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玄人のものにしておくのはもったいない!|焼酎お湯割りの魅力を再発見。

コラム

玄人のものにしておくのはもったいない!|焼酎お湯割りの魅力を再発見。

Text : Taku Itoh(SHOCHU NEXT)
Photo : SHOCHU NEXT

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炭酸割りにレモンサワー、カクテルのベースなど、焼酎の飲み方はどんどん広がっています。そんな中でもお湯割りは、焼酎のド・クラシカルな飲み方。長く親しまれている一方で、ちょっと玄人向けな印象があって、初心者は敬遠しがちでもあります。でもお湯割りが親しまれているのにはもちろんワケがある。味わいや健康にとっていいところがたくさん詰まった飲み方でもあるのです。
今回はさまざまな飲み方が受け入れられるようになってきた今だからこそ、改めてお湯割りの魅力を再発見したいと思います!

こんな魅力があるの!? お湯割り焼酎のいいところ

飲むと体がほかほか温まるお湯割りは、寒い季節になると飲む機会が増えますよね。でも、お湯割りにはほかにも聞けば飲みたくなってしまう魅力があるんです。

お湯割りのイイトコ① 雑味を抑えて風味を引き立ててくれる!

焼酎の持ち味である、原料や製法によって変わる豊かな香り。お湯割りはこの持ち味を最大限に引き出すのにうってつけの飲み方です。 
お湯で割った焼酎は温度が高まることで、香気成分とアルコールが適度に揮発し、香りがグッと引き立つようになります。それと同時に、焼酎特有の雑味を抑えてくれる効果もあるんです。つまりお湯割りは、焼酎のクセを抑えていい香りを引き立ててくれる、とっても理にかなった飲み方というわけです。

お湯割りのイイトコ② 代謝が上がる!

お湯割りを飲むと体温が上がりますが、なかでも特に胃腸をはじめとする内臓温度に影響があるようです。温度が上がった内臓は働きが活発になるので、消化の手助けや代謝の向上につながります。ですから、胃腸に負担のかかる食事が続いている人や、冷え性で悩んでいる人にお薦めしたい飲み方なんです。ちなみに江戸時代の暮らしに関する文献では、お湯割りは夏バテにもよいとされ、人々は夏場でもお湯割りを飲むことが多かったのだそう。おいしく飲めるだけでなく、健康面にもメリットがあるお湯割り。選ばない手はないですよね?

最高のお湯割りのつくり方を知る!

お湯割りのメリットは理解したものの、他の飲み方に比べて香りが強く感じる…といった理由で、なかなかお湯割りに手が出ない方も多いようです。でも諦めるのはちょっと待って! 実はお湯割りって、ポイントを抑えるだけで見違えるほど味わいと香りが変わるんです。丁寧につくったお湯割りを飲めば、きっとそのおいしさがわかるはず。それでは、お湯割りをつくるときに抑えておきたいポイントをお教えします。

お湯割りのコツ① お湯はぬるめでいれる!

お湯割りをつくるときにまず気にしてほしいのが、お湯の温度。お湯の温度は主に地域によって違うようで、関東地方などではアツアツで飲むことが多いようです。でも実は、よりおいしい焼酎のお湯割りをにはぬるめのお湯の方がお薦めなんです!

お湯を加えた焼酎は、温度が上がることで香り成分やアルコールが揮発します。この時、温度が高すぎるとこれら成分の揮発量が増え、強すぎる香りやきついアルコール臭を感じる原因になってしまうのです。お湯割りを敬遠している方は、この感じに苦手意識を感じている場合が多いのではないでしょうか。
刺激の強いにおいを抑えながら程よい風味を引き立てるには、出来上がりの温度を40〜50℃を目安にするのがポイントです。この温度帯は程よく香りとアルコールが立ちます。さらに人間の味覚が、甘さを最も強く感じられる温度でもあります。お湯は沸騰する前の60〜70℃で準備をするか、沸騰後に少し休ませるとちょうどいい温度のお湯割りをつくれます。

お湯割りのコツ② まずはお湯から入れる!

お湯割りに限らず、割りものをおいしくつくるときに意外と重要なのが、材料を入れる順番。お湯と焼酎を入れるだけでしょ? と思ってはいけません! この順番は、おいしいお湯割りを長持ちさせるのに、意外と重要なんです。

突然ですが、お風呂を入れた時に上の方ばかり温かくて、下の方はまだ冷水……なんて経験をしたことはありませんか? これは温度の高い水が上に、冷たい水が下に溜まる性質があるために起きる現象です。グラスにお湯を先に入れるのは、この現象を利用するため。グラスに先にお湯を入れ、あとから焼酎を入れると、その温度差で自然と対流が発生します。そうするとかき混ぜることなく自然とお酒が均一に混ざり合います。

均一に混ざり合うことで、温かい状態を長くキープできます。さらにお湯を先に注いでおけばグラスを温めておけるし、お湯の温度も落ち着いて焼酎を入れる頃には一番おいしい温度になるし……、といいことづくしなんです。お湯割りはお湯から!覚えてくださいね。

お湯割り、どんな時に飲む?

さて、ここまでお湯割りの魅力とつくり方についてお伝えしました。……とはいうものの、飲み会ではレモンサワーが爽快だし、仕事終わりの自宅での1杯もハイボールをグイッといってしまう……。一体、お湯割りはどのタイミングで飲めばいいんだろう? 冷たくてキレのあるハイボールやレモンサワーが気持ちを上げる飲み方なら、お湯割りはホッと落ち着ける時間を過ごせる飲み方。そんなふうに解釈すると、お湯割りにぴったりのタイミングやシチュエーションが見えてきます。

食後の休憩のおともに

夕飯を食べて満腹になったあとの食休み。ソファにからだを預けてテレビを見ながら過ごす時間にお湯割りはどうでしょう。ゆっくり飲めるお湯割りは食休みの時間にぴったり。適度なアルコールや温かい飲みものは、食事の消化の助けにもなるのだとか! 心身ともに満たされて、幸せな時間を過ごせます。

寝る前に、薄めのお湯割りでリラックス

就寝前のリラックスしたい時間帯にも、甘い香りとやわらかな飲み口のお湯割りはお薦めです。ほどよいアルコールが眠気を誘うし、就寝前に一度体温を上げることで入眠しやすくなります。寝る前なので、いつもよりも薄めにつくって、本でも読みながら就寝前のお供にしてみてはいかがでしょうか?

焼酎の楽しみ方がさらに広がるお湯割り。レパートリーにくわえよう!

昔ながらの飲み方で敬遠しがちなお湯割りは、焼酎の魅力を引き出せる飲み方。焼酎の楽しみ方の幅を改めて広げてくれる存在です。
焼酎はその時の気分やシチュエーションでいろいろな飲み方ができるのがいいところ。焼酎の豊かな香りとホッと一息つける時間を楽しめるお湯割りをレパートリーに加えてみてはいかがしょうか?

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