プレミアム焼酎といえば黒木本店の〈百年の孤独〉を思い出す人も多いのでは? 1985年の発売以来、愛好家の間で長く愛され続けるこちらの麦焼酎もまた樽熟成を経たものなのを知っていますか? 今回のカクテルの材料にはなんとピーナツバターが……! その裏側には南雲さん独特のマッチングの見つけ方が潜んでいます。一手間かけることで、プレミアムな味わいがさらに唯一無二のものに。ぜひ試してみてください!
「百年の友達 –Friendship-」のつくり方
【レシピ】百年の友達 –Friendship- |
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-〈百年の孤独〉 20ml -ピーナツバターウォッカ 10ml -カンパリ 20ml -ベルモット 20ml はじめに「ピーナツバターウォッカ」をつくる。ウォッカ40ml程度に大さじ一杯のピーナツバターを入れ、フローサーでよく撹拌する。固形物がある程度なくなったらコーヒーフィルターで濾す。濾しとった透明の液体10mlを使う。材料をすべて入れたら、ステアして完成。 |
COMMENT|レシピについて
「〈百年の孤独〉を使った今回のカクテルはネグローニのアレンジです。イタリア生まれとされるネグローニは、世界でいちばん飲まれているというオールド・ファッションドに続いて、2番目によく飲まれる人気のカクテル。元々はジンベースで、カンパリ、ベルモットを合わせてつくります。今回のカクテルでピーナツバターを使ったのはちょっとした着想から。僕のなかで麦のお酒のイメージは香ばしい“パン”なんです。だからパンに塗っておいしいものは麦焼酎に混ぜてもおいしい(笑)! カクテル自体はステアのみのシンプルなステップでつくれるので、ある程度の量をつくってボトルで保存しておくのもおすすめです!」(南雲さん)
TIPS!|家のみで楽しみたい人のためのコツ
「ピーナツバターウォッカを小分けでつくるのはちょっと手間なので、ウォッカまるごと1本に対してピーナツバター100g程度でまとめてつくっておくと便利ですよ。それからリキュール類は常温で保存しがちですが、カンパリは冷凍しておくとおいしいので、ぜひ試してみてください」
TASTE NOTE |味わい
「ぜひ試してほしいんですよ……。このカクテルでまず感じるのは〈百年の孤独〉の麦の香ばしさ。一口飲み、その味わいを口の中で楽しみ、ふうっと一息ついて、感想を言おうかなと思うくらいのタイミング、つまりは一口めから7、8秒経ってからぴょこっとピーナツバターの味が顔を出す。『え?』って驚くほどのタイミングで来る! 余韻の長さと変化にびっくりするはずです。この味の構成にカクテルの面白さがあって、ピーナツバターウォッカを15ml入れると、〈百年の孤独〉とピーナツバターの味わいは手をつないでやって来るんですよね。カクテル名は、まさにこの忘れた頃にやってくる感じからとりました。長い孤独のあと、100年後に現れる友達。友情の一杯です(笑)」
主役の熟成焼酎と蔵元のこと
宮崎市から車で北へ30分ほどの児湯郡高鍋にある黒木本店は、1885年の創業。徹底した自然循環型の焼酎づくりを行っていることがよく知られる蔵で、農業生産法人「甦る大地の会」を運営。40haの農地で、焼酎粕を有機肥料にして原材料から栽培している。さらに麹づくりは手作業、酵母も自家培養、二次仕込みは木桶で……と、つくりの工程のすべてを徹底的な手作業で行っているのも大きな特徴。自然の恵みを存分に受け取り、それを自然に返していく。あたかも自然の一部のようにして成り立っている蔵元だ。
「焼酎は大地の香水だ、というお考えをお持ちです。焼酎は自然の恵みの結晶。それが徹底して地球環境に配慮した酒づくりにつながっています。つくりが何しろ丁寧。麹をまぶす前の米の蒸しが美しく、だから麹がきれいについていくんですよ」
〈百年の孤独〉
35年以上のロングランを続ける麦焼酎は、オーク樽で3~5年寝かせた焼酎をブレンドしてつくる。色は淡い褐色。「始めは麦からくるナッツっぽい香ばしさと。その後に樽の香りが押し寄せます。余韻にほんのかすかにバナナっぽい甘い感じがあるんですよね。これは〈百年の孤独〉の誰にも真似できない味わいだなあと思います。40度の度数を感じさせないまろやかさですね。最近よく言われる麦の香りの強いいわゆる“麦チョコ”系の元祖はやはりこの1本ではないでしょうか」
百年の孤独 |
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【麦焼酎】 貯蔵 3~5年(樽) 度数 40度 原材料 麦・麦麹 蒸留 常圧 蔵元 黒木本店 WEB → 所在地 宮崎県児湯郡 |