小牧醸造  WEB →
所在地 鹿児島県薩摩郡

特徴 鹿児島県北西部、薩摩郡さつま町の風光明媚な土地にある小牧醸造。1909年の創業以来、甕仕込みにこだわって酒づくりを行う。2006年の水害から再建を果たし、以降〈紅小牧〉や〈一尚 ブロンズ〉など革新的な焼酎をつくり続ける。〈Komaki no Umeshu〉は、2018年から仕込みを開始。長期貯蔵した米焼酎に芋焼酎をブレンドしたものに、さつま町でとれた最高級南高梅を使って仕込む、丁寧な仕事が光る1本。

02| 梅酒 文蔵
(木下醸造所/熊本県)

優しさが満ちあふれる、昔ながらの梅酒

「梅酒といえば、杏露酒ソーダ割りやカシスソーダと並んで、お酒にまだ弱い若い頃にお世話になったというのが個人的な思い出。少しお酒が好きになると、甘みの強さを敬遠して、飲む機会もずいぶん減っていました。でも焼酎を知るにつれて、各蔵元が創意工夫に富んだ梅酒を販売していたり、地元の人が焼酎にこだわって自家製梅酒をつくっていることを知り、梅酒文化の奥深さに改めて気づきました。コンビニの梅酒缶にはない優しさこそ、蔵元のつくる梅酒の醍醐味だなと思います。

なかでも、梅酒好きに絶大な人気を誇るのがこの〈梅酒 文蔵〉。コクの豊かな味わいで、梅の風味がしみじみ広がり、心も落ち着く一本です。蔵元である木下醸造所は、球磨焼酎のなかでも小さな蔵元。機械を使わずすべて手づくりを貫いています。手づくり麹、甕仕込み、常圧蒸留という昔ながらの製法による〈文蔵〉シリーズは地元を中心に愛好家の多い代表銘柄。梅酒は、この〈文蔵〉に地元産の梅を漬け込み、さらに熟成を経て、無濾過で瓶詰めしています。手づくり梅酒の王道を極めたといってもよさそうです。そういえば、実家の母もよく梅を漬け込んでいたなあ。そんな懐かしさとともにありがたく味わっています」(編集部D)

梅酒 文蔵 
【リキュール】
度数 18度
原材料 本格焼酎・梅・氷砂糖

蔵元 木下醸造所 WEB →
   (蔵元のウェブサイトがないため、ものがたり酒店にリンクします)
所在地 熊本県球磨郡

特徴 熊本県の人吉盆地は、古い蔵元が数多く存在する球磨焼酎の産地。木下醸造所は、そのなかでも古参の1862年創業。地域に古くから伝わる民謡「六調子」に、「多良木の文蔵じい」という歌詞があり、その文蔵さんこそ、木下醸造所の創業者なのだとか。江戸時代の茶屋の趣を感じさせる古い蔵では、いまなお全行程を手づくりで行い、年間の生産量は550石(一升瓶で約5万5千本)ほど。その希少性に加え、昔ながらの球磨焼酎を味わえると、地元のみならず全国に愛好家の多い蔵元だ。

03|とっておき梅酒♪
(田苑酒造/鹿児島県)

自由に、バリエーション豊かに楽しめる1本!

「スマートなボトルに梅のグラフィックをあしらったピンク色のラベルと、つい手を伸ばしたくなる姿の〈とっておき梅酒♪〉。熟成焼酎を得意にしている田苑酒造、しかも女性が女性のためにプロデュースした銘柄と聞いたら飲まずにはいられません!

通常の梅酒とはちょっと違って、国産梅を使ってつくる梅焼酎に、樽貯蔵の麦焼酎を加えてつくっているので、アルコール度数は梅酒としては高めの27度。ストレートやロックで飲むと、梅の甘みというよりは酸味で度数のパンチはそれほどに感じなくてびっくり。いちばんのお薦めはソーダ割。味のバランスが崩れることなく、かつ度数も保ったまま、樽らしい香ばしさも加わります。ちょっと変わった飲み方として、ホットレモネードを意識して、レモン果汁とハチミツ、お湯を足した飲み方。とてもやさしくてほっと温まる。ショウガを足してもいいかも! 男(というかおじさんたち)のものだった本格焼酎は、本来個性豊かで自由で、女性的な目線に耐えるものだと思うんです。そういう意味で自由な飲み方を後押ししてくれる1本だと思います」(編集部A)

とっておき梅酒♪
【リキュール】
貯蔵 全量3年長期貯蔵、全量樽貯蔵
度数 28度
原材料 梅酒・本格焼酎(麦)

蔵元 田苑酒造  WEB →
所在地 鹿児島県薩摩川内市

特徴 鹿児島県北部の薩摩川内市にある田苑酒造は、瓶詰め前の焼酎をタンクに入れ、24時間×2週間クラシックを聞かせる「音楽仕込み」を行うこともよく知られる蔵元。樽貯蔵、長期貯蔵の銘柄も数多い。こちらの〈とっておき梅酒♪〉は、女性社員がプロデュース。「音楽仕込み」「樽貯蔵」「長期貯蔵」という田苑酒造の特長がよく出たむぎ焼酎を、国産梅を使って仕込んだ梅酒とブレンドしている。

食中酒として飲みたい!すっきり味わえる編集部一押しの梅酒の割り方

普段焼酎を飲み慣れている人には「甘くて1本飲み切れなそう…」と思われがちな梅酒。飲み方を少し工夫するだけで、さまざまな味わいに大変身します。焼酎好きにこそ、このバラエティ豊かさを知ってほしい!普段の食事にも合わせられる、SHOCHU NEXT編集部お薦めの割り方をご紹介します。

梅酒×ソーダ

もはや定番となった梅酒のソーダ割り。和洋食問わず、どんな食事にも合う万能選手です。香りを立たせるため、ソーダは強炭酸がお薦め!梅酒のほんのりとした甘さとソーダの爽快感が、のどごしの良さを際立たせます。

梅酒のソーダ割り
つくりかた
①グラスにたっぷりと氷をいれる。
梅酒1:ソーダ2の割合で順番にそっと注ぐ。
③炭酸が抜けないように、マドラーで1〜2回ほどゆっくりかき混ぜる。

梅酒×熟成焼酎水割り

焼酎でつくられた梅酒に、熟成焼酎が合わないはずはない!焼酎の水割りに梅酒を加えれば、香りとコクが増した焼酎ならではの味わいが感じられます。甘みのある米焼酎や麦焼酎はもちろん、ライチ香のある芋焼酎と合わせても楽しそう。甘さは控えめに、梅の香りがふわっとたちこめる華やかな1杯です。

梅酒の熟成焼酎割り
つくりかた
①グラスに氷をたっぷり入れる。
②お好みの割合で焼酎と水を入れる。
③最後に梅酒を1回し入れて、マドラーでゆっくりかき混ぜる。

梅酒×ビール

一見チャレンジングな梅酒のビール割りですが、じつは飲みやすさ抜群。ビールの苦みと梅酒の甘さが絶妙に溶け合い、全く新しい食中酒へと変身します。クセの少ない淡麗なラガービールで割るのがベスト。肉料理とペアリングすれば、油っぽさもすっきり流してくれてゴクゴク飲み進められますよ!

梅酒のビール割り
つくりかた
①グラスに梅酒1:ビール1の割合で順番にゆっくり注ぐ。
②梅酒の香りを閉じ込めないよう、ビールの泡は少なめにするのがポイント。

梅酒×白ワイン

ゆっくり飲みたい時にお薦めなのが、梅酒の白ワイン割り。白ワインのドライな味わいに梅酒の濃厚さが加わって、フルーティな大人のカクテルに。氷を入れてしっかり冷やすのがポイント。ポカポカ暖かい昼下がりにデザートと合わせて飲みたい、これからの季節にぴったりな割り方です。

梅酒の白ワイン割り
つくりかた
①ワイングラスに氷を入れる。
梅酒1:白ワイン1の割合で順番に注ぐ。
③梅酒と白ワインが混ざるように、グラスを一回し。

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