
三寒四温を経て、ようやく都内でも桜が満開の見頃を迎え始めた卯月の上旬、三軒茶屋の三角地帯に一軒の気になる立ち飲み店が現れた。
聞けば、芝浦直送の朝締めホルモンを長崎県の壱岐焼酎とマッチングして提供する趣向だと言う。
早速、2025年4月5日のオープン前に開催された『立ち飲みホルモン ひだまり』の試食会に馳せ参じることにした。
「たいようグループ」の4店鋪目は立ち飲みスタイル!

ご存じの通り、世田谷区の三軒茶屋の一角にある三角地帯は、戦後の闇市から続くディープな飲食街で、”飲兵衛の聖地”として知られているエリア。迷路さながらに入り組んだ狭い路地には、小ぢんまりとしつつも個性的な飲食店が軒を連ねているのが特徴的だ。
ひとたび足を踏み入れると”はしご酒”は当たり前。宵の口から飲み始めて、ふと気がつくと終電を逃しているという、まるで”バミューダ・トライアングル”のような危険地帯なのである。
「そんな三軒茶屋の顔でもある三角地帯の異色なところに憧れて、新規店舗の場所を探していたんです」と語るのは、「たいようグループ」を主宰するオーナーの吉村俊貴氏。長崎県壱岐島生まれ、福岡育ちの32歳。
10年前に上京して修業後、2022年から下北沢『酒場たいよう』、三軒茶屋『餐茶(サンチャ)』『大衆酒場ひので』の3軒を立て続けにプロデュースしており、念願の三角地帯に構えた『立ち飲みホルモン ひだまり』は4軒目となる。
カウンター8席とテーブル2席という15人も入れば満員となる小さな店だけに、この日は、入れ替え制で試食会が実施された。
酔街草は最後の3部に参加したのだが、すでに2回を終えた後のせいだろうか、オーナーの吉村俊貴氏と店長を任されることになった高井純太氏の顔も、どことなくリラックスした表情だった。
「『酒場たいよう』は、九州の食材や地酒を味わえるアットホームな酒場。2023年の11月に同じ三軒茶屋にオープンさせた『餐茶(サンチャ)』は、”あて巻き”や”お茶割り”を。2024年7月には太子堂に鶏料理を提供する『大衆酒場ひので』と、駆け足というか勢いで創ってきた感じですね。それぞれの店のコンセプトが違うのも、お客さんを飽きさせない工夫を凝らしたかったから。将来的には10店舗・10業態を目指しているんです」と語る吉村氏は、なかなかの熱血漢だった。

焼酎に合うアテが勢ぞろい、幻の壱岐牛も!

この日の試食メニューは6種類が用意されていた。立ち飲み店の特性を活かした、さっと出せる品々ながらも、素材を吟味したグレードの高さに驚く。とくに店のコンセプトの中心に添えたホルモン(=もつ)は、芝浦直送の朝締めの豚もつに拘ったそうだ。
「三角地帯には芝浦直送のホルモンを扱う店が無かったので、どうしても使いたかったんです。鉄板ホルモン屋をやるなら大阪・西成の『やまき』さんへのリスペクトと言うつもりもあって、東京なら肉は芝浦だろうってね」(吉村氏)

まずは、冷菜の「ガツ豆板醤」(680円*税込・以下同)から。弾力のあるガツと豆板醤、ねぎとの相性が抜群で最初の一杯のアテに最適だ。

温菜からは「醤油もつ煮」(680円)が。こっくりとした醤油ベースのもつ煮は、日本酒の熱燗が欲しくなる。

メニューに”名物”と銘打った鉄板豚もつ「ねぎ塩にんにく炒め」(780円)。カウンター脇の小さな鉄板で、もつと野菜をにんにくを効かせ、塩で炒めた逸品。この塩ベースとは他に、甘味と辛味をミックスした醤油ベースも用意されている。

これまた鉄板で焼き上げる「出汁巻き玉子」(880円)。ふっくらしつつも出汁のパンチの効いた仕上げで、熱々の内にいただいて欲しい。

吉村氏の生まれ故郷、壱岐島の「壱岐牛のステーキ」(参考品)。年間800頭しか流通しないと言う幻の牛だそう。甘味のある脂と赤身とのバランスが絶妙で旨かった。
「壱岐にいる友人から卸してもらってグループ店でシェアしているのですが、入荷時期や量はまちまち。この店のメニューには記載していませんが、入荷したらインスタグラムでお知らせしますよ」とのことだ。
都内では珍しい壱岐焼酎も味わえる!

球磨焼酎、琉球泡盛、薩摩焼酎と並んで、日本の蒸留酒として地理的表示(GI)に指定を受けている壱岐焼酎。米麹と大麦で仕込むのが壱岐焼酎の大きな特徴だ。麦麹で仕込む大分焼酎とは異なり、米由来の旨みやまろやかさが強く感じられるはず。
店いち押しの『壱岐の島』(700円)は、吉村氏が主宰する「たいようグループ」とのコラボラベル。「割り物でもうちは70mlで濃い目に作るので、しっかりと味わえますよ。ぜひ、ベロベロになって欲しいです!(笑)」
上京するまでは甲類の焼酎を飲んだ経験がなかったと語る吉村氏らしく、この店では九州男児のような豪快な呑みっぷりが求められそうだ。

レトロなラベルがいい雰囲気を出している、壱岐の華『初代 嘉助』(700円)。

棚には九州の本格焼酎が並ぶ。
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シンプルながら充実したメニュー

壱岐の本格焼酎をメインにドリンク類の種類は豊富。好きな銘柄を好きなように割って飲むのが流儀のようだ。

品数こそ少ないが、どれもひと手間かかったものばかり。やや濃い目の味付けは、酒が進むこと間違いなし。
10店鋪、10業種を目指してアイデアが膨らむ!

最後に「早いテンポで店を増やして来れたのも、同年代の若いスタッフたちのおかげ。今を楽しみながら、このスタッフたちと一緒になっていい店を展開して行きたいですね。次は生ハムの立ち飲み屋を考えているんです」と、吉村氏は目を輝かせた。
どうやら三角地帯の個性的な店々の中に、また酔いどれの居場所が増えそうだ。
立ち飲みホルモンひだまり
住所:東京都世田谷区三軒茶屋2-13-9 宮下店鋪2号1F
営業時間: 17:00〜25:00(L.O.24:30)
定休日:火曜日
Instagram:https://www.instagram.com/hidamari.0401/

