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お酒好きな女性たちが厳選。お薦めの黒糖焼酎11本!

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お酒好きな女性たちが厳選。お薦めの黒糖焼酎11本!

Text : Marina Takajo(SHOCHU NEXT)
Illustration : Taku Itoh(SHOCHU NEXT)

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2021年の夏、奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島が世界自然遺産に登録された知らせに、コロナ禍を抜けたらあの南の島へ行きたいなあ♡と思いをはせている人も多いはず。ひと足早く、そして気軽に土地の気分を運んでくれるひとつがその土地のお酒。奄美群島でのみ製造が許されている黒糖焼酎は、今こそが楽しむチャンスです。

本州ではそのバリエーションがなかなか浸透しきっていない黒糖焼酎ですが、味わいや香りの豊かさは、ほかのどんなお酒にもひけをとりません。群島にある26の蔵がしのぎを削り、原料、酵母、蒸留、熟成……とさまざまに工夫を凝らした銘柄を出しています。

黒糖らしい甘やかさや香りはあるのに、糖質ゼロなのが女性にもうれしい黒糖焼酎。何から試せばいいんだろう? 奄美在住者・酒販店勤務など黒糖焼酎好きを自認する女性5人に、“推し”の黒糖焼酎を選んでいただきました。

黒糖焼酎はスペシャル感と飲みやすさを兼ね備えたお酒!|JETRO 川上香里奈さん

黒糖焼酎についての知識や蔵元紹介、カクテルレシピなどが英語でまとまったウェブサイトAMAMI KOKUTO SHOCHU。奄美大島酒造協同組合によるこの英語サイトの制作を始めとする、黒糖焼酎の海外展開事業をサポートしたのがジェトロ鹿児島です。現在は東京の本部勤務の川上香里奈さんは、前任地の鹿児島でこの事業を担当していました。

「両親が鹿児島の出身なので、焼酎自体にはなじみはあったんです。でもそれはお湯割りの芋焼酎(笑)。学生時代とかだと、飲みにいく居酒屋も銘柄ではなく“芋焼酎” “麦焼酎”と書かれているようなところが大半ですし……。黒糖焼酎のことはほとんど知らず、黒糖焼酎の輸出支援の主担当になって初めて知り、すっかりハマってしまいました」

黒糖焼酎の輸出拡大を目指すこのプロジェクトには、10あまりの蔵元が参加。川上さんは取材にも同行し、いくつもの蔵元をまわったそう。

日本でも奄美群島でしかつくられていないという希少性がすごくかっこいい! あの豊かな風土のなかでだけ生まれるということ自体、焼酎のなかでも特別感があります。それでいて誰にとっても飲みやすい、なじみやすい銘柄が見つかり、飲み手を選ばないのもすごい。『AMAMI KOKUTO SHOCHU』のサイトは海外輸出を促進することが目的でしたから、ミクソロジストの南雲主于三さんのディレクションでカクテルレシピも紹介しています。カクテル材料としてもとてもいい働きをするんですよね。あまり黒糖焼酎を知らない友人たちには、家で簡単なカクテルをつくって飲んでもらったりと布教しました(笑)。黒糖焼酎は、味も、つくりなどの特徴も、海外をはじめとする新しい顧客を獲得する魅力ポイントばかり。プロジェクトに携わったこともあって私自身も思い入れがとても強いので、バーンと知名度が跳ね上がる日を、今か今かと待ちわびています」
黒糖焼酎の強力なサポーターである川上さん、悩みに悩んで3本をお薦めしてくださいました。

黒糖焼酎のお薦め①
〈壱乃醸朝日〉朝日酒造

「喜界島の朝日酒造は取材で見学をさせていただいた蔵のひとつ。蔵を率いる喜禎浩之さんに案内していただきました。朝日酒造は理論的に考え、いろんなチャレンジをしているからどの銘柄も魅力的! 最近出た銘柄では樽違いの〈神喜の目醒め〉シリーズもとても興味深いです。この〈壱乃醸朝日は、仕込みに使う黒糖の量がいちばん多い。原酒の香りをかいだときの、押し寄せる黒糖感に驚いたのを鮮明に覚えています。糖分ゼロなのにこの甘い香りはすごいですよね」(川上さん)

壱乃醸 朝日
度数 25度
原材料 黒糖(沖縄産・奄美産)・米麹(黒麹・タイ産米)
蒸留 常圧

蔵元 朝日酒造 オンラインショップ→ 
所在地 鹿児島県大島郡喜界町

黒糖焼酎のお薦め②
〈Amami Rabbit〉 奄美大島開運酒造

「奄美大島海運酒造さんは、もともとCSRなどへの意識が高い蔵。世界遺産登録に向けて準備を進めて発売したこの〈Amami Rabbit〉は、売上の一部を国の天然記念物でもあるアマミノクロウサギの保護活動に寄付するものです。その取り組みもとてもいいし、樽熟成モノのなかでも飲みやすい仕上がりで、誰にでも薦めやすいですよね。小さくて平べったいボトルも含めてかわいくて、ちょっとしたプレゼントに持っていきやすいのも好きです」(川上さん)

Amami Rabbit
熟成 5年以上(樫樽)と原酒のブレンド
度数 25度
原材料 黒糖・米麹(タイ産)
蒸留 減圧

蔵元 奄美大島開運酒造 オンラインショップ→ 
所在地 鹿児島県大島郡宇検村

黒糖焼酎のお薦め③
〈龍郷Gold〉 町田酒造

「プロジェクトの担当になり、黒糖焼酎を勉強し始めたときに、いろいろなことを教えてくれた現地スタッフに薦められて知りました。飲み慣れた人に薦められるのは説得力があります。実際それまで、樽熟成の色のついた黒糖焼酎があることは全く知らなかったので、色からして驚きました。樽熟成した焼酎には、ウイスキーとは違う飲みやすさがある。新しいおいしさでした。町田酒造さんは〈里の曙〉がよく知られる蔵元。この銘柄は地元・龍郷の名前を冠しているのですから、相当の気合も感じます」(川上さん)

龍郷 Gold
熟成 3年以上
度数 35度
原材料 黒糖・米麹
蒸留 常圧

蔵元 町田酒造 HP→ 
所在地 鹿児島県大島郡龍郷町
川上香里奈 Karina Kawakami /JETRO総務部総務課所属。家の棚2つを種々のお酒が占める。

島の食事には、やっぱり黒糖焼酎がベストマッチ奄美「PARADISE STORE」 三井あゆみさん

奄美大島の北部、笠利集落にある「PARADISE STORE」。どこまでも青く美しい海に向かってたつ、名前の通りにパラダイスにあるようなこのショップは2009年のオープン。肌に気持ちのいいウェアや靴、雑貨など、奄美でデザインされ、人の手でつくられたものが揃うライフスタイルショップです。このショップに勤務する三井あゆみさんは、もとは鹿児島市出身。結婚を機に、夫の故郷である奄美に住んで9年目だそう。「外に飲みに出ると必ず黒糖焼酎!」と話す三井さんにも、お薦めの2本を教えていただきました。

黒糖焼酎のお薦め④
〈高倉〉 奄美大島酒造

わたしが初めて飲んだ黒糖焼酎が、龍郷町の奄美大島酒造によるこちら。3年以上の樽熟成を経ていることもあって、甘い口あたりでクセがなく、とっても飲みやすい。さまざまな島料理にもよく合うんですよ。特に、油ぞうめんやアオサの天ぷらとの食べ合わせが最高です。ロックでちびちびと、時間をかけて飲むのがいちばんおいしい1本です」(三井さん)

高倉
熟成 樽貯蔵(3年以上) 
度数 30度
原材料 黒糖・米麹 
蒸留 常圧 

蔵元 奄美大島酒造 HP→ 
所在地 鹿児島県大島郡龍郷町

黒糖焼酎のお薦め⑤
〈長雲 美山錦〉山田酒造

「こちらも龍郷町の蔵元による1本。山田酒造は海際からすこし静かな山のなかに入った場所にあります。とにかく香りがとてもいい! 飲んだ時の、ほのかに甘い後味がクセになるんです。ロックでも十分おいしいのですが、ソーダ割りにして南国らしい島レモンやシークワーサーなど、柑橘系を搾るととっても爽やか! この島らしい、印象的な風味を楽しめます」(三井さん)

長雲 美山錦
熟成 5年
度数 30度 
原材料 黒糖・黒麹 
蒸留 常圧 

蔵元 山田酒造 
所在地 鹿児島県大島郡龍郷町
三井あゆみ Ayumi Mitsui/奄美在住。本州にもファンの多い「PARADISE STORE」スタッフ。お店のHPはこちら→

女性や若い方にも、黒糖焼酎を知ってほしい!鹿児島市「コセド酒店本店」馬場瑞希さん・八巻理那さん

地酒の専門店として、蔵元からも飲んべえたちからも全幅の信頼を寄せられる鹿児島の酒販店「コセド酒店」。焼酎だけで800銘柄が揃うこの店は、スタッフの深い知識も魅力のひとつ。何を買っていいのか分からないという人にも、どういうときにどういう人と飲みたい、ほかにどういうお酒が好き……といった漠然とした好みやカジュアルな会話から、いくつもの銘柄を提案してくれます。今回ご登場いただいたのは、馬場瑞希さんと八巻理那さん。

主に接客や店内のディスプレイを手がける馬場さんは、お酒が好きなお父さんの影響でコセドへの入社を決めたというお酒の“英才教育”を受けてきたそう。
美術・デザイン系の勉強をしてきた八巻さんは、接客のほか商品紹介のPOP制作などを手がけているそう。「若い方や女性でもより気軽にお酒選びを楽しんでほしいです」とお二人。それぞれの個性の出た2本をご紹介していただきました。

黒糖焼酎のお薦め⑥
〈与論島 島有泉〉有村酒造

「黒糖焼酎っておいしい!と思うきっかけになった、個人的に思い入れのある1本。度数は20度と低めなので、焼酎5:ソーダ5の割合で飲むのが好きです。お酒に弱めの方は、焼酎4:ソーダ6くらいでもいいのではと思います。さっぱりとした魚介料理、酢の物と合わせるのがおすすめです。カルパッチョはベストマッチ!」(馬場さん)

与論島 島有泉
度数 20度 
原材料 黒糖・米麹 
蒸留 常圧 

蔵元 有村酒造 HP→ 
所在地 鹿児島県大島郡与論町

黒糖焼酎のお薦め⑦
〈はなとり〉沖永良部酒造

「こちらも20度と度数軽めの1本。あまりお酒は強くないけれど、黒糖焼酎に興味はある、という方にオススメです。香りがとても特徴的なので、これもソーダ割がいい。弾ける泡に乗って、黒糖の甘い香りが感じられるますよ。香りが芳醇で豊かな分、地鶏料理などあっさりしたものと一緒に食べるとバランスがいいです。カクテルの割材としても使えるのでレモンや、トマトジュースと合わせて軽くソーダを加えるのもいいですよ」(馬場さん)

はなとり
度数 20度
原材料 黒糖・米麹 
蒸留 常圧 

蔵元 沖永良部酒造 HP→ 
所在地 鹿児島県大島郡和泊町
馬場瑞希 Mizuki Baba/鹿児島市在住。2020年10月に「コセド酒店」に入社。

黒糖焼酎のお薦め⑧
〈たかたろう〉朝日酒造

「もともと美術系の勉強をしていたので、お酒のラベルを見るのが好きなんです。朝日酒造の創業100周年を記念して発売された、入道雲をイメージしたこのラベルがとてもかわいい! つい手に取りました。
減圧蒸留で仕上げていて、飲み口はすっきり。ソーダ割をカラッと揚げた天ぷらと一緒にいただくのが最高です。わたしはあまりお酒が強いほうではなくて、リキュールばかり飲んでいたタイプ。焼酎には、そんなわたしでも楽しめる銘柄が多い! こちらは度数12%と低アルコールタイプもあるので、焼酎初心者の方にも試してみてほしいです」(八巻さん)

たかたろう
度数 25度
原材料 黒糖・米麹 
蒸留 減圧

蔵元 朝日酒造 オンラインショップ→ 
所在地 鹿児島県大島郡喜界島

黒糖焼酎のお薦め⑨
〈黒糖まーらん舟 33度〉富田酒造場

「度数が高めなので、ロックでちびちびと、時間をかけて飲んでいただきたい1本。黒糖のふわっとした口当たりとコクのある豊かな風味はスパイスとも相性がいいので、キーマカレーなどと合わせるのもおすすめですね。飲み口がとろっとしていて濃厚なので、デザート酒としても楽しめます。バニラアイスとのペアリングが特におすすめです」(八巻さん)

黒糖まーらん舟 33度
熟成 1年 
度数 33度 
原材料 黒糖・米麹
蒸留 常圧 

蔵元 富田酒造場 HP→ 
所在地 鹿児島県奄美市名瀬
八巻理那 Rina Yamaki/鹿児島市在住。2020年4月に「コセド酒店」に入社。

飲めば奄美にワープする! あの土地・あの人々だからこそのお酒|「SHOCHU NEXT」編集部 髙城麻莉奈

最後に、編集部を代表して鹿児島市在住の私からも2本ご紹介。奄美大島にしかないユニークな自然や温かな人々が大好きで、何度も奄美を訪れてきた私。思えば黒糖焼酎との出会いも奄美への旅の途中でした。セレクトは奄美大島を思い出す2本です。

黒糖焼酎のお薦め⑩
〈加那 30度〉西平酒造

「奄美大島を訪れた際、現地の居酒屋の方に薦められて飲んだのがこちら。タンクで1年・樫樽で1年貯蔵した熟成酒で淡い琥珀色が特徴的で、ソーダ割はもちろん、ロック、水割り、お湯割りと、どんな飲み方でも楽しめます。個人的には、ソーダ割と、ニンニクをきかせたガーリックトーストやオイル系のパスタのペアリングが好き。スッキリとお料理の味を切ってくれるので、食中酒として食卓でも大活躍です!」(髙城)

加那 30度
熟成 タンク・樫樽貯蔵
度数 30度
原材料 黒糖・米麹
蒸留 常圧 

蔵元 西平酒造 オンラインショップ→ 
所在地 鹿児島県奄美市名瀬

黒糖焼酎のお薦め⑪
〈喜界島〉喜界島酒造

「色とりどりで、眺めているだけで気持ちが上がるラベルが目を引く1本。ミネラルたっぷりの硬水を仕込み水に使っていて、香りはふんわりまろやか。のど越しはかなりさわやかです。水割りやソーダ割りと、甘いタレの焼き鳥や、BBQでお肉を食べる時など、味が甘めで濃い料理とのペアリングで力を発揮するように思います」(髙城)

喜界島
熟成 1年以上
度数 25度 
原材料 黒糖・米麹 
蒸留 常圧 
蔵元 喜界島酒造 HP→ 
所在地 鹿児島県大島郡喜界島
髙城麻莉奈 Marina Takajo /GINGRICH所属。「SHOCHU NEXT」編集部員として明るく飲み倒す日々!

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