今年の夏も暑い! スタート時点にしてすでに熾烈な暑さににやられてヘタリ気味って方もいるんじゃないでしょうか(僕もわりとくらってます…… )。
真夏の1杯にお薦めしたい焼酎の飲み方のひとつが「パーシャルショット」。瓶ごと冷凍庫で凍らすだけの簡単さだけど、キレッキレに冷えて体の芯までクる! 度数によってとろとろ&シャリシャリで、夏の新定番としてうってつけです。
というわけで、度数違いの3種類の熟成焼酎を使って、パーシャルショットに挑戦してみました。凍らせ方や飲み方にはそれぞれコツあり。ぜひお好みを見つけてください!
焼酎を冷凍庫で冷やすだけ! パーシャルショットは意外に簡単
「パーシャルショット」は、ウォッカなどでよく見る、ボトルごと冷凍庫に入れて冷やしたお酒をストレートで飲む飲み方。
ボトルを冷凍庫に入れるとカチカチに固まっちゃうんじゃ……? と思うけれど、固まらないんです。
これは水とアルコールの凝固点(物体が液体から固体になる温度)の違い。水の凝固点はご存知の通り0℃。これに対してアルコールは約-114℃。だからアルコール度数が高いものほど凍りにくい、というわけ。一般的にアルコール度数20度の酒は約-11℃、40度の酒は約-31℃で凍るといいます。
家庭用冷蔵庫の冷凍庫は-12℃以下と決められていて、メーカーによって差はあるものの、おおよそ-18℃程度。25度の本格焼酎の場合は凍るか凍らないかの瀬戸際といったところですね。
度数さまざまな焼酎を凍らせる場合、冷凍時間や凍らせ方などにコツがありそうなので、それぞれ経過を見ながら調べてみます!
……ちょっと待って、パーシャルショットって和製英語かも……
ところで“パーシャルショット”ってけっこう格好いい呼び名だと思うのですが、これ、おそらく和製英語です。そのまま英語にしてpartial shotを検索してみると、お目当ての画像は全く出てきません!
出てくるので一番多い画像はこんな感じ……。
parial=部分的な、shot=写真のカット。全身ではなく、体の一部分を写したもの、というニュアンスなのでしょうか。なかでも、女性の足のカットがよく見かけられるのが不思議なところ!
日本語でいう“パーシャル”は“パーシャルフリージング”の略。冷蔵庫などに「パーシャル室」がありますよね、あれのことです。あの“パーシャルフリージング”は-3℃程度。お魚やお肉がわずかに凍り始める温度なのだそう。部分冷凍といったニュアンスですね。
温度は違えど、この“わずかに凍り始めた”状態のお酒をショットで飲むから“パーシャルショット”と呼ぶようになったのでは……というのが僕の推論!
かなり一生懸命調べたのですがこれ以上はわかりませんでした。ご存知の方がいらしたらどうぞご一報を。
ちなみに、ウォッカを凍らせて飲む飲み方は「チルド・ウォッカ」と呼ぶことが多いようですね。冷やしたウォッカ。シンプル。
おっと話がそれてしまいました! さて、それでは実験です。
焼酎を冷凍庫に入れる前に! まずは一杯ぐいっと飲んで
焼酎ボトルを冷凍庫に入れるだけと、かなり気軽に試せるパーシャルショットですが、ひとつだけ注意しておきたいのが、瓶が割れないようにすること。特に未開栓の瓶のまま凍らせるのは禁物。焼酎のなかの水分は固まり始めると膨張するので、瓶が割れてしまうおそれがなくはないのです。
パーシャルショットをつくる時は、1杯分を飲んで少し容量を減らしておくのが必須です。
というわけで1杯ずつ飲んだら準備万端。期待を胸に焼酎を冷凍室へ! ちなみに実験を行うオフィスの冷蔵庫はHITACHI製。HPによると約-20~-18℃の下段冷凍室での冷凍です。
16度・25度・40度。度数違いのおなじみの熟成焼酎で実験!
今回パーシャルショットに挑むのは黒糖焼酎〈れんと 16度〉、芋焼酎〈全量芋焼酎 一刻者 樽貯蔵〉、麦焼酎〈千年の眠り〉の3種類。手に入りやすい熟成焼酎、かつ、原料の違いも考慮しました。
16度の〈れんと 16度〉は一晩でシャリっとシャーベットに!
ひとつめは鹿児島県大島郡の開運酒造がつくる黒糖焼酎〈れんと 16度〉。味わいが異なる2つの原酒をブレンドしてつくるこちら、クラシック音楽を聴かせて貯蔵する「音響熟成」によるまろやかな味わいです。16度とアルコール度数も低く、ストレートでも飲みやすいのですが、冷凍室での変化はどうでしょう?
アルコール度数低めなので変化には注意!
アルコール度数15度の場合、約-7℃が凍結の温度とされるので、〈れんと 16度〉は冷凍室で放っておくとカッチカチに固まってしまいます。推移によく注意して観察の結果、おすすめの冷凍時間は6時間!
8割方凍った状態になったら、冷凍庫から出して軽く瓶を振ってみてください。氷が少しずつ溶け出して、フローズンシャーベットのようなシャリシャリ食感が楽しめます。
冷たさにコーティングされて、アルコールを感じない口当たり。これが口のなかでふわっと溶け出して、黒糖の甘みが広がります。すぐに溶け出してしまうので、グラスに注いだあとはすぐに冷凍庫へ戻しましょう! 夏のホームパーティーの1杯目によさそうです。
25度の〈全量芋焼酎 一刻者 樽貯蔵〉は冷凍時間で口当たりが変わる!
次に実験するのは、宮崎県高鍋町に焼酎蔵「宮崎・日向 黒壁蔵」をかまえる総合酒造メーカー宝酒造の〈全量芋焼酎 一刻者(いっこもん) 樽貯蔵〉。
居酒屋などでもかなりよく見かける定番の銘柄〈全量芋焼酎 一刻者〉を樽で3年間熟成した1本です。
アルコールは25度と本格焼酎のスタンダードな度数。これはほかの銘柄にもいい参考になりそうですね。
まったり or とろーり。味のお好みで冷凍時間を決めて!
25度の焼酎を凍らせる時の目安は6時間か24時間。この違いで味わいが大きく変わるのは発見でした。
6時間の場合、樽のバニラ香がほんのりと立つ、とろみのある口当たり。24時間寝かせると、シャーベット食感と芋焼酎らしいクリームのような甘みが引き立ちます。
もし長く凍らせすぎてカチカチになってしまったら、常温で5分ほど置いて瓶ごとシェイクすれば大丈夫。
その日の気分に合わせて飲み方を変えられるのは、25度の焼酎ならではかもしれません。
40度の〈千年の眠り〉はとろとろなめらかに
最後に登場するのは、樫樽貯蔵の焼酎を多く手がける、福岡県内でも老舗の蔵元・篠崎が手がける麦焼酎〈千年の眠り〉。2回蒸留、40度、オーク樽熟成と、ウイスキーなどにも近いつくり方。このオーク樽の香り、凍らせるとどういう風に変化するのでしょう?
アルコール度数40度の場合、凝固点は-31℃。というわけで〈千年の眠り〉は、1日じゅう冷凍庫に入れても凍結せずに液体のまま。
とろ~りと粘度が増していて、なめらかな酒質になっています。度数は高いものの、口に含んだときに感じるアルコール感は控えめ。樽の甘やかさを感じるリッチな味わいです。
これはけっこう大人の味! ショットグラスでほんの少量だけちびちびなめるような飲み方が似合いそうです。
パーシャルショット焼酎にアイスの実をちょい足し♡
キンキンに冷えたパーシャルショット、夏に本当によさそうなので、もうちょっといろいろ試してみたくなってきました。
ビターズやリキュールを加えて……みたいなことは、若造の僕にはまだできないので、ここはコンビニで手に入るものにこだわります。店内をキョロキョロ一周して見つけたのが、みんな大好きグリコ〈アイスの実〉。
見た目もかわいいこの〈アイスの実〉にパーシャルショットをかけたら甘みと冷たさのマッチでうまい! グラスに注いだらスプーンも添えるのがオススメです。
アイスの実・梨味 ×〈れんと16度〉は大人の和風デザートに!
フローズンシャーベットのようになった〈れんと16度〉にアイスの実の梨味をぽとり。凝縮された梨の味が黒糖の甘みにベストマッチ! ちょっと和風の感じもする大人のデザートになりました。
フォトジェニック&美味なアイスの実・ピンクグレープフルーツ味 ×〈千年の眠り〉
洋酒を思わせる〈千年の眠り〉のパーシャルショットには、アイスの実のピンクグレープフルーツ味を合わせてみました。ゴロゴロと入ったピンク色のアイスの実と、黄金色に輝く〈千年の眠り〉の入ったグラスは存在感があってかなりフォトジェニック。
ピンクグレープフルーツの甘酸っぱさほどよい苦さが少しずつ溶け出すことで味も変化していき、上等なカクテルみたいになりました。
お好みの焼酎を凍らせてみて!
パーシャルショットといえばよく知られているのはウォッカやウイスキー。でも、度数の差を利用していろいろな口当たりを楽しむことができるのは焼酎ならではの楽しみ方ですね。
冷凍庫に数時間眠らせるだけで楽しみ方が倍増する焼酎のパーシャルショット。夏の選択肢に、一度ぜひ試してみてください!
今回パーシャルショットを試した焼酎はこちら!
れんと 16度 |
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【黒糖焼酎】 貯蔵 タンク貯蔵(3ヶ月) 度数 16度 原材料 黒糖・米麹 蒸留 減圧 蔵元 奄美大島開運酒造 →HP 所在地 鹿児島県大島郡 |
全量芋焼酎 一刻者 樽貯蔵 |
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【芋焼酎】 貯蔵 樽貯蔵(3年) 度数 25度 原料 芋・芋麹 蒸留 常圧 蔵元 宝酒造 宮崎・日向 黒壁蔵 →HP 所在地 宮崎県高鍋町 |
千年の眠り |
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【麦焼酎】 貯蔵 オーク樽貯蔵(3~8年) 度数 40度 原料 麦・麦麹 蒸留 常圧 蔵元 篠崎 →HP 所在地 福岡県朝倉市 |