11月1日”本格焼酎の日”にSHO-CHUプロジェクト主催の「焼酎発展祈願祭」が行われました。焼酎に感謝し、産業・文化としての発展を祈願する神事と直会(なおらい)では、蔵元が一丸となって焼酎を盛り上げていこうとする心意気が感じられました。
今回はそんな祈願祭の様子、主催者や蔵元さんが焼酎業界や焼酎にかける思いをレポートします!
九州から12蔵が集まり焼酎を奉納

祈願祭は博多祇園山笠が奉納されることで有名な福岡県の櫛田神社で行われました。2013年から続く祈願祭は今年で11回目、今回は九州6県から12蔵が集います。

今年のテーマは「関係者一体となって焼酎を盛り上げる」。
そのテーマ通り、参加者は蔵元、焼酎を取り上げることが多いメディア関係者や新聞社、飲食店など焼酎に関わっている方が30名以上来られていました。

各蔵の名前が呼ばれ、代表は自社の焼酎を持ち前へ進みます。奉納するその姿は焼酎だけでなく、気持ちもしっかりと込めて渡されているように感じられました。
一つの九州を象徴する「九州スピリッツ」

奉納式典終盤、参加した蔵元の焼酎を1つの瓶に注ぎ入れ、九州の蔵元が県や産地を超えたブレンド焼酎「九州スピリッツ」が作られました。優しく注がれて混ざり合う焼酎からは、瞬間的に様々な香りが立ち、出来上がった焼酎からは甘い香りがしていました。参加者からは「甘くて苦い人生のような味」「例年より味がまとまっている気がする」などの感想が上がっていました。
主催者であるSHO-CHUプロジェクト代表の坂口光一さん(九州大学 名誉教授)に味を聞くと「ブレンドすると融合して丸くなるものだけど、今回は結構角というか個性が残っている感じがした」と感想をいただきました。
焼酎を広める活動をしている方々の活動報告

今回は焼酎の普及に努める方々と蔵元との相互交流の機会も兼ねていました。直会に入ってすぐ、焼酎を広める活動をしている方々の活動報告が行われました。今回ゲストで来られていたのはHarmoniK代表 黒瀬暢子さん、YAKUSAKE 春田貴博さん、SHOCHU X代表 橋本啓亮さんです。なぜ自分たちが焼酎について発信しているのか、現在の取り組み、そして今後について、資料や商品を持ち熱心に話されていました。
それぞれが焼酎を語り合い交流を深める

活動報告終了後はお楽しみの時間。九州スピリッツを片手に各テーブルでそれぞれ交流が始まり、各蔵の近況や今後について語る場が設けられました。
宗政酒造
居酒屋で焼酎を飲む人が少ないことに気づき、若い方にも焼酎を楽しんでもらえるようフレーバー焼酎を販売しました。飲みやすさや香りを含めて若い世代の方が関心を持ってもらえるような焼酎を模索しています。
京屋酒造
今は陶器に入れた焼酎を作っていますが、陶器はどうしても不良が出てしまいがちで本当に難しいと感じています。そんな中で、パートの方が早業で作ってくれて、本当に神業なんです。パートの方含めスタッフあって成り立っているとひしひし感じています。容器にも工夫を凝らしてここまで来ました。これからも頑張っていきます。
ゑびす酒造
2年前からサトウキビを育て、ラム造りを始めました。実際にラムを造る中で、ラムの面白さを知ると同時に、焼酎ならではの旨味フレーバーを再認識しました。また、ブレンドはすごく魅力のある世界で、今後はそれができる人間を育て、継承していかなくてはと考えています。焼酎に興味を持ってくれる人を増やしたい思いで、これからも頑張っていこうと思います。
光酒造
現在光酒造の焼酎作りには2つの柱があり、1つは吟醸です。原料にこだわり、国産の二条麦を50%以上磨いて作った焼酎を36年販売しています。もう1つが樽貯蔵です。スペインのヘレスで作られたシェリー酒樽を買い取り、樽貯蔵を20〜30年行っています。手をかけた品を作っており、地元のお母さん方にも協力してもらいながら仕上げています。従業員と焼酎を飲んでくださるお客様を大切に、感謝の気持ちを持ってこれからも作っていこうと思っております。
SHO-CHUプロジェクト代表 坂口さんが語る焼酎業界のこれから

代表の坂口さんは全体へ向けて焼酎業界の今後について語られました。
今年の焼酎業界の状況
今年の焼酎業界は決して良い状況ではありません。
九州と言えば焼酎、というくらいアイデンティティの真ん中にあると思います。外から見た時に九州の代名詞となる焼酎をもっと知ってほしいと思っています。今、新しい世代の造り手が香りなどを工夫し、新しい焼酎が出てきています。そして、昨今は飲み方も様々になってきました。焼酎が盛り上がってくることを期待したいと思います。
これから焼酎業界が進む方向
年内にも「伝統的酒づくり」のユネスコ無形文化遺産への登録発表が期待されています。登録されれば焼酎を九州の文化として堂々と発信でき、食やお祭り、音楽などと掛け合わせてどんどん広げられる可能性があります。
これまでは次世代へ焼酎の伝統を引継ぐことがメインでしたが、これからは海外へ発信していくという大事な分岐点になると思います。もちろん、昔に比べると焼酎もかなり海外で認識されてきています。ただ、日本酒は海外での認知度拡大に20~30年かけて今に至るので、海外で焼酎が周知されるにはもっと頑張らないといけない状況です。だからこそ、いろんなメディアに関わる方々とのコラボがすごく大事になると感じています。発信することで海外から届く反響も楽しみです。
焼酎業界の今後の課題
発信力が大事なのはもちろん、ネーミング、商品の見せ方など、工夫が必要です。そして、焼酎をブレンドできる人を増やすのも大事です。欧米だとブレンダーは独立した職業ですが、 日本では残念ながら組織内でしか活躍できていません。そこは産業として大きな課題です。
「関係者一体となって焼酎を盛り上げる」が実現された祈願祭

「今年の焼酎業界の状況は良いとは言えない」と蔵元さんからも話が出ていました。ただ、そんな中でも蔵元同士、焼酎の魅力を発信する方々は、焼酎へ思いを寄せながら、みんなで盛り上げていこうと希望を持っていて、大きな1つのチームになっていました。
「焼酎を多くの人に楽しんでもらう」「焼酎を世界に発信する」といった目標を語る姿を見ると、業界の未来は明るいと感じました。
ユネスコ無形文化遺産への登録をきっかけに勢いをつけ、日本はもちろん、海外でも焼酎を今以上に楽しんでもらえる日が来ることがとても楽しみです。

