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渋谷で熟成焼酎のペアリングを楽しむ「炭焼居酒場 IGOR COSY 渋谷本店 」 | 熟成焼酎が飲める店 #04

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渋谷で熟成焼酎のペアリングを楽しむ「炭焼居酒場 IGOR COSY 渋谷本店 」 | 熟成焼酎が飲める店 #04

Text & Photo : SHOCHU NEXT

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ユースカルチャーの発信地・渋谷。色とりどりの文化が行き交うこの地に、本格焼酎をメインにした飲食店が2021年10月にオープンした。熟成焼酎をさまざまな飲み方で試せると聞くその店、料理とのペアリングも抜群だそう。都内随一の繁華街のど真ん中に、どんな熟成焼酎が待っているんだろう…? さっそく渋谷・円山町へ足を運んだ。

渋谷・円山町では、若い人たちがクールな酒場で本格焼酎を飲んでいる?!

渋谷駅から徒歩約5分。道玄坂の人だかりを抜け、ライブハウスやクラブが並ぶにぎやかな小路を進むと、「Igor Cosy」と黄色く光るネオンサインが目に入る。白レンガの壁の隙間の細長い窓から中をのぞくと、およそ焼酎が飲めるとは想像もつかないスタイリッシュな空間! 本当にここで合ってるのか…?と訝りながら扉を開けると、「こんにちは!」と威勢良い声が迎えてくれた。声の主は店長の山田敬一朗さん。都内各地の飲食店で10年以上経験を積んだ後、「炭焼居酒場 IGOR COSY 渋谷本店」の店長を務める。

店長の山田敬一朗さん。笑顔いっぱいの接客上手!

店内は、クローズドな印象の外観とは対照的な広々とした空間。中央にオープンキッチンがあり、13席のカウンターと28席のテーブルやボックス席を見渡すつくりだ。「居心地の良さと活気ある空間の両立を目指しました」と山田さん。新しい酒場のあり方を模索した結果、IGOR COSYを立ち上げることになったそう。

「この場所は元々IGOR COSYと同じ企業が運営するスペインバルで、僕はそこの店長を務めていました。でもバルを続けていくうちに、なかなか新しいことに挑戦しづらくなっていた。そこで、『メゾン サンカントサンク』や『アエル』など、都内の人気店を率いる丸山智博さんとプロジェクトを立ち上げたんです。話し合いの末にできたコンセプトは、落ち着いて食事を楽しみながら、料理のエネルギーを感じられる居酒屋。ライブ感のある原始焼きをはじめとする炭火料理をテーマに、店づくりをはじめました

奥行きのあるカウンターに囲まれたオープンキッチン。奥にテーブル席がある。

料理が決まれば、次は酒場の要のドリンクだ。バラエティ豊かな焼酎を楽しめる「炭焼居酒場 IGOR COSY 渋谷本店」。数多くの酒のなかから焼酎をメインにしたきっかけを山田さんはこう思い返す。

「以前にバルをやっていたこともあり、僕は最初、ワインを推していたんです。ワインのノウハウはあるから、お客さんにも説明しやすい。でもワインってどうしても価格が高くなりがちだし、何よりこれまでにない新鮮さが欲しかった。そこで白羽の矢が立ったのが焼酎。グラス1杯500円から提供できて、どんな料理とのペアリングも楽しめる。ただ、若者からすると、サワーの割材だったり、上の世代の飲み物です。実は僕もIGOR COSYを始めるまで焼酎全く飲んでなかったんですよ!

柳田酒造の〈青鹿毛〉や西酒造の〈天使の誘惑〉など、九州各地の本格焼酎が揃う。

それまではワインを中心にメニューや接客を行っていた山田さん。「焼酎は全く知らなかったので最初はかなり戸惑いました」と笑う。焼酎をドリンクのメインに扱うことが決まってから、徹底的に焼酎を飲み比べたそう。

「初めて焼酎を飲むお客さんと同じスタート位置だったことで、焼酎の美味しさに気づくプロセスをお客さんにも共有できる。『この焼酎はこう飲まなきゃ!』とか『やっぱり芋臭いのが一番』みたいな玄人目線ではなく、飲んだことのない人でも美味しく飲める方法を、お客さんと同じ目線で探ることができました。お客さんの反応に合わせて、僕たちも日々ブラッシュアップを続けています」

既成概念にとらわれない! 「炭焼居酒場 IGOR COSY 渋谷本店」が薦める焼酎ペアリング

「炭焼居酒場 IGOR COSY 渋谷本店」では、本格焼酎はもちろん、サワーやカクテルなど充実したメニューが揃う。ペアリングに悩んだら、迷わず聞くのが最良! 山田さんお薦めのペアリングを3つ、教えてもらった。

①長谷川農園のマッシュルームサラダ×〈百年の孤独〉ソーダ割り

「長谷川農園のマッシュルームサラダ」と黒木本店の麦焼酎〈百年の孤独〉のソーダ割り

まずは前菜を、と山田さんが出してくれたのは「長谷川農園のマッシュルームサラダ」と黒木本店の麦焼酎百年の孤独〉のソーダ割り。静岡県にあるマッシュルーム専門農家、長谷川農園で採れたフレッシュなマッシュルームは歯ごたえも良く香りも抜群。そこへ〈百年の孤独〉の芳醇な樽香が合わさって、濃厚な風味が口の中いっぱいに広がる。

「IGOR COSYでは、水割りとソーダ割りはワイングラスでお出しします。そのままグラスに注ぐのではなく、一度シェーカーで焼酎をよく冷やしてから氷を入れずに注いでいます。氷がたっぷり入った水割りやソーダ割りは、つくりたては香りもしっかり立ちますが、時間が経つと薄まってしまう。氷を入れる代わりに焼酎自体を冷やすことで、飲み進めても薄まることなく、焼酎本来の香りを最後まで楽しめるんです」

IGOR COSYのソーダ割りで特に印象的なのは炭酸が全然強くないことより一般的な強炭酸ではなく、あえて微炭酸水で割ることで、焼酎の香りが炭酸に負けず、飲み疲れもしないそう。「ハイボールと言うと強炭酸をイメージしてしまうので、うちはあえてソーダ割りとしてお出ししています」と山田さん。ワイングラスでのプレゼンテーションも相まって、まるで微発泡ワインのような飲み心地。食事と合わせてゆっくりと楽しめるように工夫した1杯だ。

ソーダ割りと水割りはシェーカーで1杯ずつ焼酎を冷やしてつくる。

②ずわい蟹とマスカルポーネのポテトサラダ×〈極楽〉お湯割り

「ずわい蟹とマスカルポーネのポテトサラダ」と〈極楽〉のお湯割り昆布

次は少し和風に、と山田さんがつくってくれたのは、「ずわい蟹とマスカルポーネのポテトサラダ」と熊本県の林酒造場がつくる米焼酎〈極楽〉のお湯割り昆布。お湯割り昆布……? と首をかしげていると、出てきたのは昆布がぎっしりと入ったグラス。そこにお湯割りをなみなみと注ぐと、あっという間に昆布の香りがふわっと鼻を抜ける。一口含めば、昆布の旨みと米焼酎の甘やかさがたっぷり。飲み進めるごとに旨みが増すその味わいは、まるで上等なだしの出たスープを飲んでいるかのようだ。

「常圧蒸留で長期熟成した〈極楽〉は、昆布の旨みにも負けないどっしりとしたボディが特徴。ポテトサラダのまったりした味わいと昆布のだし感、ズワイガニの濃厚な磯の風味の組み合わせはベストマッチです。ちびちびと飲めるお湯割り昆布は、最後の1杯としてもぴったりですよ!」

上:山盛りに盛りつけられた「ずわい蟹とマスカルポーネのポテトサラダ」。一口食べると箸が止まらない!
下:球磨焼酎〈極楽〉。お湯割りはそれぞれのテーブルでグラスの縁ぎりぎりまで注いでもらえる。

③黒岩土鶏もも肉のタタキ×〈山ねこ〉水割り

「黒岩土鶏もも肉のタタキ」と〈山ねこ〉の水割り

「最後はやっぱり炭火を使ったものを!」と意気込む山田さん。出てきたのは豪快に炙られた「黒岩土鶏もも肉のタタキ」と、宮崎県にある尾鈴山蒸留所の芋焼酎〈山ねこ〉の水割りだ。自然豊かな尾鈴山で放し飼いで育てられた黒岩土鶏と、尾鈴山の原料で仕込んだ〈山ねこ〉。同じ環境で生まれ育った料理と焼酎、もちろん合わないはずがない! タタキの凝縮した旨みと〈山ねこ〉の爽やかな香りは、一口合わせれば箸もグラスも止まらない、最高のペアリングだ。

直火で炙る「黒岩土鶏もも肉のタタキ」は、香ばしさとジューシーさのバランスが絶妙。調理シーンも見ていて楽しい。

焼酎の充実したラインナップもさることながら、割り方にもこだわる「炭焼居酒場 IGOR COSY 渋谷本店」。水割りにシソと唐辛子を添えた大衆居酒屋の定番、金魚割りや、華やかなレモングラスほうじ茶割りなど、どの割り方で頼もうか思わず腕組みしてしまう豊富さ。食事のメニューも定番料理から旬の食材を使ったものまで揃い、何度訪れても新しいペアリングを楽しめる新鮮さが魅力だ。

うるさくなりすぎない、シンプル&モダンなデザインのメニュー。のんびり眺めて楽しむ人たちも。

明るく楽しい酒場が、焼酎の扉を開く鍵になる

ごはんもうまいし、お酒も最高。でも「炭焼居酒場 IGOR COSY 渋谷本店」の魅力は、食のクオリティだけではなく、生き生きとしたコミュニケーションにある。「静かでかしこまった雰囲気を想像してきてくれたお客さんにはびっくりされるくらい、元気な接客が取り柄です(笑)」と山田さん。山田さんを含めスタッフは全員気さくで、笑顔が絶えない。

「ワイワイと賑やかな店内ですが、安く酔いたい人ではなく、美味しいごはんやお酒を求めて来てくれる方が多いですね。若い方はもちろん、幅広い層に楽しんでもらえるように、メニューも2〜3人で楽しめるような上品なものから、ワイワイ囲んでつまめるものまで用意しています。気さくに飲みたい時にはカウンターで、会食やデートで落ち着いて楽しみたい方には奥のテーブルに。広い店内を生かして、さまざまなシーンで来ていただける工夫をしています」

上質な空間ととびきりの接客につい長居したくなる「炭焼居酒場 IGOR COSY 渋谷本店」。この雰囲気づくりには、いろんな体験を通して焼酎の面白さを知ってもらいたいという山田さんの思いがある。

1回だけ焼酎を飲んで、ハマった!って思うことはなかなかないですよね。実際に僕も焼酎を飲み続けて好きになりました。だから焼酎を好きになってもらうなら『焼酎を飲みたい』というより、『またあの店に行きたい』と思ってもらえるような場づくりが必要。明るい食事の場を通じて、少しずつ焼酎の良さを知ってもらえたら100点満点。時間はかかるけれど、『焼酎好きになりました!』という声を聞いた時の喜びはひとしおです

わかりやすくキャッチーに見せることで、焼酎をこれまで飲んでこなかった若い人にも届く、と山田さん。スパイスを漬け込んだ焼酎や新しい割り方など、現在進行形でさまざまなアプローチを考案中だと話す。これまでの常識にとらわれず、あらゆる角度で焼酎の楽しさを伝えていく。次の世代に焼酎を広げる鍵は、こういう新進の酒場にこそ、ありそうだ。

炭焼居酒場 IGOR COSY 渋谷本店」の店舗情報はこちら

炭焼居酒場 IGOR COSY 渋谷本店
住所 東京都渋谷区円山町1−3 猪鼻ビル 1階
営業時間 17:00〜23:30(フードL.O 22:00、ドリンクL.O. 23:00)
定休日 
月曜日
HP https://www.instagram.com/igorcosy.shibuya/

※新型コロナウイルス感染症対策のため、営業時間に変更がある場合があります。

姉妹店の「居酒場 IGOR COSY 神泉」も要チェック!

京王井の頭線・神泉駅の目の前にある「居酒場 IGOR COSY 神泉」は、姉妹店。こちらは席数16席のアットホームな空間が魅力。焼酎の種類も豊富なので、気になる方は要チェック!

居酒場 IGOR COSY 神泉
住所 東京都渋谷区円山町18-6 藤田ビル 1F
営業時間 17:00〜23:30(フードL.O. 22:30、ドリンクL.O. 23:00)
定休日 
月曜日
HP https://www.instagram.com/igorcosy.shinsen/

※新型コロナウイルス感染症対策のため、営業時間に変更がある場合があります。

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