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〈蔵の師魂 The Smoke〉の「ベーコンオールドファッションド」|トップバーの提案。熟成焼酎でカクテルをつくる! #06

レシピ・飲み方・食

〈蔵の師魂 The Smoke〉の「ベーコンオールドファッションド」|トップバーの提案。熟成焼酎でカクテルをつくる! #06

Text : SHOCHU NEXT
Photo : Kosuke Tamura

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焼酎の熟成を最初に始めた蔵元といえば、鹿児島県の小正醸造。1957年に発売した米焼酎〈メローコヅル〉がそれ。小正醸造は昔も今も、世界を意識しながら焼酎づくりを続けている。その蔵元渾身の〈蔵の師魂 The Smoke〉を主役にした今回のカクテルメイキングは、フライパンでベーコンを焼くところから始まります……⁉︎  驚きのマッチング、どうぞ楽しんでください。


「ベーコンオールドファッションド」のつくり方

【レシピ】ベーコンオールドファッションド
-〈蔵の師魂 The Smoke〉 15ml
-〈蔵の師魂 喜〉 10ml 
-〈蔵の師魂 The Smoke〉ベーコン 30ml
-アンゴスチュラ ビターズ 6滴
-さとうきびシロップ 3ml

はじめに〈蔵の師魂 The Smoke〉ベーコンをつくる。フライパンを熱し、油少々を引いて薄切りベーコン80gを焼く。ベーコンに焼き目をつけながら油がよく出てきたら火を止めて少し冷ます。温度が下がってきたら、〈蔵の師魂 The Smoke〉200mlを注ぐ。常温に冷ましたら、冷蔵庫でひと晩置き、冷凍庫で6時間うま味をじっくり抽出。油分がしっかり固まっていることを確認して、コーヒーフィルターで濾して透明な液体を取り出す。
材料をすべて混ぜ、軽くステアして氷を入れたロックグラスに注ぐ。焼いたベーコンを乗せて完成!

COMMENT|レシピについて

「世界でいちばん飲まれるカクテル、オールドファッションドのアレンジで考えました。オールドファッションドはウイスキーベースで、砂糖の甘みと柑橘のビターズを足したもの。その名の通りスモーキーな味わいの芋焼酎が、このアレンジにぴったり。同じくスモークがキーワードでもあるベーコンのうま味をたっぷりと入れ込んだカクテルです。お酒+ベーコンって驚きます? 実は“ファット・ウォッシング”といって世界のカクテルシーンでは知られているテクニックで、ウォッカやバーボンのバージョンも。芋焼酎でのトライは見事に成功じゃないかな。完成度がとても高く、お店で出せる一杯だと思います」(南雲さん)

TIPS!|家のみで楽しみたい人のためのコツ

「今回のベーコンは鹿児島産の黒豚を使ったものですが、スーパーなどで手に入りやすいベーコンで大丈夫。スライス/角切り、どちらでもイケます。今日使ったものであまり家になさそうなのがアンゴスチュラ社のビターズかな? 1824年から製造されるこちら、元は胃腸薬としてつくられたのだとか。ラムをベースにリンドウやハーブ、スパイスなどを加えたとても苦いお酒で、カクテルの隠し味的にさまざまに使えます。家でカクテルをつくってみたいという人は揃えると便利です」

TASTE NOTE |味わい

「なんといってもうま味がすごい。ベーコンの塩気とうま味が、スモーキーなお酒によくマッチします。余韻として最後に残るのは芋と米麹の甘さなんですよね。芋の熟成焼酎ならではの味わいがよく出た一杯になりました」

主役の熟成焼酎と蔵元のこと

鹿児島県の西側、東シナ海を望む日置市日吉町で酒づくりを続けてきた1886年創業の小正醸造。芋の本格焼酎〈小鶴〉が広く飲まれる比較的大きめの蔵元だが、焼酎の熟成を初めて行った〈メローコヅル〉やその流れを汲む現行品の〈メローコヅル エクセレンス〉を始め、伝統的に挑戦的な試みを行ってきたのが興味深いところ。蒸留器の数も多く、バラエティ豊かな酒質の蒸留酒に挑戦している。「嘉之助蒸溜所」として2018年からウイスキーの製造を始めたのもそういった流れの上にあるものと言っていいだろう。焼酎づくりで培った蒸留技術を、現在はウイスキーやジンなどさまざまな蒸留酒づくりにも生かしている。世界の蒸留酒シーンを意識した酒づくりを続ける一方で〈蔵の師魂〉シリーズは、伝統的な製法にとことんこだわる銘柄揃い。敷地内に設けた小さな蔵、「師魂蔵」で、甕壺仕込み、木樽蒸留器を使った蒸留、甕壺での貯蔵熟成までを行う。

いちばん左が熟成焼酎の元祖ともいえる〈メローコヅル エクセレンス〉。左から2番目はレギュラー銘柄〈小鶴〉の甕壺で貯蔵・熟成した原酒に数種類の個性豊かな原酒をブレンドした〈小鶴 熟成古酒〉。

蔵の師魂 The Smoke

白麹の〈蔵の師魂〉原酒をスコッチウイスキーの熟成に使われていたピート香のある樽で貯蔵したものと、黒麹仕込みの〈蔵の師魂〉原酒をスペイン産のシェリー樽で熟成したものをブレンド。芋焼酎ならではの個性もきっちりと残すため、ピート樽での熟成は1年程度に留めているという。ピートのスモーキーさと、シェリー樽ならではの芋の甘やかさが出会った実験的でユニークな逸品。

「芋焼酎をスモーキーにするとどうなるのか? 今までになかった試みです。色は薄いのですが、かなりピートが効いていて、言われなければアイラウイスキーと思いそう。度数が高すぎないので量が飲めるのもうれしいですね」

蔵の師魂 The Smoke
芋焼酎
貯蔵 1年〜(樽)
度数 38度
原材料 芋 (黄金千貫)・米麹 (黒麹・白麹)
蒸留 常圧

蔵元 小正醸造  WEB →
所在地 鹿児島県日置市 

蔵の師魂 喜

小正醸造の、東シナ海を望む貯蔵庫内のかめ壺で、15年以上熟成されている〈蔵の師魂〉の原酒の中でも、選りすぐりの原酒だけを瓶詰めした贅沢な銘柄。

「これまで、さまざまな蔵元で芋焼酎の熟成のピークはいつか? という話を聞いてきたのですが、中でも多いのが15~18年という意見です。そういう意味ではこちらの〈蔵の師魂 喜〉は、芋焼酎の味の極みが味わえる贅沢な1本ですね。香りの立つ大ぶりのグラスで飲んでみてください。古酒というより、熟成した味噌や醤油みたいなニュアンスを感じますよ。余韻も長い! とても大切な時に、ストレートで飲みたい1本ですね」

蔵の師魂
芋焼酎
貯蔵 15年以上(甕)
度数 38度
原材料 黄金千貫(東馬場農場産)・米 (鹿児島県産)・黒麹
蒸留 常圧

蔵元 小正醸造  WEB →
所在地 鹿児島県日置市 

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蔵元解説編
カクテル編

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