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ウイスキーファンも焼酎のトリコに?!「ウイスキー&スピリッツフェスティバル2024 in 横浜」レポート

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ウイスキーファンも焼酎のトリコに?!「ウイスキー&スピリッツフェスティバル2024 in 横浜」レポート

Text & Photo : Kaho Matsumoto

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2024年2月11日、パシフィコ横浜にて「ウイスキー&スピリッツフェスティバル2024 in 横浜」が開催されました。横浜で「ウイスキー&スピリッツフェスティバル」が開催されるのは2回目ですが、今回の会場はパシフィコ横浜ということもあり規模が大きくなり、焼酎ブースも多く出展!早速その様子をお伝えします。

ウイスキーファンの熱量がすごい!

筆者は10時から開始の「第1部」に参加。会場では9時過ぎ頃から多くのウイスキーファンが列をなして待機していました!

「ウイスキー&スピリッツフェスティバル2024 in 横浜」第1部の様子

毎回恒例のスコットランドの伝統楽器「バグパイプ」の演奏と共に開場すると、皆さんお目当てのブースに一目散!

「ウイスキー&スピリッツフェスティバル2024 in 横浜」第1部の様子

行列の長さが目立っていたのはやはり長濱蒸溜所でした。限定ボトルが販売されていたようですね。

「ウイスキー&スピリッツフェスティバル2024 in 横浜」「GEEKSTILL」のAMRTA(アムリタ)

会場内にはとにかく個性豊かなブースが勢揃いしていました。たとえば山梨にあるクラフトジン蒸留所「GEEKSTILL」のAMRTA(アムリタ)は日本酒由来のスピリッツと国内産のフルーツやハーブを使用。「キンモクセイ」を使用したものを試飲させてもらいましたが、口の中に広がるキンモクセイの香りが濃く華やか!お花味って不思議ですが、それが美味しいんです。

「ウイスキー&スピリッツフェスティバル2024 in 横浜」「GEEKSTILL」のAMRTA(アムリタ)の麦芽試食ができるコーナー

会場内には麦芽の試食ができるコーナーも!初めて口にしましたが、意外と美味しい……。ウイスキーの良いおつまみになるかも?と思うほどに香ばしい味わいが感じられました。

「焼酎ブース」が集結したエリアも徐々に賑わいを見せた!

今回はウイスキーのブースがメイン。しかし焼酎・泡盛の酒蔵さんが出展するブースが並んだエリアも一部あり、会場後すぐは若干人通りが少なかったものの、1時間ほど経つと徐々に賑わいを見せ始めました!

「ウイスキー&スピリッツフェスティバル2024 in 横浜」「菱田蒸留所」

1年ほど前からウイスキー造りを始めた「天星酒造」さん。ウイスキー造りは「菱田蒸留所」として行っています。これまで多くの焼酎イベントに出展されていますが、「ウイスキーのイベントではお客さんの層が全然違う」のだそう。ウイスキーのイベントにいらっしゃる方は特にマニア度が高いと感じるようで、「60度のニューボーンもガンガン試飲してくれる(笑)」ことに営業部の髙屋さんは驚いたそうです。筆者も飲ませて頂きましたが60度は酒好きの私でもびっくりするアグレッシブさでした。

「ウイスキー&スピリッツフェスティバル2024 in 横浜」「菱田蒸留所」

ウイスキーイベントでありながら、焼酎の売れ行きも良いようで、「日本人のDNAに焼酎の美味しさは刻み込まれているのかも」と、自信を深めたといいます。

「ウイスキー&スピリッツフェスティバル2024 in 横浜」SHOCHU XのJAPANESE DARK SPIRITSブース

クールなビジュアルが目を惹く株式会社SHOCHU XのJAPANESE DARK SPIRITSブースではなんと1本40,000円超えのボトルを発見。このボトルの中身はいったい?

「ウイスキー&スピリッツフェスティバル2024 in 横浜」SHOCHU X

写真中央の「2000 Nikkei [LIMITED]」はアメリカンオーク樽で23年熟成させたもので、コーヒーのような濃さゆえに分類はスピリッツ。56本限定出荷のため48,400円という価格ですが、チョコレートや深煎りのコーヒーを思わせる複雑で濃厚な味わいで人気を集め、間もなく完売間近なのだとか。

「ウイスキー&スピリッツフェスティバル2024 in 横浜」オノエングループ

鍛高譚」でおなじみのオノエングループのブースでは華やかな鍛高譚ボトルと、しそと果実のチューハイ「SISOCA」が目立っていました。

「ウイスキーはとにかく個性的で強い商品が多い中、鍛高譚はどっちかっていうと日常よりの優しめな印象を持っている方が多いと思います。なのでウイスキーの試飲に疲れてきた方が多くうちのブースにいらっしゃいましたね」と話すのは営業本部の岡田さん。

「ウイスキー&スピリッツフェスティバル2024 in 横浜」オノエングループ

近年「知名度が落ちてきたことに課題を感じている」とのことで、主に若い方に向けての認知を狙いたいとお話されていました。とはいえ名前を知っている人は多く、「懐かしい」「知っている」と話す来場者が多かったのだそう。知ってはいるものの飲んだことがない方も多かったため、「焼酎というよりはしそのお酒です、とお伝えすることで今後気軽に日常的に手に取ってほしい」と教えてくれました。

「ウイスキー&スピリッツフェスティバル2024 in 横浜」西酒造

鹿児島で焼酎づくりを行う西酒造は2019年から御岳蒸溜所としてウイスキーづくりを開始しました。研究開発課の山下さんは「私たちは焼酎造りを長年行ってきており、蒸留の技術が昔からあるので、ウイスキー造りにも着手することができました。こうしたイベントでは新しい客層も獲得できますし、焼酎とウイスキーどちらも造ることの相乗効果を感じています」とお話してくれました。

「ウイスキー&スピリッツフェスティバル2024 in 横浜」小牧蒸留所

「焼酎の蔵元さんですよね?」とお客さんから話しかけられていたのは小牧蒸留所の北野さん。「自分たちはウイスキーを造り始めたばかりで、小牧のウイスキーはこれだっていうのが、お客様にまだ認知されていません。でもこうしたイベントで少しずつ認知が広がっていければいいなと思います」とおっしゃっていました。小牧蒸留所のウイスキーの樽は屋久杉を使っているそうですが、樽に屋久杉を使用しているウイスキーは(樽として扱うのは難しいことから)唯一無二の存在。そんな魅力もお伝えすることでファンを増やしていました。 

「ウイスキー&スピリッツフェスティバル2024 in 横浜」今帰仁酒造

洋酒界隈で近年評価されているのは今帰仁酒造の「千年の響」。東京ウイスキー&スピリッツコンペティション(TWSC)で2020年~2022年まで金賞を3年連続受賞後、殿堂入りを果たしました。泡盛でありながらじっくりと熟成させることにより甘味が出て飲みやすいのが特徴です。

「ウイスキー&スピリッツフェスティバル2024 in 横浜」今帰仁酒造

代表取締役社長の大城さんは「海外からの反応も良いです。泡盛というとロックやストレートで飲むイメージがあるようですが、沖縄では水割りやカクテルベースで飲まれることが多いですね。こういったイベントを通じてさらに知ってもらえたら嬉しいです」と話していました。

「ウイスキー&スピリッツフェスティバル2024 in 横浜」壱岐の華

今回のSHOCHUNEXT的イチオシは壱岐の華の「海鴉(うみがらす)」。

あえて生産効率を無視して、加水してから樽熟成を行う独特の製法のため、どうしても生産量が少なく、現在は長崎県内限定で販売されています。オーク樽で5年熟成するため華やかな香りが特徴。ロックで飲むとバニラ香とほろ甘さが、水割りではなめらかに、そしてハイボールでは爽やかな切れ味が感じられるなど、楽しみ方がたくさんあります。

「ウイスキー&スピリッツフェスティバル2024 in 横浜」壱岐の華

ウイスキー目当てで来場したものの、「オーク樽熟成が気になったから海鴉を試飲してみた」という来場者のAさんは、「普段は焼酎を飲む機会はありませんし、正直言うと焼酎はあまり好きではありませんでした。でもこの海鴉を飲んで焼酎の印象が変わりましたね!びっくりです、25度でこんなにも味わいが出るとは。香りもきつくないし飲みやすかった。炭酸割りで食事にも合わせたいですね」と驚きを隠せない様子です。

壱岐の華の営業企画長田さんはそんなお客さんの反応に「嬉しいですね!」と笑顔を見せました。今後の全国発売を期待しています!

ウイスキーイベントでも焼酎ファンを増やすチャンスがある!

「ウイスキー&スピリッツフェスティバル2024 in 横浜」はウイスキーのブースが多く、そして来場者もウイスキー目当ての方が多かった印象です。しかし、そんな中でも焼酎に対する注目度は決して低くはなかったと感じました。焼酎蔵がウイスキー造りを始めることも増えてきていますし、その相乗効果は計り知れません。これからさらに世界で焼酎の美味しさや楽しみ方が広がっていくのではないかと確信しました!

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