クラフトスピリッツを再発見するWEBマガジン

芋の熟成焼酎と「キャベツとからすみのパスタ」|片岡護シェフのイタリアン&熟成焼酎ペアリング #01

レシピ・飲み方・食

芋の熟成焼酎と「キャベツとからすみのパスタ」|片岡護シェフのイタリアン&熟成焼酎ペアリング #01

Text : Sawako Akune
Photo : Norio Kidera

  • Twitterでシェア
  • Facebookでシェア
  • Lineで送る

「イタリアンと熟成焼酎? そりゃあ合うよ~!」にこやかにそう言い切るのは、西麻布のイタリアン「リストランテ アルポルト」の片岡護シェフ。1983年に自身のレストランをオープンして40年近く、日本を代表するシェフの一人として走り続けてきた人にそんな風に言われると、焼酎びいきとしては頬が緩んでしまう。

「ペアリングにうんちくなんていらないんだよ。おいしいものを楽しく飲み食いすればなんでも合うんだから!わっはっは~! でもまあ、せっかく来てくれたのに“なんでもいい”じゃあ困っちゃうよね(笑)いくつか提案してあげましょう」

 頼もしいお言葉に励まされて始まった取材。ここから4回にわたって、片岡シェフによる熟成焼酎とイタリアンのペアリングをご紹介していきます。


本日の焼酎:東京・八丈島酒造の〈江戸酎〉

東京の離島·八丈島でつくられる〈江戸酎〉。芋の風味ががつんと出た1本。

片岡さんによる1本目のセレクトは芋の熟成焼酎〈江戸酎〉。東京産の芋焼酎とは少し意外な気もするけれど、実は八丈島では古くから芋を育ててよく食べていたそう。サツマイモ栽培の歴史も1800年代初頭からとかなり長く、1850年代から芋焼酎をつくり続けている。

〈江戸酎〉をつくる八丈島酒造の創業は1915年。すべて八丈島産の芋を、島の美しい水で仕込む銘柄は、実はどれも大人気。なかでも2~3年熟成の〈江戸酎〉は、白黄色芋系・紫色芋系・橙色芋系と色や味わいの違うサツマイモを使って仕込むもの。毎年11月に数量限定で発売されるのを心待ちにするファンも多い銘柄だ。

「僕は普段から焼酎をよく飲むのだけど、東京の芋焼酎というのは初めて。この〈江戸酎〉はとってもいいパンチがあるね」と片岡さん。

「食事はこのパンチに負けないものがいい。同じく干して熟成させてつくるからすみを使ったパスタにしようか」

江戸酎
貯蔵 4年前後・タンク
度数 25度
原材料 さつま芋(八丈産)・麦麹(白麹)
蒸留 減圧・常圧ブレンド


蔵元 八丈島酒造  WEB →
所在地 東京都八丈町

本日の料理:キャベツとからすみのパスタ

ガーリックの香りが食欲をそそる一皿。黄金色のからすみがきれい!

撮影は憧れのお店「リストランテ アルポルト」にて。シェフたちが忙しく立ち働くなかにお邪魔させていただきます! 「さささっとできちゃうメニューだからこそ、材料や調味料は全部下ごしらえを済ませて準備しておくこと。さあ始めようか」

材料(1人前)
・キャベツ(太めの千切り) 1.5枚程度
・にんにく(みじん切り) 1カケ分
・からすみパウダー 少々
・からすみ(薄いスライス) 8~10枚
・アンチョビ 1 尾
・〈江戸酎〉 20cc程度
・たかのつめ 1本
・オリーブオイル
・塩 
・イタリアンパセリ
・パスタ(細めのもの) 60g


① フライパンにオリーブオイル、にんにく、たかのつめを入れて火にかける。きつね色になったらさっと湯通ししたキャベツを加える。

②刻んだアンチョビとからすみパウダーを入れ、〈江戸酎〉を回し入れる。水分が足りなければパスタの茹で汁を入れる。

③パスタを茹で上げて②に入れ、オリーブオイルをひと回し。強火でざっと和える。

④皿に盛りつけ、スライスしたからすみとイタリアンパセリを添える。

材料を揃えてから10分足らずで完成するシンプルメニュー。「味が絡みやすい、細めのパスタがいいよ」と片岡さん。

「お酒に合わせるものだから、味ははっきりめを意識して。とはいえ、アンチョビでかなり塩味が出るので、パスタはほぼ塩を加えない。炒め合わせる最中にペアリングする熟成焼酎を少し入れることで、相性がさらによくなるのはもちろん、味にコクが加わります」

さて試食! 無限ループにハマりそうなマッチ具合

熟成焼酎×熟成魚卵のコンビネーション。

ワイングラスにたっぷりの氷を入れて、そこに〈江戸酎〉を注ぐオン・ザ・ロック。「サツマイモのフルーティーな香りが立つから、ワイングラスで飲むのがお薦め」と片岡さん。「よりさっぱりする炭酸割りもよく合いそうだね。実はイタリアの蒸留酒、グラッパもロックや水割りがおいしいんだよ! イタリアの地元では、エスプレッソにちょっとだけ垂らしたのを仕事前にクイッと引っかけたりもするね。焼酎は日本の蒸留酒なんだから僕らが楽しまないと!」

さて肝心のペアリング。ガーリックとアンチョビとからすみ、たかのつめやオリーブオイル。個性強めの“登場人物”を、ほのかに甘いキャベツが受け止めて最高の味。〈江戸酎〉オン・ザ・ロックをグイッとやると……、口の中がさっぱりして、ああまたパスタが食べたくなる。そして食べたら飲みたくなる……。これはいくらでも飲んで&食べてを繰り返してしまいそう!

「おいしい? 干してつくるからすみは凝縮されたうま味があるので、芋の味が蒸留で凝縮されている芋焼酎にも負けないと思うよ~。家で試すときに、からすみは手に入りづらいなと思うなら、ベーコンでいいじゃない! ごろごろと大きめに切ったベーコンを入れて、薄切りのカリカリベーコンを上に散らせば食感もいい。豚もサツマイモもつくっている鹿児島県のスモーキーな樽香のある熟成焼酎なら、さらにベーコンがぴったりだろうね。焼酎はワインと同じでテロワールのお酒。その土地でとれたものと合わせるのは、失敗のないペアリングの基本だと思うなあ」

スタート早々に発見の多い、片岡護シェフの熟成焼酎ペアリング。次回はどんなマッチングが見られるのか? どうぞお楽しみに!

片岡護
Mamoru Kataoka|「リストランテ アルポルト」オーナーシェフ。1948年東京生まれ。国内外で料理修行の後、73年に帰国。代官山「小川軒」、南麻布「リストランテ マリーエ」料理長を経て83年「リストランテ アルポルト」をオープン。以降、TV・雑誌などで大活躍。日本にイタリアンを根づかせた立役者。

リストランテ アルポルト
東京都港区西麻布3-24-9
https://www.alporto.jp/

Share

  • Twitterでシェア
  • Facebookでシェア
  • Lineで送る