20代の若者たちに「飲み会で何飲んでる？」と聞くと、さまざまな答えが返ってくる。クラフトビール、ジン、レモンサワー、ワイン、日本酒とバリエーションは豊か。でも「焼酎が好き！」という声はなかなか出てこないのが悲しい現実。「焼酎飲んだことがないから味がわからない……」「どうやって飲めばいいのかすら知らないから頼めない」とそもそも焼酎が何かわからず選択肢に入っていない人もいれば、「やっぱり焼酎はおじさんの飲み物のイメージ……」とキツいストレートパンチを放つ声も。でも飲み方ひとつでガラリと表情を変えるのが熟成焼酎のいいところ。しっかりと魅力を伝えればきっと若者にも届くはず。そこで今回は焼酎未体験！という20代女子に熟成焼酎を試してもらいました！
「追い熟」が人気の角打ち、IMADEYA SUMIDAで熟成焼酎初トライ！
協力していただいたのは、関東を中心に酒店を展開する株式会社いまでや。千葉県千葉市の本店をはじめ、GINZA SIXや千葉駅構内にもショップや角打ちを構える、20-30代にも注目のお店です。いまでやさんの特徴は、つくり手としっかり向き合い、酒づくりの思いを真摯に届けること。お客さん一人ひとりの声を聞き、それぞれに合ったお酒を紹介する丁寧な心くばりが人気を博する理由のひとつです。
なかでも錦糸町パルコにあるIMADEYA SUMIDAは熟成酒が売り！
角打ちスペースの棚に並ぶ大小さまざまな樽たち。じつは市販されている熟成焼酎や泡盛をオーク樽やシェリー樽でさらに寝かせています。この角打ちが人気で、仕事終わりの1杯に立ち寄る人も多いそう。じっくり眺めてみると〈天使の誘惑〉や〈百年の孤独〉など、以前SHOCHU NEXTの記事でもハイボールやカクテルレシピで扱った銘柄も。そんな焼酎たちがさらに追い熟成されているのだから、焼酎好き、ウイスキー好きならすぐにでもロックで飲みたいところだけれど…ここはそんなおじさん心をグッと我慢。今回は、千葉本店で店長を務める渋谷和安起さんに、焼酎未経験の若者も楽しめる熟成焼酎と飲み方を教えてもらいました！ 渋谷さんもなんと20代のいまでやホープ。これは期待十分！！
1杯目はみんな大好きレモンサワーだっ！
熟成焼酎に初挑戦にしてもらったのは、吉村さん（左）と小暮さん（右）。2人ともクリエイティブ業界で働く20代。焼酎はほとんど飲んだことがないというから、これは絶好のチャンス。とはいえ、熟成焼酎なんて未知の飲み物との遭遇に2人とも顔を揃えて少し不安げ……。
外で飲む機会もめっきり減って、お酒弱くなってそうなんですけど。焼酎って強いでしょ？しかも熟成って……絶対にキツいやつじゃん
焼酎どころかビールすら飲めないんです、私。ほんと、飲めなかったらごめんなさい……
飲む前から何やら怪しい雲行き。
渋谷さん、いきなり熟成焼酎はやっぱり早かったんでしょうか？
「いや！いけます！」
ドーン！と余裕の笑みを浮かべる渋谷さん。
この危うい状況でこの安らかな表情、もしかして何か秘策があるのでは？
まあ、ひとまずはうんちく抜きに飲んでもらいましょう。IMADEYA SUMIDAの看板メニューにもなっている〈天使の誘惑〉を使ったレモンサワーです！
〈天使の誘惑〉といえば、アルコール度数は40度、樽香も重厚などっしり系の熟成芋焼酎。さらに樽で熟成されたとなればレモンサワーになったとはいえ、かなりパンチは強いはず……。はじめての熟成焼酎、反応はいかに？
あれ？全然焼酎の強さがない。むしろ甘くてレモンの香りたっぷりで飲みやすい！これは大人のレモンスカッシュ！
ウイスキーっぽい樽の香りはほんのりするけど、芋の香りは全然しない！アルコール感も強くないし、これはジュース感覚で飲めちゃう…！
さっきまでの不安な顔は一体どこへやら。揃って「全然飲めるし、なんなら甘くておいしい！」と好印象！
「このレモンサワーに合わせるなら、オリーブがいいですよ」と渋谷さんが出してくれたオリーブのレモン詰めと一緒にワイワイ飲み進める2人。
でも〈天使の誘惑〉は熟成焼酎のなかでも玄人向けなはず……。
渋谷さん、一体どうしてこんなに飲みやすくなったんですか？
度数が強いお酒って、じつは割ると甘みが増すんです。40度と高めの〈天使の誘惑〉を使ったのは、焼酎本来の甘みを引き出してあげるため。
この樽熟天使のレモンサワーは国産はちみつとレモンのシロップを使っているので、より甘みがたっぷりと感じられるんです。
度数が高い焼酎は若い方に嫌厭されがちですが、レモンサワーのように少し工夫するだけで、焼酎独特の香りを抑えて飲みやすくなりますよ！
パンチの強い熟成焼酎もレモンサワーにするだけでこんなにもすんなり受け入れられるとは！ 飲んだことのないお酒を飲んでもらう時にははじめの1杯がとても重要だと渋谷さんはいいます。
「おじさん臭いというイメージもあいまって、若い方に受け入れてもらいにくい焼酎。酒の特徴を推していくよりも、キャッチーな飲み方を提案したほうが次に焼酎を飲むハードルは低くなります。今回であれば〈天使の誘惑〉の重厚感を極力抑えて、すっきり甘いレモンサワーに仕上げてあげる。あんまり焼酎云々は語らずに、飲みやすい！ おいしい！ という純粋な気持ちをアピールすることがポイントです」
追い熟〈春雨 ゴールド〉はワイングラスでハイボールに！
はじめての熟成焼酎1杯目のハードルを軽々突破した２人。
次に渋谷さんが出してくれたのは……〈春雨 ゴールド〉！
って、あれ？〈春雨 ゴールド〉って泡盛じゃないですか？しかも少し色が濃い？
2杯目に泡盛はさすがに厳しいんじゃ⁉︎
「いや！いけます！」
こちらの不安をよそに、常に冷静な渋谷さん！
おもむろにワイングラスに〈春雨 ゴールド〉を注いでいきます。2杯目に熟成泡盛とチャレンジングなセレクトですが、果たしてどのように飲むのでしょうか？
まずは割らずにストレートで、香りだけかいでみてください！
え？香りだけですか？
わ…すごいアルコール感……
やっぱり泡盛って強いんですね。
濃～い泡盛の香り！
でも、さすがにストレートだと無理そう。どうやって飲むんですか？
ストレートだと香りだけでも結構強いですよね。 じゃあ炭酸水を同じ量だけ入れてみます。騙されたと思って一口飲んでみてください！
あれ？さっきまでのアルコールの香りが軽くなってる！ 炭酸で割ったせいかな。ハイボールみたいで全然飲めちゃいます。
さっきのかいだ香りのイメージと比べてだいぶ飲みやすい！ 泡盛ってはじめて飲んだけど、こうやってワイングラスで飲むとおしゃれ！！ 晩ごはんのお供にちょうどいいかも！
泡盛をワイングラスに炭酸割りで飲むという意外な飲み方を提案してくれた渋谷さん。見た目のオシャレさはもちろん、味わいもよくなるといいます。
「飲みなれた人であれば一口ストレートで試してみたいと思うかもしれませんが、ストレートは香りが強すぎて酒本来の味が消えてしまう。香りと味のバランスを保つためには、足すだけではなくうまく引き算してあげることも大事なんです。特に泡盛は香りが印象的なので、ワイングラスと炭酸で飲んでもらうのがオススメ。グラスの中に香りがふわっと広がり、炭酸で割ることによって飲みやすくなります。ワイングラスで飲むと見た目も華やかでしょ？」
〆は超濃厚の追い熟米焼酎〈完がこい〉！！
「意外といけるかも」とレモンサワー、泡盛ハイボールをするすると飲む2人に「最後に飲んでもらいたいのがこれ！」と渋谷さんが差し出したのは、こげ茶色の液体が入ったボトル。
ん？ 渋谷さん、最後はアイスコーヒーですか……？
「いや！焼酎です！」
一瞬醤油かコーヒーに見間違えるほど色の濃さにおもわず一同仰天。
よく見るとラベルに「シェリー樽熟成 米」の文字が。
これは米焼酎なんですか？
その通り！米焼酎〈完がこい〉をシェリー樽で追い熟しています。最後はこの〈完がこい〉の炭酸割りをワイングラスでどうぞ！
ボトルを見たときはすごい強い焼酎なのかと思ったけど、思った以上に飲みやすい！ 香りもすごくいいですね。これ、一瞬で飲んじゃいます。
ウイスキーのハイボールよりクセはないのに、味はしっかりしてる！ 私これが一番好きかも。このほんのり甘いのは焼酎の味なんですか？
米焼酎はもともと米の甘みがあるのが特徴です。シェリー樽で寝かせることで、シェリーの甘い香りも付いてさらに甘い香りが出るんですよ。 熟成酒をはじめて飲むときは、シェリー樽で熟成させたものを選ぶのがオススメです。特にワインや果実酒を普段飲んでいる人には飲みやすいはず！
このフルーティな香りは樽の香りなんですね！ 今まで想像していた焼酎とは全然違う…良い意味で期待を裏切られました！
普段そんなにお酒飲まないから全然飲めないかと思ったけど、今日飲んだ焼酎と泡盛はすんなり飲めちゃった！ ワイングラスで飲むのが結構いいのかも。話してる間につい手に取っちゃいますね（笑）
はじめは飲めるかどうかすら危うげだった2人も、最後は「どれもおいしかった！」と高評価！
割り方やグラスをひと工夫するだけで、焼酎への苦手意識もあっという間に克服できるんですね。
「この芋焼酎はこんな原料と麹を使っていて……」みたいに堅苦しいことから入らずに、まずは飲みたい方法で飲んでみる。気軽な一歩が熟成焼酎を楽しむ秘訣です！
貴重な場をつくっていただいた、いまでやさん、そして渋谷さん、ありがとうございました！
後日談 – 熟成焼酎は一度飲めばハマる！
「おいしかったね～」と最後までご機嫌だった2人。
その後、熟成焼酎は飲まれているのでしょうか？
後日、吉村さんに取材の感想を聞きに行ってみると……。
あれ、〈天使の誘惑〉飲んでる！
もしかしてハマっちゃいました？？
そうなんです！ やっぱりこの熟成感がいいのかな。いまだに芋とか麦の香りが強い焼酎は抵抗感あるけど、熟成焼酎はまろやかで好き♡ ほかにもオススメあったら教えてください！
まさか普通の焼酎より先に熟成焼酎にハマってしまった吉村さん。
「度数高いものも水で割ったりすると飲みなれてきちゃいました」とすっかり熟成焼酎の虜。
一度飲めばハマる熟成焼酎。フルーティなものから、ウイスキーのようなどっしりしたものまでさまざまなタイプがあるので、ぜひお好みの1本を見つけてみてください！
| IMADEYA SUMIDA |
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| 住所：東京都墨田区江東橋4-27-14 錦糸町パルコ 1F 営業時間：11:00～23:00（LO:22:50） 休業日：錦糸町パルコの休館日による WEB： https://www.imadeya.co.jp/shops/sumida/ 新型コロナウイルス感染拡大防止のため、 営業時間に変更がある場合があります。 |
