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世界で最も権威のあるお酒の品評会「三大酒類コンペティション」と今年の最優秀銘柄を紹介!

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世界で最も権威のあるお酒の品評会「三大酒類コンペティション」と今年の最優秀銘柄を紹介!

Text : SHOCHU NEXT

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お酒のつくり手たちがつくりあげるさまざまな銘柄の味わいと品質とを評価する「酒類コンペティション」。蔵元にとっては、業界と消費者に自分たちの銘柄をアピールする絶好の機会です。国内外で多くの品評会が開かれていますが、特に国際的な有名コンペティションは、世界的な知名度の向上や海外マーケットへの進出への大きな足がかりにもなりえます。うれしいのは、焼酎部門を設けている国際コンペティションが増えてきていること。焼酎が世界の蒸留酒と肩を並べて評価されるようになってきました。

そこでこの記事では、数ある酒類品評会の中でも「三大酒類コンペティション」と呼ばれる、世界最大級の規模と権威を誇る3つの品評会をご紹介します。

IWSC(インターナショナル・ワイン&スピリッツ・コンペティション)

「インターナショナル・ワイン&スピリッツ・コンペティション(以下、IWSC)」は、1969年にイギリスのワイン研究者であるアントン・マッセル氏が創設しました。50年以上続く歴史と欧州最大の規模を誇り、世界で最も権威のある酒類コンペティションのひとつです。

IWSCは設立当初より、世界中の優れたワインとスピリッツを公平に評価し、その素晴らしさを世界に広く認知してもらうことを目的に掲げ、審査員として世界中のさまざまな酒類の専門家を招待してきました。審査はそれぞれの部門ごとに行われ、金、銀、銅の3賞にくわえ、金賞を受賞したアイテムの中から、その年の最も優秀な銘柄に最高賞のトロフィーを授与します。IWSCで焼酎部門が開設されたのは1998年。今年で24回目となる焼酎部門のトロフィー賞には、三和酒類の〈iichiko 彩天〉が選ばれました。

インターナショナル・ワイン&スピリッツ・コンペティション

WEB→
2022年の結果はこちら→

IWSC 2022のトロフィー受賞銘柄
●三和酒類〈iichiko 彩天

〈iichiko 彩天〉は、大分麦焼酎〈いいちこ〉でおなじみの三和酒類が焼酎がウイスキーやジン、テキーラと並ぶ世界の蒸留酒となることを目標に、アメリカのトップバーテンダーと共同で開発した銘柄。現在はアメリカ、シンガポール、オーストラリアの3カ国のみで販売が行われています。
麦焼酎のよさを最大限に引き出したカクテルベースになるお酒として、アルコール度数は43度に設定。原酒に近い度数設定なので、焼酎本来の麹による深く豊かな味わいと複雑なうまみをしっかりと感じられます。
こちらの銘柄、後述のISCでは最高金賞、SFWSCでは金賞を獲得。世界で高い評価を得ています。

iichiko 彩天
麦焼酎
度数 43度
原材料 
大麦麹
容量 750ml

蔵元 三和酒類 WEB→
所在地 大分県宇佐市

IWSC2022の金賞受賞銘柄一覧(一部)
・喜多屋〈麦焼酎〉(麦)
・〈知心剣〉(麦)
・町田酒造〈里の曙〉(黒糖)
・六調子酒造〈とろしかや〉(米・麦)
・瑞穂酒造〈Beyond Shochu〉(泡盛)※非売品
・〈財宝 SPECIAL〉(米)
・濵田酒造〈DAIYAME 40〉(芋)※海外限定品
・宝酒造〈ISAINA〉(芋)
ほか

ISC(インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ)

続いて紹介するのは、イギリスで開催されている蒸留酒専門のコンペティションとなる「インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ(以下、ISC)」です。
主催の「Drinks International(ドリンクス・インターナショナル)」は、ワイン、ビール、そして蒸留酒に特化した酒類専門誌。1972年から続く長い歴史を持ち、酒類業界に強い影響力のあるメディアです。ISCはそのドリンクス・インターナショナルの取り組みのひとつで、高品質な蒸留酒を評価し、世界の飲食業界へアピールするチャンスをつくるコンペティションです。

ISCの審査では全てブラインドテイスティングによる採点を行い、その点数に応じて、トロフィー、最高金、金、銀、銅の4つの賞が受賞銘柄に与えられます。焼酎部門は、2018年にソジュとの合同部門から独立して誕生し、今年が5回目の開催です。今年は特に芋焼酎と麦焼酎の受賞が多く、トロフィーに選ばれた2銘柄はいずれも芋焼酎でした。

インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ

WEB→
2022年の結果はこちら→

ISC 2022のトロフィー受賞銘柄
●恒松酒造〈SHOCHU_2045 IMO〉

酒類の輸出業を行うジェムインダストリーズが「未来を描いた焼酎」というコンセプトで、今までになかった味わいとビジュアルを追求した〈SHOCHU_2045 IMO〉。人気アニメ『攻殻機動隊SAC_2045』とのコラボをしており、メタリックなボトルやアニメに登場するメカのイラストをデザインに取り入れています。原料には芋が使われていますが、製造は米焼酎づくりが盛んな熊本・球磨の恒松酒造が行っています。米焼酎づくりのノウハウをいかしてつくる〈SHOCHU_2045 IMO〉は、クセを抑えたすっきり、フルーティーな香りと味わい。それでいて芋の甘みも十分引き出されています。

SHOCHU_2045 IMO
芋焼酎
度数 28度
原材料 
さつまいも(国産)、米麹(国産)
容量 720ml

蔵元 恒松酒造 WEB→
所在地 熊本県球磨郡多良木町

ISC 2022のトロフィー受賞銘柄
●山元酒造〈和蒸籠〉

〈SHOCHU_2045 IMO〉と並んで2022年のトロフィー賞を受賞した、鹿児島県・山元酒造の〈和蒸籠(おせろ)〉。仕込みの麹に白麹と黒麹を使用していることが、その名前の由来になっています。白麹の口当たりのよい軽快な味わいと、黒麹の豊かなコクのある味わい、それぞれの良さを引き出して合わせることで、奥行きのある深い味に仕上がっています。山元酒造は昨年のISCのリキュール部門でもトロフィーを獲得。酒づくりのクオリティの高さが窺える蔵元です。

和蒸籠
芋焼酎
度数 25度
原材料 
さつまいも(国産)、米麹(白麹、黒麹 / 国産)
蒸留 常圧蒸留
容量 900ml/1800ml

蔵元 山元酒造 WEB→
所在地 鹿児島県薩摩川内市

ISC2022の最高金賞受賞銘柄一覧
・本坊酒造〈あらわざ桜島〉(芋)
・本坊酒造〈原酒 魂の芋〉(芋)
・本坊酒造〈屋久杉 屋久島地杉〉(芋)
・三和酒類〈iichiko 彩天〉(麦)
・サッポロビール〈黒和ら麦〉(麦)

SFWSC(サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティション)

三大酒類コンペティションの最後のひとつは、アメリカで開催される「サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティション(以下、SFWSC)」です。SFWSCは、飲食とライフスタイルの第一人者として知られるアンソニー・ディアス・ブルー氏が2000年に創設。ブルー氏が買収した「サンフランシスコ国際ワインコンペティション(SFIWC)」の派生としてつくられた品評会です。現在では世界で2番目、アメリカでは最大規模のスピリッツコンペティションへと成長を遂げました。

審査はバーやレストラン、ホテルで働くスピリッツの専門家や、スピリッツメディアのジャーナリストなど、総勢70名のプロフェッショナルで行います。最高金賞、金賞、銀賞、銅賞があり、さらに最高金受賞銘柄の中から、その年の「ベスト・オブ・クラス」が選ばれます。2022年のSFWSCには、総勢5000本を超えるエントリーが集まり、過去最大規模の大会に。その中で「ベスト・オブ・焼酎」に輝いたのは、三和酒類の〈iichiko RESERVE 禅和 2022〉でした。

サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティション

WEB→
2022年の結果はこちら→

SFWSC 2022のベスト・オブ・焼酎受賞銘柄
●三和酒類〈iichiko RESERVE 禅和 2022〉

IWSCに続き、SFWSCでも最優秀賞に輝いた三和酒類。SFWSCでは〈iichiko RESERVE 禅和 2022〉がベスト・オブ・焼酎に選ばれました。こちらは三和酒類の海外向けアイテムのひとつで、麹を用いたお酒の魅力を前面に出した銘柄になります。
〈iichiko RESERVE 禅和 2022〉は、チョコレートを思わせる麦の香ばしさのある甘味と、麹の味わいを最大限に引き出した、穏やかに長く感じることのできる香味が特徴です。また〈iichiko 彩天〉と同様に、カクテルベースとして使いやすいよう、アルコール度数は40度に設定。三和酒類は海外進出を前提とした酒づくりに力を入れており、他銘柄もいくつも受賞をしていることは、三大コンペティションをみるうえで特筆すべき点といえます。

iichiko RESERVE 禅和 2022
麦焼酎
度数 40度
原材料 
大麦麹(国内製造)、大麦
容量 750ml

蔵元 三和酒類 WEB→
所在地 
大分県宇佐市

SFWSC2022の最高金賞受賞銘柄一覧(一部)
・濵田酒造〈DAIYAME 40〉(芋)※海外限定品
・本坊酒造〈原酒 魂の芋〉(芋)
・本坊酒造〈原酒 屋久杉〉(芋)
・三和酒類〈iichiko FRASCO〉(麦)
・宝酒造〈一刻者〉(芋)
・今帰仁酒造〈天使の夢〉(泡盛)
・〈南海 White Oak〉(黒糖)
ほか

注目を集めているのは、世界三大コンペティションだけじゃない!

歴史と権威のある“世界三大コンペティション”は、ここまで紹介してきた3つ。しかしそれ以外にも、世界では数多くの品評会が開催されています。それぞれが開催地域の特色をいかしたり、より明確にターゲット層を絞りこんだ審査基準を設けていたりするのは興味深い点。さらに近年は、焼酎を世界でも通用する蒸留酒として熱心に取り扱うコンペティションが増えてきていることも、SHOCHU NEXT的には注目したいところです。2019年のスタートながら、幅広く蒸留酒・スピリッツを扱うコンペとして熱い視線が注がれる「東京ウイスキー&スピリッツコンペティション(TWSC)」もそのひとつ。またここ数年は、フランスの「Kura Master(クラ・マスター)」も日本の酒類業界から注目を集めています。

Kura Master2021の受賞銘柄はこちらの記事でご覧いただけます!

【速報!】「Kura Master 2021」の本格焼酎・泡盛部門の結果発表!フランスの酒のエキスパートが選んだ銘柄とは? – クラフトスピリッツを再発見するWEBマガジン

フランスを中心としたバーテンダーやソムリエなどお酒のプロたちが、日本のお酒を審査するコンペティション「Kura Master」。2017年の開催以来、日本の高品質な酒づくりに対する海外からの熱視線として、国内でも年々話題を集めています。これまでは日本酒部門のみの審査でしたが、2021年から本格焼酎・泡盛のカテゴリーが新設されています。

TWSCの概要と今年の受賞銘柄はこちらの記事でご覧いただけます!

蒸留酒のプロが認めた、今いちばんおいしい焼酎とは?|TWSC2022上位20アイテムを一挙に紹介! – クラフトスピリッツを再発見するWEBマガジン

2019年から開催されれている日本唯一、そしてアジア最大級の蒸留酒の品評会である「東京ウイスキー&スピリッツコンペティション(以下、TWSC)」。第4回となる今年の結果が先日発表されました。 TWSCは各ジャンルから日本人ジャッジを登用し、繊細な味覚でウイスキー、スピリッツ、焼酎の審査を行い、国内外に高品質な蒸留酒の魅力を発信することを目的とした品評会。審査には毎年、全国からさまざまな蒸留酒の専門家たちが参加します。今年もブラインドテイスティングによる公正な審査を経て、最高金賞、金賞、銀賞、銅賞と、特別賞の「Best of the Best」が選ばれました。

Kura Master

Kura Masterは「フランスの地で行う、フランス人のための日本酒のコンテスト」として2017年に創設された比較的新しいコンペティションです。設立当初は日本酒部門のみで行われていましたが、2021年に焼酎・泡盛の部門も新設され、日本の伝統的なお酒に特化した海外コンペに成長しています。審査にはフランス文化の優れた継承者であるMOF(国家最優秀職人賞)に選ばれたソムリエをはじめ、バーテンダーや、料理人、カーヴィスなど、飲食業界に携わるスペシャリストが参加。また審査員団はフランス人を中心にヨーロッパの人で構成され、フランス人とフランスのマーケットを強く意識した基準で審査が行われています。

今年のKura Master 2022の焼酎・泡盛部門は、芋、麦、米それぞれの原料別部門と、その他の原料を用いたバリエーション部門、泡盛部門、フレーバー部門と樽貯蔵の部門、それから単式蒸留の焼酎と泡盛を幅広く取り扱うプレステージ・コウジスピリッツ部門の計8部門が設けられ、合計193点のエントリーがありました。そして各部門からプラチナ賞が23点、金賞が41点選出。プラチナ賞の中から8点が審査員賞に選ばれ、さらにクリストフ・ダヴォワンヌ審査員長がその中から1銘柄を選出。「プレジデント賞」を授与しました。

クラ・マスター

WEB→
2022年の結果はこちら→

Kura Master 2022のプレジデント賞受賞銘柄
●さつま無双〈乙女桜〉

今年のKura Master 2022で栄えあるプレジデント賞に輝いたのは、芋焼酎部門のプラチナ賞、さつま無双の〈乙女桜〉です。原料にはベニオトメを使い、収穫後には倉庫内で熟成。貯蔵によって甘みをじっくり引き出してから仕込を行います。そうして出来上がる〈乙女桜〉は従来の焼酎にはないライチのようなフルーティな香りと優しい甘味、そして軽やかな飲み口です。

乙女桜
芋焼酎
度数 25度
原材料 
さつまいも(紅乙女)、米麹
蒸留 常圧蒸留
容量 900ml/1800ml

蔵元 さつま無双株式会社 WEB→
所在地 鹿児島県鹿児島市

Kura Master 2022の審査員賞受賞銘柄一覧
・SHOCHU X〈和深〉(米焼酎部門)
・柳田酒造〈青鹿毛〉(麦焼酎部門)
・八海醸造〈本格粕取焼酎 宜有千萬〉(粕取・バリエーション焼酎部門)
・知覧醸造〈知覧Tea酎〉(芋・フレーバー焼酎部門)
・松藤〈赤の松藤〉(泡盛部門)
・霧島酒造〈黒霧島 MELT〉(芋・樽貯蔵部門)
・八戸酒造〈湊蒸留所 Sansho Spirits〉(米・プレステージコウジスピリッツ部門)

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