6月のおすすめ熟成焼酎｜琥珀色にはまる！樽熟成のニューフェイス

多くの焼酎蔵元が、定番商品以外にも季節商品や限定本数などの特別銘柄を発売しています。スポット的に出てくるそういった銘柄は、実験的な試みが行われていたり、味わいがかなり大胆だったりと、個性強めのものが多いのが特徴。この蔵元は、将来どんなことをやりたいのかが見えてくる、意欲的な銘柄も少なくありません。SHOCHU NEXTにとって近年とてもうれしい傾向のひとつが、熟成タイプの新商品が増えていること！　そこで今月は、2021年発売の、樽熟成のニューフェイスからオススメを探し出しました。木樽をつかった熟成焼酎の進化は、日本古来の蒸留酒・焼酎が世界へ羽ばたくためのポテンシャルを大きく担うともされるところ。ウイスキーやラムもいいけれど、たまには樽熟焼酎もいかがでしょう？

手頃な価格で樽熟成を楽しめる銘柄が続々と誕生！

今月のおすすめ熟成焼酎01　
〈五島芋 紅はるか 樽熟成〉 五島列島酒造

「長崎県の五島列島にある福江島唯一の焼酎蔵である五島列島酒造は、2008年創業のまだ若い蔵元。しかし、農産物の豊富な地元産原料を使った焼酎で瞬く間に高い評価を獲得した、要注目の蔵元でもあります。その蔵元が、今年5月に発売した〈五島芋 紅はるか 樽熟成〉は、蔵元初となる樽貯蔵の一本！　糖度が高く、食用にも人気の高いサツマイモ”紅はるか”を原料とした芋焼酎を、シェリー樽とオーク樽で貯蔵。これをブレンドしています。サツマイモをふかしたような甘い味わいがまず感じられ、かすかに樽の香りが追いかけてきます。軽やかな飲み心地なので、けっこうするするといけちゃいます。まずはロックで芋の甘さを楽しんだら、ソーダ割りでさっぱりと、がおすすめです！」（編集部D）

今月のおすすめ熟成焼酎02
〈樽の呼吸〉小正醸造

「焼酎の樽貯蔵のパイオニアといえば鹿児島県の小正醸造。米焼酎をオーク樽で寝かせた〈メローコヅル〉の発売はなんと1957年。当時から世界と戦う蒸留酒を目指してのことだったといいますし、〈メローコヅル〉は今飲んでもまったく遜色のない味わいなので、その慧眼ぶりはすごいの一言。小正醸造はさらに2018年から『嘉之助蒸溜所』としてウイスキーの世界にも乗り出していて、樽への知見はさらに深まっているはず。それがまた焼酎にもフィードバックされるといいなあ……と思っていたら、こちらの〈樽の呼吸〉が発売されました！　ド級のヒットを飛ばしたあのアニメを思い出す銘柄名はさておき、実際〈メローコヅル〉とはまた違う意味で、樽の息づかいを感じるような1本に仕上がっています。ドライフルーツのような甘めの香りを楽しんだ後に口に含むと、甘やかさとどしっとしたパンチが一緒にやってくる。重＆軽のバランスが絶妙です。樽感たっぷりの〈メローコヅル〉に比べると飲み進む度に顔が変わっていく感覚。3種の麦焼酎のブレンドで、樽貯蔵（この甘やかさはおそらくシェリー樽）をベースに、常圧のもの、ワイン酵母で仕込んだものがブレンドされているとか。目指すお酒の方向性がくっきりと見えるのもなんだかうれしい1本です。アルコール度数25度なので、大酒飲みな私はもはやストレートかロックでいってしまいますが、ハイボールにすると軽快さが前に出てきてとてもいい！　梅雨の鬱陶しさを蹴散らしてくれそうです」（編集部SA）

今月のおすすめの熟成焼酎 03
〈IKIKKO DELUXE 38°〉壱岐の蔵酒造

「正確には新商品ではないのですが……、ラベルが刷新されて大幅にリニューアルされたのでピックアップ！　商品名も英字に変わり、新デザインも相まって洋酒感が増しました。熟成焼酎を飲み慣れないという人でも、薩摩酒造の〈神の河〉は、炭酸割りがウイスキーのようでおいしいという声はよく聞きますよね？　あの〈神の河〉と同じ、麦焼酎の樽熟成、かつ同じく手頃な値段の銘柄って結構あるんです。なかでも長崎県壱岐地方でつくられる壱岐焼酎は、麦焼酎の聖地ともいわれ、この〈IKIKKO DELUXE〉もそのひとつ。なんと30年前から販売されている人気銘柄で、発売から30周年を記念して今回のラベルリニューアルだそう。この38度バージョンのほかに、25度もあり、そちらが一般的ですが、ハイボール好きには断然、度数の高い方をおすすめします。麦のキリッとした味わいと樽香のコクがより楽しめます！　ぜひ普段の焼酎ハイボールとも飲み比べてみて、この奥深き世界に入ってみてくださいね」（編集部KW）