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洋酒のプロが唸る味わい!いま飲むべき、おすすめの焼酎|「TWSC2021」 最高金賞の上位10銘柄を紹介

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洋酒のプロが唸る味わい!いま飲むべき、おすすめの焼酎|「TWSC2021」 最高金賞の上位10銘柄を紹介

Text : SHOCHU NEXT

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ベーシックな25度モノから熟成銘柄まで。いま飲むべき焼酎を知りたい人へ

ウイスキー評論家の土屋守さんが審査員長を務め、2019年から開催されている日本唯一の蒸留酒のコンペティション「東京ウイスキー&スピリッツコンペティション(TWSC)」。その第3回となる「TWSC 2021」の結果が先ごろ発表されました。焼酎部門にも255銘柄がエントリー、2度の審査を経て17銘柄が「最高金賞」を受賞しています。こちらのコンペの大きな特徴は、焼酎の専門家だけではなく、土屋さんを筆頭に、ウイスキー、ラム、テキーラなど洋酒の専門家たちがジャッジを務めていること。つまりはさまざまな洋酒好きの人々にも突き刺さる焼酎が選ばれているというわけです。なかなか焼酎の入り口が分からないな……という方でも、「TWSC 最高金賞」の焼酎・泡盛ならば必ず納得していただけるはず! 最高金賞のうち1位から10位までを一挙紹介します。


審査員長・土屋守さんに今年の審査結果について聞いています! あわせてお読みください!

今いちばんおいしい焼酎はどれだ!? 土屋守さんに聞く「TWSC 2021 焼酎部門」。 | 熟成を知る、焼酎を楽しむWEBマガジン 「SHOCHU NEXT」

ウイスキー評論家として絶大な信頼を寄せられる土屋守さんが実行委員長を務める東京ウイスキー&スピリッツコンペティション(TWSC)。日本で唯一かつ、200人あまりのジャッジを迎えて大規模に開催されるこの蒸留酒のコンペは、2019年の初回以来、着実に存在感を増している。2回めの開催となった昨年からは焼酎部門が新設され、”世界に通用する焼酎”についての議論が一段と深まる契機にもなったのではないだろうか。

TWSC2021の公式サイトはこちら。最高金賞の17銘柄のほかにも、金賞・銀賞・銅賞まで全結果が紹介されています。

東京ウイスキー&スピリッツコンペティション-TWSC

東京ウイスキー&スピリッツコンペティション(TWSC)は、日本で唯一のウイスキーとスピリッツの品評会です。



「TWSC 2021」焼酎部門の上位10銘柄はこちら!

厳正な審査を経て発表された「TWSC 2021 焼酎部門」のコンペ結果。84名のジャッジによる一次審査後に、特に点数の高かった 25 本がリストアップされ、新たに 15 名の特別テイスティングチームを編成。1位=「ベスト・オブ・ザ・ベスト」を決める審査が行われました。ここでは最高金賞を受けた17銘柄のうち、この2次審査で決定された上位10銘柄をご紹介。多くがすでにSHOCHU NEXTでも紹介したことのあるおなじみの熟成銘柄なのはうれしい限り。やっぱり熟成を経た焼酎には世界に通用するポテンシャルがありそうです! 順位はついているものの、僅差の大接戦であったのは審査員長・土屋さんに取材させていただいた既報の通り。どれから飲んでも間違いなしの銘柄です!

[TWSC2021 最高金賞受賞] 
いま飲むべき、おすすめの焼酎

第1位 紅さんご(黒糖焼酎・熟成)

TWSC2021の焼酎部門のベスト・オブ・ザ・ベストに輝いたのは、黒糖焼酎を樽で熟成させた〈紅さんご〉。奄美大島を代表する蔵元の人気銘柄の一つで、手頃な値段で入手しやすいので、樽熟成の焼酎を知るにはうってつけ。味わいは濃厚かつ繊細、香りも豊か。自然豊かな立地ならではの伏流水がこの複雑な味わいを支えているという。同蔵元の主力商品〈れんと〉は、黒糖の減圧蒸留で熟成なし。2つを飲み比べてみれば、減圧/常圧、熟成あり/なしによる味わいも実感でき、焼酎の奥深さに触れられるはず。

紅さんご
【黒糖焼酎】
貯蔵 5年(樽)
度数 40度
原材料 黒糖・米麹
蒸留 常圧

蔵元 奄美大島開運酒造  ストアサイト→
所在地 鹿児島県大島郡宇検村

[TWSC2021 最高金賞受賞] 
いま飲むべき、おすすめの焼酎


第2位 古代一壺(米焼酎・熟成)

SHOCHU NEXTではすっかりおなじみの、六調子酒造による〈古代一壺〉。長年に渡って熟成にこだわり抜いてきた技術と感性でつくりあげる数々の銘柄は、熟成焼酎の完成形ともいえる名品ばかり。なかでも、〈古代一壺〉は、年数の異なる樽熟成の古酒を使用し、経験に裏打ちされた高いブレンド技術で実現した一本。なんと30年もの(!)の古酒も使用されているとか。芳醇な味わいで、しっとりと美しい一編の小説を読んだような充実感すらある。

古代一壺(こだいいっこ)
【米焼酎】
貯蔵 30年、13年、11年(樽)
度数 
38度
原材料 
米・米麹
蒸留 
常圧

蔵元 六調子酒造  ストアサイト→
所在地 熊本県球磨郡錦町

[TWSC2021 最高金賞受賞] 
いま飲むべき、おすすめの焼酎

第3位 田苑 ENVELHECIDA 40度(芋焼酎・熟成)

田苑酒造は、日本で初めて麦焼酎の樽熟成銘柄を発売した蔵元。以来、熟成焼酎の研究を深く続ける蔵としても定評がある。この〈田苑 エンヴェレシーダ 40度〉は、芋焼酎の樽熟成タイプ。一般的には、芋焼酎は樽熟成との相性が難しいとされるが、同蔵元では試行錯誤を重ねて、ブレンドによって理想的な酒質を実現。フルーティな味わいと樽の香ばしさが織りなす華やかさは、焼酎よりも洋酒に近く、2018年の発売以来、芋&樽の組み合わせでは絶対的な輝きを放っている。

田苑 エンヴェレシーダ
【芋焼酎】
貯蔵 
3年(樽)
度数 
40度
原材料 
さつま芋・米麹
蒸留 
常圧

蔵元 
田苑酒造  ストアサイト →
所在地 
鹿児島県薩摩川内市

[TWSC2021 最高金賞受賞] 
いま飲むべき、おすすめの焼酎

第4位 百年の孤独(麦焼酎・熟成)

熟成焼酎の底力が現在ほどに認知されるずっと前から、プレミアム焼酎として高い人気を誇り続けてきた〈百年の孤独〉。麦焼酎の香ばしさを、オーク樽がよりまろやかに、より香ばしくした1本はなんと1980年代の発売。以来、数々の著名人たちに愛され続けてきたことも知られ、数多くの熟成焼酎銘柄が現れた現在でも入手困難という孤高の存在だ。しゃれた名前といい、パッケージといい、焼酎というカテゴリーを超えたブランディングで、酒にうるさい飲み手をも刺激する好例。味を追求するだけでは半人前。百花絢爛の熟成焼酎の時代に、〈百年の孤独〉は、頂の上で何を思うだろうか。

百年の孤独
【麦焼酎】
貯蔵 
3年以上(樽)
度数 
40度
原材料 
麦・麦麹
蒸留 
常圧

蔵元 
黒木本店 WEB→
所在地 
宮崎県児湯郡高鍋町

[TWSC2021 最高金賞受賞] 
いま飲むべき、おすすめの焼酎

第4位 八重泉樽貯蔵(泡盛・熟成)

洋酒や和酒などさまざまなお酒、特に蒸留酒に慣れ親しむようになると、どこかで泡盛の凄みに出会う、と個人的には思う。泡盛はやっぱり特別なお酒だ。“古酒(クースー)”や仕次ぎなど、伝統的に熟成のプロセスがあることがよい酒を生むとされてきたから、各蔵元の貯蔵・熟成酒への知見が深いことも特徴だ。伝統的かつ一般的なのは甕貯蔵だが、〈八重泉樽貯蔵〉は、早くから樽貯蔵に挑戦してきたことも知られる銘品。発売されて、50年以上も経つ。樽貯蔵の先駆者としてだけでなく、蒸留法も独特で、直釜式蒸留を採用している。これは、昔ながらの蒸留器でいまは石垣島に多く残るのだとか。ほのかな甘味と奥深いコクの余韻。そこには小さな島の大きな歴史も詰まっている。

八重泉樽貯蔵
【泡盛】
貯蔵 3年以上(樽)
度数 43度
原材料 米・米麹
蒸留 常圧

蔵元 八重泉酒造  ストアサイト→
所在地 沖縄県石垣市

[TWSC2021 最高金賞受賞] 
いま飲むべき、おすすめの焼酎

第6位 天使の誘惑(芋焼酎・熟成)

〈富乃宝山〉という横綱級の焼酎に隠れてしまうが、〈天使の誘惑〉は焼酎の歴史に名を残すといって過言ではない逸品。およそ25年前の発売だが、シェリー樽に7年寝かせた原酒を使っているため、開発を始めたのは80年代後半ということになる。決して重厚すぎはせず、軽やかでありながら華やか。そして、品がある。まるで、現代的なラグジュアリーデザインのような味わいだ。芋焼酎のフレーバーの多様性に注目が集まったのはここ10年ほどと考えると、どれだけ時代の先をいっていたのかが今さらわかる。蔵元である西酒造は、いまや焼酎だけでなく、ワインやウイスキー、日本酒も手がける総合酒造メーカー。そして、職人の層が厚い。追えば、日本の酒づくりの未来が見えてくる。

天使の誘惑
【芋焼酎】
貯蔵 
7年(樽)
度数 
40度
原材料 
芋(黄金千貫)・米麹(白麹)
蒸留 
常圧

蔵元 
西酒造  WEB →
所在地 
鹿児島県日置市

[TWSC2021 最高金賞受賞] 
いま飲むべき、おすすめの焼酎

第7位 里の曙 ゴールド(黒糖焼酎・熟成)

黒糖焼酎の改革者として、すっかり認知された感のある町田酒造。1991年創業という新しい蔵元らしい、斬新な取り組みを行っている。その2大柱が、クセの強い常圧蒸留に減圧蒸留の酒をブレンドすること、そして、黒糖の量を通常以上に使い、黒糖の風味の豊かさを徹底的に追求すること。伝統ではなく、新しい調和への挑戦は、地元ならず全国的に新しい飲み手を獲得することにつながった。さらに近年では原料となるサトウキビの自社栽培もはじめている。〈里の曙 ゴールド〉は、シェリー樽、コニャック樽など、複数の樽貯蔵をブレンドし、複雑な味わいでありながら飲みやすさを実現。焼酎のイメージをアップデートする頼もしい一本なのだ。

里の曙 ゴールド
【黒糖】
貯蔵 3年以上(樽)
度数 43度
原材料 黒糖・米麹
蒸留 常圧と減圧のブレンド

蔵元 町田酒造  WEB→
所在地 鹿児島県大島郡龍郷町

[TWSC2021 最高金賞受賞] 
いま飲むべき、おすすめの焼酎

第7位 酒酒楽々 金(芋焼酎)

漆黒の箱に金箔で記された「酒」「楽」「Grand Cru(最上級の畑)」の文字。焼酎であるかどうかすらも記されていないけれど、上質なお酒だろうことは分かる。先入観なくただ酒を楽しんでほしいという願いのようなものが伝わってこないだろうか? 手がけるのは〈天使の誘惑〉と同じ、鹿児島県・西酒造。蔵の畑で最も土質・日当りのよい「グラン・クリュ」で採れたコガネセンガンと、自社の田んぼで育てた山田錦で仕込んだ一本。焼酎だけでなく、今手がける日本酒やワインなど、どれを飲んでも「美しい」飲み口に感動させられる西酒造。こちらの自慢の一本もその印象を裏切らない。とろりと分厚く、フローラルさも兼ね備えた味わいをぜひ試してほしい。

酒酒楽々 金(しゃしゃらくらく きん)
【芋】
貯蔵 非公開
度数 30度
原材料 さつまいも・米麹
蒸留 非公開

蔵元 西酒造  WEB →
所在地 
鹿児島県日置市

[TWSC2021 最高金賞受賞] 
いま飲むべき、おすすめの焼酎

第9位 長期貯蔵麦焼酎 梟(麦焼酎・熟成)

福岡県と佐賀県をまたぐように広がる筑紫平野は、麦の産地として有名な土地。福岡県は北海道に次ぐ生産量を誇る。しぜん、地域の蔵元の多くが麦焼酎をつくっているが、なかでもこの〈長期貯蔵麦焼酎 梟〉は唯一無二の味として、各方面からの評判がすこぶるいい。にんじん焼酎など、蔵元である研醸(けんじょう)は開発力が自慢。〈こふくろう〉や〈梟〉などふくろうシリーズでは、焙煎した麦を原料とすることで、飲み手が麦焼酎に求める香ばしさを徹底的に追求した。なかには、麦麹を焙煎した銘柄まである。最高金賞を受賞したこの一本は、樫樽で5〜7年熟成をかけている。度数も40度と洋酒並だ。焼酎というより、日本産蒸留酒の稀有なブランドといえそうだ。

長期貯蔵麦焼酎 梟
【麦焼酎】
貯蔵 5〜7年(樽)
度数 40度
原材料 麦・麦麹・米麹
蒸留 常圧

蔵元 研醸  WEB→
所在地 福岡県三井郡大刀洗町

[TWSC2021 最高金賞受賞] 
いま飲むべき、おすすめの焼酎

第9位 千年の響 長期熟成古酒43度(泡盛・熟成)

沖縄本島の北部にある今帰仁村(なきじんそんむら)は、美しい自然環境に恵まれ沖縄の原風景が残ると言われる土地。今帰仁酒造は、この地で代々泡盛を造り続け、古酒にも力を入れていることで、地元はもちろん全国に愛好家が多い蔵元。〈千年の響 長期熟成古酒43度〉は、樽を使った熟成酒。原酒を樽で寝かせ、何も加えずそのまま瓶詰めしたもの。泡盛古酒のまろやかさに、樽の香味が加わった極上品だ。ずっと変わらず残る自然からつくられた酒が、何代も使われてきた木樽にさらに抱かれて生まれた深い深い味わい。日本の蒸留酒の祖先でもある泡盛ならではの重みを感じずにはいられない。

千年の響 長期熟成古酒43度
【泡盛】
貯蔵 3年以上(樽)
度数 43度
原材料 米麹
蒸留 常圧

蔵元 今帰仁酒造  ストアサイト→
所在地 沖縄県国頭郡今帰仁村

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雑誌『Dancyu』の焼酎特集をはじめ、書籍や雑誌などで焼酎・日本酒を中心とした記事を執筆するライター、金関亜紀さん。この数年は焼酎の世界にどっぷりとつかり、数々の蔵元を訪れて知識と人脈を深めてきたうえ、鹿児島酒造組合認定の「焼酎マイスター」も取得。のんべえライターなこの人に、熟成焼酎・泡盛のおすすめを聞きました。樽熟成編に引き続き、こちらはタンク・甕(通称・白モノ)の熟成編。焼酎だけの力でうま味を深めるタンク・甕熟成には、底知れない力があるんです……。おすすめの20本をクリアする頃には、あなたもどっぷり焼酎通?!

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