焼酎に驚きと新しい可能性をもたらす、ミクソロジスト・南雲主于三さんによる、熟成酒を使ったカクテル企画。今回からは、泡盛の古酒を使ったカクテルが続々と登場します。はじめの一杯は、ここ数年世界的な人気となっているコーヒーカクテルをアレンジ。手軽につくることができて、少しビターな味わいは、大人のカジュアルにぴったり。たとえば、読書のお供にするなんて素敵な時間の過ごし方ですね。ぜひ身につけてほしいレシピです!
「おもろエスプレッソフィズ」のつくり方
【レシピ】おもろエスプレッソフィズ |
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– 〈おもろ 10年〉 30ml – エスプレッソ 1ショット(約30ml) – カカオシロップ 10ml – ソーダ 適量 シェーカーに〈おもろ 10年〉、エスプレッソ、シロップを入れてシェイク。それを茶こしで濾しながらグラスに入れる。さらにソーダを注いで完成。 |
COMMENT|レシピについて
「このお酒の原型は、エスプレッソマティーニ。いま人気のコーヒーカクテルを代表するとても有名なカクテルです。泡盛はタイ米を原料に黒麹を使ってつくる蒸留酒。黒麹は温暖な気候での酒づくりを可能にした麹で、力強い味わいと独特の香りが特徴です。原料のお米から出る成分が熟成することで、バニラ香がよく出てくるのも泡盛の古酒の特徴かな。今回のカクテルでもそのバニラ香が生きています。コーヒーに〈おもろ 10年〉のバニラの風味が加わることで、とても香り豊かなカクテルになりました」(南雲さん)
TIPS!|家飲みで楽しみたい人のためのコツ
「シェーカーがないという方も多いかもしれませんが、プロテインシェーカーなど蓋つきの容れ物でも代用は可能です。しっかりシェイクしたら、グラスに移す時には必ず茶こしを使ってください。全体がなめらかになって、ギネスビールのようなクリーミーな泡ができます。また、自宅でエスプレッソをつくれないという方は、スターバックスなど気軽に購入できるものを使えばOK。エスプレッソは冷えてしまっても大丈夫です。つくり方に慣れたら、エスプレッソの種類やシロップの種類を変えて、自分好みの味を探してみてください。カカオシロップは、メイプルシロップやバニラシロップでも代用できます。ポイントは、〈おもろ 10年〉のバニラ香との相性ですね。泡盛、エスプレッソ、シロップの三者のバランスがよくなると、よりおいしくなります」(南雲さん)
TASTE NOTE |味わい
「コーヒーと泡盛の香りの余韻がいいですね。泡盛が軽くなってとても飲みやすいカクテルだと思います。泡盛をもう10mlくらい足すと、泡盛の味がガツンと出てくるので、そちらのほうが好きな人もいるかもしれないですね。今回のエスプレッソでは、コスタリカのダーク系のものを使いましたが、チェリー系の軽やかなものもいいかも。いろいろと試して好みの味を探してみてください」
主役の熟成焼酎と蔵元のこと
泡盛はもともと王朝に献上するものとして首里城から近い範囲でしかつくることを許されていなかったお酒。瑞泉酒造は、沖縄県那覇市に1887年創業。首里城下で泡盛づくりを行ってきた名門蔵元の一つだ。
沖縄の泡盛づくりは、第二次世界大戦によって壊滅的な被害を受けた。戦前は100年級の古酒が残っていたとされるが、それらはすべて失われてしまったのだ。戦後の泡盛づくりは厳しい状況に直面したが、多くの蔵元が泡盛・古酒の復興に尽力してきた。なかでも瑞泉酒造は、1976年に5万リットルのタンクを70個置くことのできる巨大な貯蔵庫を建設。こうして多くの古酒が生み出されることになり、瑞泉酒造の古酒の評価も高まっていった。さらに、東京大学の研究室で戦前に使用されていた黒麹菌が発見されると、この麹菌を使った泡盛の商品化にも成功。平成の30年間では、泡盛の鑑評会で優等賞を多数獲得し、沖縄県知事賞も20回以上受賞している。
〈おもろ 10年〉
「おもろ」とは、沖縄では「歌」のこと。「思い」からきた言葉だという。瑞泉酒造では、年代古酒〈おもろシリーズ〉として、熟成年数や貯蔵方法の異なる古酒を複数販売。最長では21年ものがある。〈おもろ 10年〉は、シリーズの中では手頃な一本。それでも、甕貯蔵による古酒ならではのコクとまろやかさは絶品。
おもろ 10年 |
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【泡盛】 貯蔵 10年(甕) 度数 43度 原材料 米、米麹 蒸留 常圧 蔵元 瑞泉酒造 WEB → 所在地 沖縄県那覇市 |