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今年は伊豆諸島の島酒がブームになる予感!?全9蔵の島焼酎が旬の食材と共に味わえる『東京島酒場大』。

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今年は伊豆諸島の島酒がブームになる予感!?全9蔵の島焼酎が旬の食材と共に味わえる『東京島酒場大』。

Text & Photo : 酔街草

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JR神田駅の南口を出て神田金物通り沿いを紺屋町方向に3〜4分ほど歩くと、今川橋交差点角のビルの地下にひっそりと佇むのが『東京島酒場大』だ。

2013年の開店当初はJR神田駅北口にあったのだが、2018年からはこの場所に移転。看板に掲げた”東京島酒場”よろしく、飲食店の乱立する繁華街の喧騒からは離島の如く距離を置いているのがいい。

店内にはレトロな趣きの扉を開けて階段を下りるのだが、これまた連絡船のデッキから客室フロアにでも降りて行くような気分に誘われてしまう。

地下にありながら奥行きのある店内には、L字カウンター7席と4~6人掛けテーブルが5卓ほど。壁のあちこちに三宅島のポスターや大漁旗が貼られていたり、島焼酎のボトルが所狭しと並べられていたりと、どれもが島情緒を盛り上げるのに一役買っている。

エントランス上の島焼酎の出迎えを受けながら階段を下りる。
カウンター回りは物が溢れているのもご愛嬌。このアットホームな雰囲気もいい。
三宅島のポスターが「訪ねておいで!」と語りかける。

店をたった独りで切り盛りしているのが、三宅島出身のオーナー店主・浅沼大(あさぬま・だい)さんだ。

「三宅島には中学3年までいましたが、高校入学からはずっと東京です。平成12年(2000年)の三宅島の噴火の影響で全島避難指示が出て、両親や親戚も東京暮らしになりました。スーパーマーケットを営んでいた叔父がたまたま飲食も始めて、私も高校卒業後から3年間手伝っていました。それが切っ掛けで飲食店に興味を持つようになったんです」

高校では野球部に所属、進学先である体育系の大学ではフライングディスクの団体競技であるアルテミットにのめり込み、世界選手権の日本代表メンバーにも選ばれるほどの実力だったとか。ヤクルトスワローズの熱烈なファンでもある。

島の食材には島の焼酎を!

「店を始めるにあたっては、やはり故郷である三宅島をはじめとした伊豆諸島の魅力を伝えられるようなコンセプトにしようと決めていました。今でも魚介類や野菜などの食材は島からの直送がほとんどで、知り合いから旬のものが送られて来る感じかな。中には”島よりも早いよ!”って届くものもありますね(笑)。実は姉が三宅島で暮らしていて、姉の友人達が魚はもちろん、野菜なども作っていて送ってくれるんです」

ジャガイモやキュウリ、ナス、島唐辛子に明日葉、パッションフルーツやシークヮーサーなどの野菜・果実に加え、大島のトコブシや伊勢海老、式根島のタカベ、神津島の金目鯛、三宅島のシマアジ、八丈島のカツオなどなど、島から直送されて来る特産品は枚挙の遑がない。

「伊豆諸島とひと口に言っても、大島から八丈島、さらに小笠原までは長い距離があって魚の種類も異なりますし、季節の食材も収穫時が微妙に変化します。明日葉は暑すぎると採れない時もあったりして天候にも左右されますしね。その分、今度は何が届くのか楽しみでもあるんですよ」

3月の地理的表示(GI)指定が島焼酎の追い風に!?

浅沼さんの島への愛着とこだわりは、酒選びにも現れている。

伊豆諸島には9つの島焼酎の蔵があるが、この店では全蔵の銘柄を揃えているのが特徴的だ。もちろん、”島酒場”と銘打つゆえのこだわりであろうが、”島の食材には島の焼酎を!”という浅沼さんの矜持でもある。

さらに今年は島焼酎に追い風が吹き始めている。すでにご存知の方も多いと思うが、2024年3月 13日に、「東京島酒」が地理的表示(GI:Geographical Indications)として国税庁より指定されたのだ。

地理的表示とは、商品に使用範囲が保護された生産地名称を用いることで「正しい産地」や「一定の基準を満たした品質」を示すもの。ウイスキーの「スコッチ」や「バーボン」、ブランデーの「コニャック」、ワインの「ボルドー」や「シャブリ」、「シャンパーニュ」などが有名で、これらは世界貿易機関(WTO)加盟国の領域内では知的財産権が保護されている。

日本の焼酎においても、すでに「壱岐焼酎」「球磨焼酎」「薩摩焼酎」「琉球泡盛」の4つが世界貿易機関の「トリプス協定」により、知的所有権のひとつとして地理的表示が認められている。「東京島酒」のGI指定は、平成17年以来8年ぶりの快挙となったのだ。

「ええ、実に喜ばしいことです。これで島焼酎が守られるという安心感もありますし、蔵人や酒屋さんも島焼酎の良さをアピールできる機会が増えるでしょうね。島酒は島ごとに味わいが違うのが特徴的。ここで自分の好きな島焼酎に出合っていただければ嬉しいです」と浅沼さんも感慨深げだ。

*地理的表示「東京島酒」の記事に関してはこちらでもお読みいただけます。

中央の「雄山一(おやまいち)」が三宅島産。島焼酎には珍しく米麹を使用した麦焼酎。25度ながら日本酒にも似たまろやかな味わいが楽しめる。
島焼酎好きを唸らせるラインナップを常備。希少な小笠原のラム酒もある。

島焼酎には欠かせない肴たち。

毎日、伊豆諸島から送られてくる食材は、「言わばブラックボックスのようなもの、その日になってみないと分からない」と浅沼さんは笑う。ただ、定番である「明日葉」の天ぷらや「くさや」の干物、「島寿司」などは極力、用意を怠らないそうだ。

「メニューに『洋子さんのポテトサラダ』と載せているんですが、これは母親の名前で、叔父のスーパーで作っていた頃の惣菜の中から選んで店で出していた名残りなんです。残念ながら母は高齢のため引退しましたが、レシピはちゃんと引き継いでいます。それと独りだとどうしても手が回らないので、”おまかせ”メニューにしてもらうケースが多いんですが、お客さん方が皆さん理解してくださっていて本当に感謝していますね」

「明日葉の天ぷら」(800円)。サクサクとした食感が楽しめる。
大ぶりの「ムロアジのくさや」(780円)は食べ応えあり。
人気の 島唐辛子の醤油に漬けた「島寿司」(7貫1500円)。
箸は三宅島産の柘植や桑の木を使用し、箸置きにも三宅島の石が使われている。目立たないが細やかなアピールだ。
メニューには伊豆諸島の島焼酎がずらりと並ぶ。酒蔵の蔵人や三宅島の人々も東京に来る際に足を運んでくれるそうだ。
日本酒をはじめ、酒の種類も豊富に用意しているので店主に聞いてみよう。単品メニューの数は少ないが、ほとんどの常連客は「おまかせ」で頼んでいるそう。
新鮮な魚介や野菜を肴に島焼酎を存分に楽しんでみたい。「洋子さんポテトサラダ・コロッケ」は、浅沼さんの母親が作って評判だったレシピを踏襲。
八丈島の「情け嶋 」は食中酒に最適。かつて流刑地だった八丈島の“沖で見たときゃ鬼島とみたが、来てみりゃ八丈は情け嶋”という民謡に由来している。
オフィスビルの1階に忽然と現れる店の入り口。
何気に店内でも目立つのが勢いのある『大」の文字。

2024年5月にオープン11年目に入った『東京島酒場大』。

「もちろん新規のお客さんもいらっしゃいますが、この店は常連さんが新しいお客さんを繋いでいただくという、人脈での紹介が多いので助かっています。とくに学生時代からの仲間や三宅島の友人達には感謝しかないですね。ただ、母親が手伝えなくなってから、ずっと独りでやって来ましたから・・・。コロナ禍も弁当販売で何とか乗り切りましたが、正直、そろそろ体力的にはしんどさを感じますね。店内をもう少し小規模に改装して、目が行き届くようにしようかと思案中なんです」

確かに人との繋がりが大好きだと語る浅沼さん。彼の人柄の良さが人気を呼んでいるのも間違いない。店のFacebookにはお客さん達の笑顔が毎日のようにアップされているので一目瞭然、一度ご覧になってみてはいかがだろうか。

さてさて今宵も大満足〜ご馳走様!

『東京島酒場大』
住所:東京都千代田区鍛冶町1-8-2 スズトミビルB1
電話番号:03-6260-7170
アクセス: JR神田駅より 徒歩3分
営業時間: 月曜~土曜 17:00~24:00
定休日:日曜・祝日 (貸切の場合は営業可・応相談)
公式HPhttp://kurotokage.jp/dai/
Facebookhttps://www.facebook.com/tokyoshimasakabadai/
Instagramhttps://www.instagram.com/tokyoshimasakaba_dai/

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