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世界最大の國酒イベント「國酒フェア2025」 本格焼酎・泡盛を世界にアピール!

コラム

世界最大の國酒イベント「國酒フェア2025」 本格焼酎・泡盛を世界にアピール!

Text&Photo : YUKI ARAI

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2025年6月14日(土)・15日(日)の2日間、大阪南港ATCホール(アジア太平洋トレードセンター)にて世界最大級の國酒イベント「國酒フェア2025」が開催された。

全国45都道府県から339の日本酒蔵が参加し、1,149銘柄を提供。本格焼酎・泡盛フェアには鹿児島・沖縄など12県から65の酒蔵が参加し、約302銘柄の試飲、販売を行った。

本記事では本格焼酎・泡盛フェアの様子や盛り上がり、そして各ブースの方々の言葉など現地の様子をお伝えする。

12県から65の本格焼酎・泡盛蔵が参加!

本格焼酎・泡盛を生産する全国12県の酒造組合が試飲・販売ブースを出展した。

沖縄県酒造組合鹿児島県酒造組合
宮崎県酒造組合熊本県酒造組合連合
大分県酒造組合佐賀県酒造組合
長崎県酒造組合福岡県酒造組合
愛媛県酒造組合徳島県酒造組合
山口県酒造組合福島県酒造組合

本イベントはこれまで、東京で行われていた「日本酒フェア」に「本格焼酎・泡盛フェア」を同時展開する形で実現した。「Expo 2025 大阪・関西万博」からほど近い会場において、國酒という括りでイベントが行われたことは特筆すべきだろう。

それぞれのブースはバックにボトルが並べられ、非常にシックな空間に仕上がっていた。

日本酒ブースの出展者からは「本格焼酎・泡盛ブースがどれもキレイでびっくりした」という声も。実際、展示会でここまでブースを統一させている事例は珍しいだろう。本格焼酎・泡盛全体が一丸となって、その魅力を世界に発信しようとする姿勢がうかがえる。

有限会社南酒造 専務取締役 南さやかさん

麦焼酎で有名な大分県内では、一般的に20度の焼酎が親しまれている。今回は大阪という地域に合わせ、25度の商品を中心に紹介されていた。

姉妹で経営している南酒造の南さんは、「ストレートで飲む方もいらっしゃいますが、一般的にはソーダ割りで楽しまれています。他にもカボスジュースで割るといった飲み方もおすすめですよ」と話す。

西吉田酒造株式会社 代表取締役社長 吉田元彦さん

つくし銘柄で有名な福岡県の西吉田酒造の吉田さんは、焼酎業界について以下のように話してくれた。

「日本酒は時代に応じてですが、富士山のようなトップが現れるように感じています。しかし、焼酎はそれぞれに山が連なる連峰のようなイメージです。芋もある、麦もある、米もあるといった個性が魅力ですが、消費者からすれば少し難しいと感じられるかもしれません」

焼酎は多様な原料が使用されるが故に、特定の何かにスポットライトが当たりにくいことは事実かもしれない。しかし、地域や原料、製法によって様々な表情を見せることは、焼酎が持つ最大の魅力であると言えるはずだ。

合同会社ねっか 代表社員 脇坂斉弘さん

福島県南会津にて米焼酎、日本酒、ウォッカ、どぶろくなどの製造を行う合同会社ねっか。豊かな自然環境の中で生まれるお酒を通して、地域の未来を守る取り組みを推進している。

脇坂さん「美しい田園風景を次世代へとつなぐために『ねっか』を立ち上げました。ノンプラスチック肥料の導入など、持続可能な農業の実現を目指して焼酎、輸出用日本酒の製造などを進めています」

現在、日本酒の製造免許を新規で発行することは、実質不可能とも言える状況である。脇坂さんは米を使った酒造りへの挑戦として「特産品焼酎」の製造免許を通して、地域の農業への貢献を続けている。

2020年には海外輸出に限定された「輸出用清酒製造免許」を取得。焼酎、日本酒など様々な酒類を通した展開を推進している。

薩摩酒造 営業本部 大阪支店 副支店長 松本伊作さん

現在、芋焼酎市場ではフルーティな香りが特徴的な製品に注目が集まっている。鹿児島酒造組合ブースにおいても、軽快な味わいと香りが特徴的な焼酎が数多く並ぶ。

中でも薩摩酒造が販売する「彩響(あやひびき)」は究極の清涼感をコンセプトに開発された芋焼酎だ。「若い方にもフルーティな香りの商品から芋焼酎を知ってもらえればと思っています」と営業本部の松本さんは話す。

「彩響」は芋由来の香りだけではなく、青りんご系の香りが特徴となる清酒酵母「1801酵母」を使用し、低温発酵を行うことで吟醸酒のような香りも身にまとう。これまでになかった芋焼酎として、その多様性を体現しながら、さらなる市場をけん引していくはずだ。

まさひろ酒造 代表取締役会長 比嘉 昌晋さん 第38代泡盛の女王 仲村ゆうなさん

沖縄県酒造組合のブースでは、泡盛を使用したオリジナルカクテルを提供。地域の文化を活かした飾り付けなども相まって、大勢の来場者が足を止めていた。

泡盛の伝統的な酒器、「チブグァ(器)」と「カラカラ(徳利)」でいただく。この酒器は沖縄の芸術大学名誉教授が製作したもので、非常に貴重なものであると説明を受けた。

小さなチブグァで泡盛の香りを楽しみながら、ゆっくりとストレートで飲むのが沖縄流。ペリーが浦賀へ来航する前、琉球に立ち寄ってこうした伝統的酒器で泡盛を楽しんだという記録も残っているらしい。

泡盛は40度近いものが多くなるが、丸みもあって飲みやすい。飲み終わったチブグァに残る、泡盛の香りを楽しむのも重要だ。

どのブースも各県の特色が現れており、飲むだけではなく視覚的にも楽しめた。ボトルデザインも特徴的なものが多く、「本格焼酎・泡盛」が持つ多様性を体現しているようだった。

一流ホテルのような「Shochu Cocktail Bar」

焼酎の新しい楽しみ方として注目を集める「焼酎カクテル」にスポットを当てたブースが中央に展開。(一社)日本ホテルバーメンズ協会監修による6種類(原料別)のベーシックカクテルが初披露された。

また、本格焼酎&泡盛カクテルコンペティションに優勝したバーテンダー4名による、4種の優勝カクテルが本イベント限定で提供された。

どれも魅力的なカクテルであることから、ブースはその味わいを楽しもうと集まった大勢の人たちで賑わった

大分の麦焼酎「兼八」をベースに「Bols クレーム ド カカオ ホワイト」とヘーゼルナッツ主体のリキュール「フランジェリコ」、そして「ホイップクリーム」を使用した「白月」は、一口飲むとクリームやカカオ、そしてナッツの甘みが広がった後、余韻に兼八特有の香ばしい麦の薫りが鼻に抜ける。「麦焼酎」を使っているからこその味わい、幾層にも重なった香りが素晴らしかった。

「Authority」のベースとなる鹿児島県の芋焼酎「蔵の師魂 オレンジ」は、オレンジのような柑橘系の香りが特徴のフルーティタイプ。この香りを増幅させるためにオレンジの風味が特徴の「アペロール」と、エルダーフラワーリキュールの「サンジェルマン」、そしてレモンジュースとグレープフルーツシロップが使用され、スッキリと爽やかな飲み心地に仕上がっていた。フルーティな芋焼酎の香味を活かしたカクテルとして、これからのスタンダードになることが期待される。

「Authority」(左)と「白月」(右)

今回発表されたベーシック焼酎カクテルは、ホテルバーメンズ協会に加盟する全国27店舗のバーにて、1カ月間の期間限定で提供される。本格焼酎や泡盛を使ったカクテルを通じて、その魅力をより多くの人に届けるきっかけとなりそうだ。

本格焼酎・泡盛に関するミニセミナー

会場内では本格焼酎・泡盛の魅力を学べるセミナー・トークショーも開催された。テーマは多岐にわたり、「焼酎と世界の蒸留酒の違い」や「本格焼酎・泡盛のカクテル」「球磨焼酎の伝統酒器」など興味深い内容ばかり。

ライターの児島麻理子さんと鹿児島大学客員教授の鮫島吉廣さん

6月14日(土)の12時から実施された「世界の蒸留酒と日本焼酎の違いと魅力」を拝聴した。

鮫島さん「日本は水がとてもきれいです。水の良い風土だから清酒が生まれる。そして、水が良いから蒸留酒を水割りにして楽しめます。蒸留酒を水で割って飲むという文化は、実は世界中にほとんどないわけですね」

鮫島さんは世界の蒸留酒では40度以上のものが一般的である中、焼酎は25度と比較的低い点を指摘する。さらに、水やお湯割りによって飲みやすい度数で楽しまれていることについて言及。日本人はお酒に弱い人が半分いるが、そういった方でも強い人でも一緒になって宴会を楽しむのが日本の文化であると説明した。

また、児島さんは「バーテンダーの中での本格焼酎・泡盛への注目度が増している」と話を続ける。

鮫島さん「一昔前の焼酎は香りの強いものが多かったが、減圧蒸留などの導入によって軽快な香りの焼酎が普及しはじめました。芋焼酎であれば芋の品種を変える、麹菌を変える、蒸留方法を変えるといった手法によって、現在はフルーティで軽快な商品が生まれています。こういった新しい焼酎が現れても、誰も『これは焼酎じゃないよ』ということは言いません。こうしたおおらかさが焼酎の魅力だと感じています」

こうした多様性が受け入れられる土壌があるからこそ、カクテルでの活用といった新しい世界への道が拓かれていくだろうと講演を締めくくった。

世界に誇る日本独自の蒸留酒

初開催となった「國酒フェア」。日本酒と本格焼酎・泡盛の合同展示としては世界最大級であり、全国各地から多くのファンが多種多様な酒類を楽しんだ。

芋、麦、米、そば、栗――多彩な原料が織りなす焼酎の世界は、ときにカオスのようでありながら、だからこそ豊かだ。その“まとまりのなさ”こそが個性であり、日本ならではの自由な酒文化の証でもある。

だが一方で、それが新しい飲み手や海外市場にとっての“分かりにくさ”となっているのもまた事実。焼酎が世界へ羽ばたくためには、この多様性をどう伝えていくかが鍵になるかもしれない。

日本の蒸留酒文化が、新たな製法や香味、そしてカクテルという手法を通して次のステージへ進もうとしている。初めて日本酒との合同開催となった、今回の「國酒フェア」をきっかけに、焼酎や泡盛が持つ“自由さ”が、より多くの人にとっての魅力へと変わっていくことを願いたい。

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