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焼酎の「トレンド」がわかる!「第2回 酒屋が選ぶ焼酎大賞 受賞酒を楽しむ会」完全レポート

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焼酎の「トレンド」がわかる!「第2回 酒屋が選ぶ焼酎大賞 受賞酒を楽しむ会」完全レポート

Text & Photo : Kaho Matsumoto

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先日発表された「第2回 酒屋が選ぶ焼酎大賞」。その「受賞酒を楽しむ会」が7月12日に⽇本の酒情報館にて開催されました。入賞した16銘柄を蔵元さんと一緒に試飲できるという素晴らしいイベントでした。早速その様子をレポートします!

「酒屋が選ぶ焼酎大賞」とは

「酒屋が選ぶ焼酎大賞」は2022年に開始しました。第2回となる今年は全国の酒販店100店舗以上から235銘柄の焼酎がノミネートされ、その中から芋・麦・米・黒糖・泡盛の全5部門で3つずつ受賞焼酎が決定されました。

まずは焼酎を取り扱う酒販店が集まり、芋・麦・米・黒糖・泡盛の中から1銘柄ずつ推薦する焼酎を決定します。その後、ノミネートされた235銘柄をブラインドで酒販店担当者が「お客様におすすめしたいか」という基準で官能評価を行いました。各部門で大賞1銘柄、入賞2銘柄が選出されたわけですが、そもそもたくさんの種類がある中でノミネートされるだけでもすごいことです。さらにその中から選出され受賞した焼酎はまさに「いま、酒販店がおすすめしたい焼酎」ということで、今年のトレンドも色濃く反映されたラインナップとなりました。たとえば、芋焼酎は華やかでフルーティーなものが飲みやすいことから人気で、麦焼酎はより香ばしさのあるタイプが選ばれる傾向にあったようです!

「第2回 酒屋が選ぶ焼酎大賞」受賞銘柄

「第2回 酒屋が選ぶ焼酎大賞」受賞銘柄

芋焼酎部門 

・大賞「GLOW EP05」(若潮酒造 鹿児島県志布志市)

・優秀賞「蔓無源氏」(国分酒造 鹿児島県霧島市) 

・優秀賞「富乃宝山」(西酒造 鹿児島県日置市)

麦焼酎部門

・大賞「新焼酎 特蒸泰明」(藤居醸造 大分県豊後大野市)

・優秀賞「特蒸泰明」(藤居醸造 大分県豊後大野市)

・優秀賞「久保 白麹」(久保酒蔵 大分県宇佐市)

米焼酎部門

・大賞「メローコヅル エクセレンス」(小正醸造 鹿児島県日置市)

・優秀賞「あさぎりの花」(高田酒造場 熊本県球磨郡)

・優秀賞「耶馬美人 米」(旭酒造 大分県中津市) 

黒糖焼酎部門

・大賞「神喜の目醒め 【シェリー樽熟成】」(朝日酒造 鹿児島県喜界島) 

・優秀賞「紅さんご」(奄美大島開運酒造 鹿児島県奄美大島) 

泡盛部門

「酒屋が選ぶ焼酎大賞 受賞酒を楽しむ会」を開催!

そんな「酒屋が選ぶ焼酎大賞」の第2回で受賞した焼酎を蔵元さんと一緒に楽しめるイベントが7月12日に⽇本の酒情報館にて開催されました。

「酒屋が選ぶ焼酎大賞 受賞酒を楽しむ会」を開催!

実行委員長の酒舗 まさるや 園部将さんは会の冒頭の挨拶で、「焼酎も厳しい時代が続いているので、この『酒屋が選ぶ焼酎大賞が少しでも焼酎を愛してくれるお客様を増やすきっかけになれば嬉しいです。一生懸命焼酎をつくってくれている蔵元さんとお客様を繋いでいきたいですね」と話しました。

来年は第3回の開催も決定しているとのことで、「1年目は酒屋さんだけで審査し、2年目の今年は審査員に飲食店の方にも入って頂いたので、3年目の来年は一般消費者の方にも審査をしてもらえたらいいなと思います」と明かしました。来年は私たちが審査員になるチャンスがあるかも……ワクワクしますね。

「第2回 酒屋が選ぶ焼酎大賞」の芋焼酎部門で大賞を受賞した、若潮酒造株式会社の上村曜介さん

芋焼酎部門で大賞を受賞した、若潮酒造株式会社の上村曜介さんは「弊社は2018年に50周年を迎え、次の50年・100年に向けて新しいチャレンジを始めていこうとつくったのが「GLOW」というブランドです。名前の由来は、焼酎にもっと輝いてほしい・もっとその楽しさを伝えたいということからきています。製法が社外秘なのですが、これは作り方を秘密にしたいのではなくて、『芋だからこうだよね』とか『麹がこうだからこうだよね』みたいなことを考えず、単純に焼酎を飲んで皆さんが感じたことを語ってほしいからです」とコメント。

とてもフルーティーな焼酎なので、ソーダ割りがおすすめだとお話されていました。筆者は初めて飲んでみたのですが一口飲んで驚き!「本当に焼酎なの?!」とびっくりされると思います。斬新な驚きのあとはその爽やかさがクセになります。ぜひ焼酎はちょっと苦手という方にも飲んでみてほしい銘柄だと思いました。

「第2回 酒屋が選ぶ焼酎大賞」の麦焼酎部門で大賞と優秀賞を受賞した藤居醸造の藤居淳一郎さん

麦焼酎部門で大賞と優秀賞を受賞した藤居醸造の藤居淳一郎さんは「2つも受賞したのはびっくり!」と話しつつも、「泰明は個性を出そうと20年ぐらい前から、常圧蒸留にこだわりつくった焼酎です。麦の香ばしさを感じられる飲みごたえのある麦焼酎を作ろうと、一般的には半年~1年寝かせるのが当たり前のところあえてフレッシュな香りを楽しんでほしい寝かせずにすぐに出荷しています。自分は3代目なのですが、2代目の父が泰明(やすあき)という名前で、父が今まで頑張ってきたのを形にしたいという思いで泰明(たいめい)と名付けました。『もう1杯!』と飲み進めたくなるような香りと味のバランスに仕上げています。ウイスキーを飲む方や外国の方にも楽しんでもらえたら嬉しいですね」と話していました。

「受賞酒を楽しむ会」で各蔵元さんが持参された、それぞれの焼酎に合うアテ

今回の「受賞酒を楽しむ会」では各蔵元さんがそれぞれの焼酎に合うアテを持参されていたのですが、中でも異彩を放っていたのが、藤居さんが持ってきた「大分しいたけチョコクランチ」。

「大分しいたけチョコクランチ」

チョコレートと麦焼酎が合うというのはちょっと意外でしたが、一緒に頂くと確かに見事なペアリング!焼酎の新しい楽しみ方を教えてもらったような気がしました。

「第2回 酒屋が選ぶ焼酎大賞」の米焼酎部門で大賞を受賞した小正醸造の小正倫久さん

米焼酎部門で大賞を受賞した小正醸造の小正倫久さんは「『メローコヅル』は先代の2代目が1957年に発売した焼酎です。鹿児島県で米焼酎を作りはじめた頃で、当時は焼酎が安いものと低く見られていた時代だったのですが、焼酎の価値を上げるために寝かせることにチャレンジしたのが始まりでした。熟成させることで名前の由来にもなっている『ゆっくりとした』時間を過ごしてほしいと思ってつくっています。まずはロックで、その後水を足しながらあるいは炭酸割りで飲んで頂くのがおすすめです」とコメント。

小正醸造ではIWSC(International Wine and Spirits Competition)・TWSC(東京ウイスキー&スピリッツコンペティション)・ISC(インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ)に続いて『酒屋が選ぶ焼酎大賞』を受賞したことでなんと今シーズン4タイトル目の受賞。蔵でも多いに盛り上がり、そしてさらに気合が入っているのだそう!

「第2回 酒屋が選ぶ焼酎大賞」の泡盛部門で大賞を受賞した請福酒造の座安一樹さん

泡盛部門で大賞を受賞した請福酒造の座安一樹さんは「弊社は直火製法を全面に出した手法に自信をもってこれまで泡盛をつくってきました。ただ、泡盛の中では決して有名ではなかったこともあり、受賞の電話をもらった時、『本当にうちですか、間違いじゃないですか』と思わず言ってしまったくらい驚きました。ここ2~3年で沖縄県内だけではなく県外の方にも喜んでもらうためにはどうしたら良いかを考えながら味を少しずつ変化させるなど試行錯誤してきました。受賞を機にまずは全国の方に知って頂き、そしてたくさんの泡盛がつくられている沖縄に逆輸入できたらうれしいですね」と話していました。

「第2回 酒屋が選ぶ焼酎大賞」の泡盛部門で優秀賞を受賞した宮里酒造所の宮里徹さん

さらに同じく泡盛部門で優秀賞を受賞した宮里酒造所の宮里徹さんは「宮里酒造所は那覇空港のビルから一番近い蔵元はうちです!(笑)」とアピール。「今ラインナップは1升瓶のみですが、今後は四合瓶などもつくり、いろんな方に楽しんで頂けるように頑張っていきたいです」と話しました。そして春雨の飲み方については「まずはストレート・ロックで飲んで頂き、その後炭酸割りや水割りにするとフレッシュな味わいが楽しめます。さらに泡盛では珍しくお湯割りにも特化しているので、お湯割りにしていただくと『第3の世界』に突入しますよ……!」とコメント。

1年中温暖な気候の沖縄で、しかも泡盛でお湯割り……?と不思議な気持ちになりますが、実は暑い気候だからこそ沖縄の人はお湯割りを好むそうで、「1年中クーラーで身体が冷えてしまっていることもあり、逆に熱いお茶を飲むことで体調管理をしている人も多いんです。だから真夏でも晩酌の最後にはお湯割りにすることで翌日に響かなかったり、夏バテをしないという沖縄の知恵があります」とのこと。泡盛はどうしてもお湯割りにすることで悪い風味があらわれてしまいがちですが、製法を工夫することでお湯割りにしても美味しい泡盛が完成したのが「春雨 ゴールド」なんですね。

ずらりと並ぶ「第2回 酒屋が選ぶ焼酎大賞」全受賞焼酎16銘柄

会場には全受賞焼酎16銘柄がずらりと並びました。気になるものを香りを確認してから、プラカップに注いでもらい楽しむというスタイル。

「酒屋が選ぶ焼酎大賞 受賞酒を楽しむ会」の様子

その焼酎をつくった蔵元さんに感想を伝えたり、話を聞いたりできるレアな機会です。製法や美味しい飲み方について質問したり、一緒に記念撮影を楽しんだりする様子がみられました。

「酒屋が選ぶ焼酎大賞 受賞酒を楽しむ会」

会は2時間とたっぷり時間があったので、順番に全部の焼酎を試飲したり、蔵元さんが持ってきたアテと一緒に楽しんだりとじっくり受賞焼酎を楽しむことができました!参加されていた方は焼酎好きな方ばかりなので、話が盛り上がっていたのも印象的でした。

今後焼酎好きとしては目が離せない「酒屋が選ぶ焼酎大賞」!今から来年の第3回もとても楽しみです!まずは今年の受賞焼酎の中からどれを晩酌用にお迎えするかじっくり考えたいと思います!

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