炭酸水で焼酎ハイボールの味が変わる！ という噂を聞きつけ始まった、焼酎ハイボールの炭酸水を徹底比較するこの企画。前編は今回飲み比べる7種類の炭酸水の特徴を細かくチェックしました。
後編は、ついに実践編！ 7種類の炭酸水と4つの熟成焼酎を組み合わせ、焼酎と炭酸水のベストなマッチングを探し求めます。それでは張り切って飲み比べていきますよ〜！
使用する炭酸水のスペックを知りたい方は前編をチェック！
突然ですが、みなさん焼酎ハイボールはどの炭酸水でつくっていますか？ここ数年で一気にラインナップが増えた炭酸水。天然水仕立てのものからフレーバータイプまで、バラエティ豊かな銘柄が登場しています。なかでも最近人気なのが、ガツンと爽快な喉越しの強炭酸水。薄めても炭酸がしっかりと残るので、「ハイボールの割材は絶対に強炭酸水！」と決めている人も多いはず。
炭酸水比較①：芋焼酎ハイボールにベストマッチな炭酸水は？
まず初めに試すのは、芋焼酎を使ったハイボール。今回は田崎酒造の〈古酒 薩摩たなばた〉で飲み比べてみました。ほくほくしたコクのある味わいやフルーティな香りのものが多い芋焼酎には、苦味の少なく、優しい口当たりの炭酸水が合いそうです。果たしてどの炭酸水がベストマッチなのでしょうか？
芋焼酎〈古酒 薩摩たなばた〉には、〈ペリエ〉、〈THE STRONG 天然水スパークリング〉がベストマッチ！
7種類の炭酸水のなかでも、芋のどっしりとした味わいを引き立ててくれるのは〈ペリエ〉と〈THE STRONG 天然水スパークリング〉。弱炭酸の〈ペリエ〉は、焼酎の濃厚な香りを引き立てながらも喉越しはシルキー。スムーズに飲み進められる組み合わせです。〈THE STRONG 天然水スパークリング〉は、炭酸がしっかりと効いた爽やかな味わい。餃子や唐揚げなどこってりした料理とのペアリングがおすすめです。
1杯目は炭酸強めですっきりと、2〜3杯目からは弱炭酸水で割れば、飲み飽きせずに芋焼酎の香りをたっぷりと楽しめそうです！
芋焼酎〈古酒 薩摩たなばた〉で炭酸水7種類を飲み比べた結果がこちら！
〈ペリエ〉
香り：細かな泡によって香ばしい熟成香が引き立つ。
味わい：苦みもなく、とてもなめらか。すいすいと飲み進められる口当たり。
〈サンペレグリノ〉
香り：〈古酒 薩摩たなばた〉のナッティーな香りは優しめ。
味わい：弱炭酸で焼酎の旨みや香ばしさが際立つ。
〈THE STRONG 天然水スパークリング〉
香り：炭酸とともに芳醇な香りが立ち昇る。
味わい：スッキリした口当たりながら、苦味はなく、余韻も長い。
〈matsukiyo EXSTRONG〉
香り：芋焼酎特有の香りが立つ。
味わい：ガツンとくる個性的な味に。ほんのり苦みも感じる。
〈ICY SPARK〉
香り：小ぶりな泡とともに香りが広がる。
味わい：刺激は控えめで、なめらかに飲み進められる。
〈ウィルキンソン〉
香り：香りはやや控えめ。
味わい：舌で感じる炭酸の刺激。喉越しはよく、食中酒としておすすめ。
〈ウィルキンソン タンサンEXTRA〉
香り：香りはおだやか。
味わい：割ることで刺激は控えめに。焼酎の邪魔をしないなめらかな口当たり。
コクのあるどっしり系焼酎には、弱炭酸水がGOOD！
〈古酒 薩摩たなばた〉のハイボールは、こちらの記事でも紹介！
ローストナッツのような香ばしさに包まれる。〈古酒 薩摩たなばた〉| 熟成焼酎ハイボールスコアブック#12 | 熟成を知る、焼酎を楽しむWEBマガジン 「SHOCHU NEXT」
「熟成焼酎飲むならハイボール！」をキャッチフレーズに、焼酎マイスターを始めとするお酒の資格の数々を持ち、知識の深さに劣らぬ酒豪っぷりも潔い”薩摩おごじょ”の吉満SCENT香が、さまざまな熟成焼酎でハイボールに挑むこの連載。12回目は久しぶりとなる芋焼酎でまいります！ 芋のなめらかな甘みとナッツのような熟成香が芳しい〈古酒 薩摩たなばた〉は、炭酸水で割るとうま味倍増。どんな食事にも合わせやすく、食中酒にもぴったりな1本です。おすすめのペアリングはもちろん、毎回編集部が騒然となる”ちょい足し”は、連載史上最強の驚き。今回もどうぞ最後までお楽しみくださいね！
炭酸水比較②：米焼酎ハイボールにベストマッチな炭酸水は？
次に飲み比べるのは、米焼酎のハイボール。小正醸造の〈メローコヅルエクセレンス〉で味わいの変化を確かめてみました。米焼酎は熟成を経ることでバニラのような甘い香りが増し、よりソフトな口当たりになります。この特徴をうまく引き出してくれるのは、弱炭酸か強炭酸か……早速飲んで確かめてみました。
米焼酎〈メローコヅルエクセレンス〉には、〈ペリエ〉、〈matsukiyo EXSTRONG〉、〈ICY SPARK〉がベストマッチ！
飲み比べた結果、米焼酎ハイボールは炭酸の強度によって味わいに差があることが判明。〈ペリエ〉のような弱炭酸は全体的にふんわりと落ち着いたテイストに。〈matsukiyo EXSTRONG〉や〈ICY SPARK〉など少し強めの炭酸水で割ると、炭酸の刺激との相乗効果で濃厚な味わいを感じることができます。弱炭酸でも強炭酸でも楽しめるのは、懐の深い米焼酎ならでは！
米焼酎〈メローコヅルエクセレンス〉で炭酸水7種類を飲み比べた結果がこちら！
〈ペリエ〉
香り：甘やかな樽香が広がる。
味わい：ソフトな口当たりながら、濃厚な米の甘みを感じる。
〈サンペレグリノ〉
香り：米の甘い香りが優しく香る。
味わい：すっきりとした爽快感。
〈THE STRONG 天然水スパークリング〉
香り：泡が大きいせいか、香りは控えめ。
味わい：苦みを感じるビターテイスト。
〈matsukiyo EXSTRONG〉
香り：一口飲むと、まったりとした香りが口に広がる。
味わい：爽快感は保ちつつ、旨味を感じる豊かな風味。
〈ICY SPARK〉
香り：香りは優しめ。
味わい：コクがより深くなった印象。余韻も長い。
〈ウィルキンソン〉
香り：米焼酎の優しい香りが引き立つ。
味わい：炭酸の強さが心地よく、するりとした喉越し。
〈ウィルキンソン タンサンEXTRA〉
香り：米の香りは少なめ。
味わい：飲み口はすっきり。ややケミカル感のある後味。
ソフトな香りの焼酎は、強炭酸を合わせるとより濃厚に！
〈メローコヅルエクセレンス〉のハイボールは、こちらの記事でも紹介！
炊きたてごはんを思わせる米の甘み！〈メローコヅル エクセレンス〉｜熟成焼酎ハイボールスコアブック #03 | 熟成を知る、焼酎を楽しむWEBマガジン 「SHOCHU NEXT」
とにかく焼酎ハイボールは万能だ！ を合言葉に、さまざまなシーンに合う熟成焼酎ハイボールの道を突き詰めていくこの連載。第３回目のお題は、鹿児島生まれの樽熟成米焼酎〈メローコヅル エクセレンス〉。ふんわりと広がる米と樽の香りが、まるで炊き立てごはんのように食欲を沸き立たせる…!?
炭酸水比較③：麦焼酎ハイボールにベストマッチな炭酸水は？
3つ目に挑戦するのは、麦焼酎ハイボール。重家酒造がつくる〈確蔵〉で飲み比べてみました。麦特有の香ばしさと、甘やかな旨みが特徴の麦焼酎。香りを引き立てるには、泡の量が多い強炭酸がよさそう。いざ、飲み比べ！
麦焼酎〈確蔵〉には、〈サンペレグリノ〉、〈ウィルキンソン〉がベストマッチ！
強炭酸ならばどれも合うだろうと思いきや、炭酸水によって焼酎の香りと味わいにかなりの差があったのが驚き。特に合っていたのは〈サンペレグリノ〉と〈ウィルキンソン〉。全く逆の特徴をもつ2つの炭酸水ですが、それぞれのよさが麦焼酎の香ばしさとマッチしました。〈サンペレグリノ〉は、きめ細やかな泡が麦の香りを包み込み、より深い味わいに。一方〈ウィルキンソン〉は、強炭酸ながら焼酎の存在感もしっかりと残し、長い余韻が続きます。あっさり系の料理には〈サンペレグリノ〉、濃い味付けの料理には〈ウィルキンソン〉とペアリングによって使い分けるのがおすすめです！
麦焼酎〈確蔵〉で炭酸水7種類を飲み比べた結果がこちら！
〈ペリエ〉
香り：麦の香りは優しめ。
味わい：旨味やコクは主張せず、上品な風味にまとまっている。
〈サンペレグリノ〉
香り：きめの細かい泡とともに、濃厚な麦香が立ち昇る。
味わい：麦の甘みがたっぷり。焼酎の旨味が前に出る。
〈THE STRONG 天然水スパークリング〉
香り：香りはやや控えめ。
味わい：強炭酸ながら、割ることで穏やかな風味へと変化する。
〈matsukiyo EXSTRONG〉
香り：角の取れた丸い香りが立つ。
味わい：炭酸の苦味は抑えぎみで、スムースな口当たり。
〈ICY SPARK〉
香り：麦の香りは穏やか。
味わい：口当たりはシルキーで心地よいものの、少し物足りなさを感じる。
〈ウィルキンソン〉
香り：グラスに注いだ瞬間、麦の香ばしさが立ち込める。
味わい：炭酸が強くなっても焼酎の存在感は健在。麦の風味もより強くなって、コクのある味わいに。
〈ウィルキンソン タンサンEXTRA〉
香り：強炭酸の刺激に押され、香りの広がりは少なめ。
味わい：ほんのりとケミカルな後味が残るものの、炭酸の苦味もなく飲みやすい。
苦味のある炭酸水にビターな味わいの焼酎を合わせると、苦味が相殺されてまろやかに！
〈確蔵〉のハイボールは、こちらの記事でも紹介！
米麹の甘みが超濃厚！壱岐焼酎〈確蔵〉 | 熟成焼酎ハイボールスコアブック#07 | 熟成を知る、焼酎を楽しむWEBマガジン 「SHOCHU NEXT」
こってり系からさっぱり系までどんなにもばっちりと合う焼酎ハイボール。焼酎を炭酸水で割るだけの手軽さは毎日の食中酒にもってこい！ ビールより、ウイスキーハイボールより、焼酎ハイボールがいいって人、もっと増えないかな……！ と大きな夢を抱くこの連載、今回は、熟成壱岐焼酎〈確蔵（かくぞう）〉を使ったハイボールのご紹介。長崎県の壱岐島でつくられる壱岐焼酎は、麦の爽やかな香りと濃厚な米麹の甘みが特徴です。
炭酸水比較④：黒糖焼酎ハイボールにベストマッチな炭酸水は？
最後にトライするのは、黒糖焼酎ハイボール。山田酒造の〈あまみ長雲 長期熟成貯蔵〉を使って検証していきました。爽やかな甘みとフレッシュな口当たりが特徴の黒糖焼酎。寝かせることで深いコクや旨みも生まれてきます。この甘やかな味わいを引き立たせてくれるのは、一体どの炭酸水なのでしょうか？ 最後の飲み比べも張り切って参ります！
黒糖焼酎〈あまみ長雲 長期熟成貯蔵〉には、〈サンペレグリノ〉、〈THE STRONG 天然水スパークリング〉がベストマッチ！
黒糖焼酎に合うのは、ずばり〈サンペレグリノ〉と〈THE STRONG 天然水スパークリング〉の2つ。〈サンペレグリノ〉は、ミネラル感との相乗効果によって爽やかな香りがしっかりと引き立ちます。黒糖の風味が全面に出るバランスの取れた味わいで、ファーストフードから優しい味付けの和食までジャンルを問わず楽しめそうです。〈THE STRONG 天然水スパークリング〉は、とにかく黒糖の香りがよく引き立つ味わいに。炭酸の苦味も加わって、濃厚なハイボールに仕上がります。
黒糖焼酎〈あまみ長雲 長期熟成貯蔵〉で炭酸水7種類を飲み比べた結果がこちら！
〈ペリエ〉
香り：黒糖の優しい香りの広がりは弱め。
味わい：黒糖の風味はあるものの、まろやかすぎてやや物足りない。
〈サンペレグリノ〉
香り：微炭酸に包まれた爽やかな甘い香りが引き立つ。
味わい：風味豊かに焼酎の旨味が前に出る。柔らかくも黒糖焼酎の魅力が引き立つ。
〈THE STRONG 天然水スパークリング〉
香り：飲み進めることで香りが倍増していく。
味わい：ほんのりと炭酸のビターな風味が心地良い。
〈matsukiyo EXSTRONG〉
香り：大きめの泡に包まれた爽やかな香りが弾ける。
味わい：爽やかな口当たりの奥に、強炭酸の苦味を感じる。
〈ICY SPARK〉
香り：黒糖の青っぽい甘みが鼻を抜ける。
味わい：割ることでやや苦みが増したビターテイストに。
〈ウィルキンソン〉
香り：炭酸の強さに負けないようなしっかりとした香り。
味わい：刺激の強い炭酸のなかに、甘みと苦みがミックスしているような印象。
〈ウィルキンソン タンサンEXTRA〉
香り：炭酸の強さに負け、香りはおだやか。
味わい：優しい口当たりなものの、わずかにケミカルな風味が残る。
爽やかめな焼酎にはミネラル豊富な炭酸水を合わせると爽快感が倍増！
〈あまみ長雲 長期熟成貯蔵〉のハイボールは、こちらの記事でも紹介！
深く上品な黒糖の香りにうっとり。〈あまみ長雲 長期熟成貯蔵〉 | 熟成焼酎ハイボールスコアブック#11 | 熟成を知る、焼酎を楽しむWEBマガジン 「SHOCHU NEXT」
さまざまな熟成焼酎を使ってハイボールを試す連載、「熟成焼酎ハイボールスコアブック」。11回目となる今回は、黒糖焼酎〈あまみ長雲 長期熟成貯蔵〉をご紹介します。優しい甘みとたっぷりと余韻のある口当たりで、まさに黒糖焼酎の真打ち。ソーダで割れば、初夏のジメッとした暑さも吹き飛ぶ、南国感あふれる爽やかなハイボールになります！ さらに、おなじみのちょい足しは、〈あまみ長雲 長期熟成貯蔵〉を使った絶品アレンジスイーツをご紹介。絶対に試してもらいたい、珠玉の銘柄です！
飲み比べ結果を一覧でCHECK！
強炭酸水がブームのなか、〈ペリエ〉や〈サンペレグリノ〉など弱炭酸水が焼酎ハイボールの割材としてマッチ。一方で〈ウィルキンソン タンサンEXTRA〉をはじめとする「超」強炭酸水は、「炭酸の刺激 ＞ 焼酎の味わい」になることが多く、夏の暑い季節にゴクゴク飲むのによさそう。ペアリングやシチュエーションに合わせて炭酸水を変えることで、よりおいしく焼酎ハイボールを楽しめます！
炭酸水によっても味わいが変わるのが、熟成焼酎ハイボールの面白さ！
全28杯（！）にも及んだ熟成焼酎ハイボールの炭酸水飲み比べ。再確認したのは、やはり熟成焼酎のポテンシャルの高さ。炭酸水ごとに味わいの違いはあっても、その上品な味わいや旨味はどれもピカイチです。
しかし、飲み比べて確かに風味の違いがあったのは紛れもない事実。柔らかな口当たりの炭酸水もあれば、ビターテイストで、スッキリ爽やかに飲むことができる炭酸水もある。熟成焼酎だけでも数え切れないほどあるのに、さらに炭酸水まで合わせたら……もう飲んでも飲んでも飲みきれない！
マイベスト焼酎ハイボールを探し求めているかたにも、ぜひ一度試してもらいたい炭酸水飲み比べ。一見シンプルな焼酎ハイボールの奥深さを知ることができますよ！
