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鹿児島っ子も焼酎飲んでない?! SHOCHU NEXTと吉満香の「焼酎飲ませ隊」~鹿児島・後編〜

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鹿児島っ子も焼酎飲んでない?! SHOCHU NEXTと吉満香の「焼酎飲ませ隊」~鹿児島・後編〜

Text : Sawako Akune(SHOCHU NEXT)
Photo : GINGRICH(SHOCHU NEXT)

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それぞれの人の、普段の嗜好をもとに飲むべき焼酎をセレクトする「焼酎飲ませ隊」。焼酎大国・鹿児島で開催の前編では、出席者が普段飲んでいるお酒をもとに、おすすめの1本を飲んでもらいました。焼酎のさらなるバリエーションを知っていただくべく、試飲会はさらに続きます。鹿児島生まれの4人の女性たちの、焼酎への意識はどのように変わっていくのでしょうか。

焼酎について、何か質問ありますか? 

先ほど〈yaezakuraワイン酵母仕込〉を飲ませてもらいました。そのほかの銘柄でも、麹がどう、酵母がどう、とかいったことを書いてあるけれど、焼酎って全部に麹や酵母が入っているんですか?

その通りです。麹は焼酎の場合、たいていは米麹や麦麹ですが、ほかの変わり種もある。酵母もアルコール発酵のために必要です。もともと焼酎のアルコール発酵の際によく使われる酵母はあるのですが、現在は、その酵母だけではなく、ワインづくりに使う酵母だとどうなるか、ビールの酵母ではどうか……と、各蔵元が研究を重ねているんです。ビール酵母を使った焼酎として、鹿児島だと小牧蒸溜所の芋焼酎〈一尚 ブロンズ〉がありますね。

野球で外国人選手を投入して試合の流れを変えるみたいな……?(笑)

それ、すごくイメージが湧きます(笑)! では私も質問です。夫も私もよく飲む方なので、焼酎は一升瓶で買うことが多いんです。注ぎ口に焼酎がたれちゃうし、どぼどぼって出て割り方のバランスがわかんなくなっちゃう。あれはどうしたらいいんですか?

月並みですけど、わたしは注ぎ口のある容器に移しています。好美さんが言うように重いし、直接注ぐと液だれしちゃうから。もし一升瓶で飲むなら、注ぐ前に優しく一回くらい逆さにして、少し沈殿物とかを浮かせてあげるといいですよ。

私も質問あります! お湯割り、水割り、ソーダ割り……などなど、たくさんある飲み方はどうやって決めたらいいですか?

最初のうちは好みでいいですよ! ソーダ割りは飲みやすいけれど、香りが飛びがちだから、繊細な香りの銘柄の場合はよさが消える可能性があるので、そこは注意してください。皆さんも実感があると思うけれど、お湯割りはおそらくいちばんハードルが高い(笑)。私もそうですけれど、お湯割りはいろいろ飲むうちに好きになったという人も多いので、あまり固定概念にとらわれず、好きに割ってみたらいいと思います。

吉満さんは「SHOCHU NEXT」のハイボール連載でもさまざまな奇想天外かつおいしい割り方を発見してくださっているのでぜひご一読を(笑)。さて、では再び焼酎の試飲にいきましょうか。

ワイングラスで飲みたい芋焼酎〈

ここからは皆さんお好きに、気になったら飲んでみてくださいね。まずは黒木本店の芋焼酎〈球〉。度数は14度とワインより少し高いくらい。〈球〉という名前には「ワインのように食事と合わせることで完成して、円(球)を描く」という意味のほか、九州の「Q」、割り水して14度に下げているので、冷蔵庫で冷やせばすぐ飲める、Quickの「Q」といろんな意味が込められているそうです。黒木本店は宮崎の蔵元で、自家農園を持ち、畑の原料づくりから焼酎の製造工程で出る産廃物の処理まで、全てを自分たちで行っています。そういうサステナブルな試みもいいんですよね。

……すごい。そういうお話を聞いているだけで飲みたくなっちゃいます(笑)

度数も味わいも、ワイングラスで飲むのが合いますよ。

うーんこれは色も美しいし、するる〜!といけますね。イタリアンにも合う味だと思います。

飲み口は軽いけれど、あとからちゃんと芋の存在感が出てくる。余韻が長いっていう感じかな?

鹿児島っ子、米焼酎の王道〈武者返し〉を初体験

さて次は熊本・寿福酒造場の米焼酎〈武者返し〉です。

つ、強そうな名前!! 自分だけでこのラベルと名前に出会ってもチャレンジしなかったかも……。

まさにこの名前、このラベル!というような、どしーんとした味わいですよ。ほかの蔵元さんからも評価の高い味。鹿児島では、米焼酎を飲む文化があまりないから、ぜひ試してみてください。

わあ!これは、ここまでに飲んできた、優し~い感じの焼酎とはかなり違いますね。でもおいしい! 強いけどガサツじゃないっていうか(笑)

フレーバーはとても複雑。それでいて全体としての存在感も強い。よくできた銘柄です。

あれ、でもちょっと日本酒っぽい香りというか……、これが米焼酎っていうことですか?

その通りです。優希さん、さっき食事に合うお酒がいいというお話をされていましたよね。この〈武者返し〉はどんな和食でも合います。

紅さんご 長期熟成〉で知る樽熟成の奥深さ

続けてもう一本かなり個性が際立つ銘柄を……。奄美大島開運酒造の黒糖焼酎〈紅さんご 長期熟成〉です。これは40度と度数もかなり高いので、ちょっとずつ味わうのがおすすめ。少しだけ水を足しますね。オーク樽でじっくりと熟成した銘柄なので、香りもとてもいいですよ。

口に含んだ瞬間にふわあと香る! バニラっぽい甘やかさがあって、とっても贅沢な味ですね。

本当だ。ラムとかに近い感じ? バニラアイスにかけたらおいしそうですね。一日の最後にこういうのが飲めたら最高だなあ。

これ黒糖焼酎なんですか? 私が今まで知っていた黒糖焼酎とはまるで違うかも! とろとろした感じで、ゆったりとした気分の時に飲む上等なお酒という感じ。

おそらく、皆さんが居酒屋さんでもよく見かける黒糖焼酎とは蒸留の仕方が違うんです。こちらはどしっとした香りや味わいを引き出している。この銘柄も焼酎の大きなコンペで1位になったりしています。もっと世界でも知られていいような味わいだと、個人的には思っていますね。

ぜひ飲んでおきたい焼酎リキュール3連打

皆さんほれぼれするほどよく飲みますね! 飲んべえは私だけじゃないと知って安心しちゃいます(笑)。では最後に、焼酎をベースにしたリキュールを3種類ご紹介します。まず熊本・豊永酒造〈CARDAMON TAKE7〉は米焼酎ベース。そして大分・常徳屋酒造場の〈かぼすリキュール ALL OITA〉と福岡・天盃の〈天盃 コーヒースペシャリテ〉は麦焼酎ベースです。

わ!〈かぼすリキュール ALL OITA〉はかぼす感満載。なのにすっごく麦の味もする。これは初めての感覚です。めちゃくちゃおいしい。

うーん、これはヤバイやつだ(笑)。飲み口もすきっとしているから、いくらでも飲んでしまう……。おいしいですね。

大分産の麦で麦焼酎をつくり、大分産のかぼすの果汁をつけている。個人的にも最近見つけたヒット作です。

この〈CARDAMON TAKE7〉って……カルダモンですか? スパイシー! カルダモンをすりつぶしたまんま、みたいなフレッシュな香りがします。

うんうん、香りが本当にすぐそこにある、っていう感じ!

噂は聞いていたけれど飲むのは初めて。想像以上の味がする。わたしはカレーが好きなので、これはハマる味です。

蔵元も実際にカレー屋さんからの声を受けてカレーに合う焼酎としてつくったそうです。

そして〈天盃 コーヒースペシャリテ〉……。何これ!これもおいしい!甘すぎないカルアミルクみたい。

えー、お酒好きなコってカルアミルクあんまり飲まなくない? 甘くないの?

いや、甘さはあるんだけど甘ったるくはない!

コーヒーのスペシャリストと焼酎のスペシャリストがコラボしてつくったようです。完熟手摘みのホンジュラス産の最高品質のコーヒー豆と、有機栽培のさとうきびを使った黒蜜と、原料にもかなりこだわりがある。こちらも私が最近感動した1本です。

…確かにおいしい……! 濃厚なガトーショコラに合わせてもよさそうだし、それこそアフォガードみたいにアイスにかけてもいいかも。

あ~たくさん飲んだ!どれもおいしかったです。

さて皆さん、お気に入りの1本は見つかりましたか?

今日は個性豊かな10銘柄を飲んでいただきました。いちばん印象に残った1本ってどれでした?



私は最初につくっていただいた田苑酒造〈田苑 GOLD〉がおいしかったかな。吉満さんがおっしゃるように普段飲んでいるものから遠すぎない、飲みやすくて好きな味でした。



私も最初に教えていただいた古澤醸造の〈yaezakuraワイン酵母仕込〉が衝撃度で一位です。芋焼酎に対するイメージがかなり強かった分、同じ芋焼酎なのに香りも全く違うし、口当たりも柔らかいしで驚きました。家に帰り着いて飲んだら元気になりそう(笑)。平日からビールを飲むとちょっと重すぎるところを、〈yaezakuraワイン酵母仕込〉のソーダ割りならアロマっぽく飛ばしてくれる気がします。ぜひ家に常備したいです。



私は西酒造の〈宝山 蒸撰綾紫〉。うまく説明できないけれど、とてもおいしくてきれいな味だった。今日はソーダ割りでいただいたけど、お湯割りだとどんな味になるのかな? って気になってます。シリーズのほかの銘柄も飲んでみたくなりました。



わたしは最後に飲んだリキュールのなかから、豊永酒造の〈CARDAMON TAKE7〉ですね。周囲の焼酎好きたちから、かなりオススメされてきた銘柄で、初めて飲んでみたら本当においしかった。想像を超えるカルダモンの風味を、ぜひ家でもカレーなどスパイス料理に合わせたいと思います。うーん、でもどれもおいしかったな!(笑)

うん、今日薦めていただいた銘柄は、これも焼酎、あれも焼酎ってびっくりするくらい味わいが違っていました。芋っぽいのが苦手でも、全然イメージと違う焼酎がたくさんあるし、お酒が弱いコだったらリキュールからとか、けっこう入り口は多いんだなって知りました。

吉満さんにそれぞれの焼酎がどうやってつくられているのか、どうして味がこんなに違うのかが聞けたのも、とっても面白かったです。〈球〉をつくっている蔵は、ぜひいつか行ってみたいと思います。

ほとんどまともに飲んだことのなかった焼酎の世界が、ちょっとだけ覗けて楽しかったです。この次は1歩進んで、自分で選んで飲んでみようかなって思えました。まだまだどれがどういう味かはわからないから、ラベルでジャケ買いします(笑)

私、お酒はなんでも飲む方だし、焼酎にもそんなに固定概念なんて持ってないと思ってたんです。でも今回、同じ焼酎のなかでいろんな味わいのものがあるのを知って、意外といろいろ固定概念を持ってたんだって気づきました。吉満さんに自分ではやったことのない飲み方を教えてもらったり、丁寧につくってもらったりすることで、おいしさが増したなあとも思います。

あれこれ飲んでいるうちに、前に島にいた時はこういうお酒が好きだったなあとか、今の生活だとこういうお酒が飲みたいなあという思いがたくさん湧いてきました。お酒ってけっこう人生のシーンと連動してるんだな、ってしみじみ感じることもできました。

なあに!壮大だね。でも麻緒のその気持ちはすごくわかる!

皆さんの反応を見ながらオススメするの、とても楽しかったです! ありがとうございました。

お酒好きたちに焼酎を紹介するこのおせっかい企画、第一弾は大成功だった気がします! 鹿児島生まれの女子たちでも、あるいは鹿児島っ子だからこそ知らなかった焼酎の世界の扉を開けてとっても満足。何しろ皆さんいい飲みっぷりだし、反応もいいしで、見ているこちらもうれし楽しくなりました。SHOCHU NEXTの「焼酎飲ませ隊」、いつかあなたの街にもやってくるかも……? それでは今宵はほろ酔い気分で、おつかれさま!

鹿児島っ子も焼酎飲んでない?! SHOCHU NEXTと吉満香の「焼酎飲ませ隊」~鹿児島・前編〜はこちら

SHOCHU NEXTと吉満香の「焼酎飲ませ隊」~鹿児島・後編〜で紹介した焼酎はこちら!

【芋焼酎】
度数 
25度
原材料 
芋・米麹
蒸留 
常圧

蔵元 
黒木本店 →WEB
所在地 
宮崎県児湯郡
武者返し
【米焼酎】
度数 
25度
原材料 
米・米麹
蒸留 
常圧

蔵元 
寿福酒造場
所在地 
熊本県人吉市
紅さんご
【黒糖焼酎】
度数 
40度
原材料 
黒糖・米麹
蒸留 
常圧

蔵元 
奄美大島開運酒造 →WEB
所在地 
鹿児島県大島郡宇検村
カルダモン TAKE7
【リキュール】
度数 
25度
原材料 
本格米焼酎、カルダモン、食物繊維
蒸留 
減圧

蔵元 
豊永酒造 →WEB
所在地 
熊本県球磨郡
コーヒースペシャリテ
【リキュール】
度数 
25度
原材料 
本格焼酎(国内製造)、黒糖みつ、コーヒー
蒸留 
常圧

蔵元 
天盃 →WEB
所在地 
福岡県朝倉郡
KABOSU Liqueur ALL oita
【リキュール】
度数 
10度以上11度未満
原材料 
本格むぎ焼酎(ハダカ麦・ハダカ麦麹)、かぼす果汁、果糖
蒸留 
常圧

蔵元 
常徳屋酒造場 →WEB
所在地 
大分県宇佐市

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